カレッジマネジメント233号
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21リクルート カレッジマネジメント233 │ Jul. - Sep. 2022スチョンをもとに主体的・協働的な学びを実践する学群が教育探究科学群というわけですね。こうした学びで培われる力とは何でしょうか。それは、「自分の人生を自ら生きる力」です。自分の人生をきちんと設計する力の土台を鍛えることが学群の目的とも言えます。学生には学問としての学問を学ぶのではなく、もっともっと自分に寄せて勉強してほしい。自分にとってこの学問は何なのか。この事象はどういう意味を持つのか。それは何故なのか。そうした思考には哲学や教育学の観点が効きます。また、対象に直接的に係る学問を履修していなくても、抽象化・構造化する力がトレーニングできていれば、あらゆる事象に対応できる人間に近づく。だからこそ、教育学を背骨にして、探究スパイラルをグルグル回す場が必要だと考えたのです。──桜美林が探究を経営の軸足に据える理由は何でしょうか。個別最適な学びへのシフトは、経営上の経済合理性と両立できるのでしょうか。本学にとって探究は辞書に書いてあるような意味ではなく、「教育のイノベーション」そのものです。それを経営上重視することは、未来に必要となる視点視座を培うことであり、社会に必要な人材を育成輩出するだけでなく、そうした領域の教育研究が厚い大学へと変貌していくことを意味する。つまり、探究シフトは本学の持続可能な未来への経営的投資でもあるのです。教職ありきではない本来の教育学のスキームを探究文脈で生かし切る学群を作る一方で、これまで進めてきた高大接続事業“ディスカバ!”を継続発展させ、その経験者がロイヤリティ高い本学のファンとなって社会に散らばっていく。もちろん彼ら彼女らが入学してくれるのが一番ですが、そうでなくても、これだけ高い効果のある媒体はありません。また、現在進めているのがサイバーキャンパス構想です。コロナ禍を契機に学生のキャンパス観は明らかに変化しました。そうした学生にどう対応するかを真正面から考えれ特集01大学における探究2.0図1 教育探究科学群のメインビジュアルと学習ステップ桜美林にとって探究に注力する経営的意義とは

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