カレッジマネジメント209号
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9リクルート カレッジマネジメント209 / Mar. - Apr. 2018(≒学習成果)として評価される。それらの授業群が体系的に積み上がり一つの学位プログラムを形成する。このプログラムレベルで学習を修了(学修)することによって得られる成果が学修成果であり、修了の証として学生には学位が授与される。大学関係者が大騒ぎしている「いわゆる卒業時の学修成果」なるものを学生は気に留めていない。学生にとっては今も昔も、「入試、卒業、就活」が学生時代最重要な3大成果だ。いわゆる卒業直後の「成果」は、就職先=企業名(就職難易度)で判断されることがほとんどで、これは入学先=大学名(入学難易度)で高校生活が判断されるのと全く同じ構図だ。前項で取り上げたeポートフォリオが道具だてとして重要な理由がここにある。学生のかけがえのない大学生活を「就活」なるものに矮小化するのではなく、学生自身にみずからの学生生活をプロセスとして認識させ、そこから得られる気づきや振り返りを自分だけの「大学生活の成果」として捉える。これが「学生の学修の成果」である(図1)。大学を主体とする学修成果の特徴は、学生を個人ではなく集団として評価対象とし、それによって社会が大学を評価するために活用することが特徴だ(図2)。基本的に、3つのポリシーの策定や授業の改廃などプログラム単位で責任を持つ教学マネジメントの主体はプログラム委員会や学部教授会である。機関レベルではそれらプログラムや各種部局の運営状況を包括的にマネジメントする内部質保証体制を大学執行部が支える。大学の教育の成果(大学の学修成果)は、調査目的によって多種多様なアプローチで測定される。比較対象は大学同士の場合もあるが、社会調査や統計情報も駆使してその他高等教育機関や高校卒業者との比較も行い、広く大学の効用を示すことも可能だ。情報公開された成果には社会の目が届き、大学と社会の信頼関係が改めて構築される(学生の学修の成果と大学の教育の成果の構造については表2を参照)。認証評価制度の実質化、内部質保証体制の強力な推進、学修成果測定の重点的対応等を進めれば進めるほど、大学の標準化が進んでしまい、代わり映えのしない平均点の大学だらけになることを誰も望んではいない。とはいえ、現状を放っておけばそのような方向に近づいてしまうことも避けられない。だからといってこれまで同様に情緒的な作文によって自己点検評価を続けていけば、社会からの要請に答えることは永遠に不可能だ。そこで大学の教育の成果を測定する指標設定に際しては、「大学の独自性と多様性を担保するための大学独自成果目標に資する大学独自指標(以下大学独自指標)」と「大学間の相対的評価が可能なベンチマーク指標(以下ベンチマーク指標)」の二本立てで進めることにする。特集 学修成果の可視化に向けてD P学位授与卒業A P入試判定入学卒業大学受験生高校生社会人各種学校C P正課外活動様々な経験学位プログラム学外の学習各種調査各種調査各種各種調査(例)ベンチマーク指標(例)大学独自指標(例)プログラム指標(例)長期戦略ビジョン(例)大学ミッション大学生社会の目社会人大学卒業生の成果大学卒業生の成果大学卒業生の成果大学卒業生の成果異なる成果異なる成長異なるルート大学の教育の成果比較対象指標設定の具体的な方法図2 大学から見た教育の成果

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