カレッジマネジメント233号
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22リクルート カレッジマネジメント233 │ Jul. - Sep. 2022ば、デジタルシフトは必然です。オンラインならではの教育を提供しつつ、リアルな場でどういう経験をさせ、立体的に学修成果を高め、学生が自分の人生を自分で構築する力を獲得させていくのかを考える必要がある。周知の通り、デジタルは探究的な個別最適な学びと大変相性がよく、教育DXを推進することは探究のフィールドを広げることにもつながります。新たな教育価値の創出への挑戦が、探究を軸に始まっているのです。──貴学は2007年学群制に完全移行し、興味関心ある科目を横断的に選択し、自らの学びを作ることができるカリキュラム設計で、もともと探究に親和性が高い教育を展開されていました。まさに、本学の学群制は隣接領域の専門分野へのアプローチの垣根を低くした学修スタイルです。リベラルアーツのメジャー・マイナーの組み合せで学生一人ひとりのカリキュラムを設計することを前提に、扱う学問領域を広げることでカスタマイズのバリエーションを増やし、社会変化に対応できる人材を育てていくという方向性でしたが、それでは既存の学問パッケージを修めるという発想を出ません。現在新課程で起こっていることは、課題オリエンテッドで個別最適化した学び。課題を起点にすると関連する学問は複数に、学びは教科横断にならざるを得ない。それを高校がやり始めているのです。大学ならではのフィールドの大きさだけではなく、横断的な思考の学生が大学に来て止まることがないように、学問パッケージありきではない学修スタイルの確立が大学側でも絶対に必要です。本学はそれを学群制の改革で実現します。──貴学が迅速に改革に取り組めるのは何故でしょうか。経営者として心掛けていることはありますか。本学創立者の清水安三先生は、宣教師として中国に渡った際、大干ばつを経験し、災童収容所を開設しました。本学のルーツはそこにあります。社会の状況に応じて必要なことを考え、実践できること。本学では学而事人(がくじじじん)、「学びて人に仕える」という言葉を教育思想として掲げていますが、まさに「学んだことでいかに社会に価値を創ることができるか」こそが、本学の創立以来の理念なのです。大綱化のタイミングで大学教育を供給者目線から学修者目線に切り替え、学群制に変革したことが現在の流れの起点になっています。いつも本学が心掛けるのは、「本質をきちんと考え続けること」です。これから学生達が生きていく時代はどういう社会になるのか、そこで必要なスキルセットは何か、その修得にはどのような場と機会が適切か、本学のリソースではどう実現できるのか、すべきなのか。学生が自分の人生を生き抜く力を身につけるために、大学は何ができるのかを、常に考え続けています。水面下で様々な企みが同時並行で図2 学群制の考え方(小誌291号掲載図表再掲)創立以来のイノベーション:学群という学修スタイルの確立大学経営に問われるのは単なる企業の真似ではなく、本質をきちんと見据えること学群学び学び学び学び学び学群学び学び学び学び学び学群学び学び学び学び学び学群学び学び学び学び学び学群学び学び学び学び学び学部学部学部学部学部2007年完全移行学部制学部・学科の独立性が高い他の学部・学科や他分野を学ぶには制約が多い学群制興味関心がある複数の専門分野が学べる自分の「学び」を自らデザインできる

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