カレッジマネジメント233号
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27リクルート カレッジマネジメント233 │ Jul. - Sep. 2022最適なカリキュラムへ授業毎の到達度確認105分×13週の学年暦対面×オンラインのHYBRID授業キャンパス再整備に伴うICT環境の充実い」と期待を寄せる。そして、学生の主体的な学びを促す仕組みとしてもう1つ追大が注力しているのが、ICTを含めたあらゆる手法を駆使し、教育内容に合わせた教育効果を最大化する一連の取り組み「OIDAI MATCH(MAximized-TeaCHing)」だ。1人1台のノートパソコンの必携、学修ポートフォリオ「追大e-Navi」の整備、105分授業×13週の学年暦への変更、授業ごとの到達度確認の仕組みの構築等を進めてきた。そして今、取り組みの中心となっているのが、学生の学びに関するデータの取得・活用をはじめとした教育DXだという。「学生達が、自身の学習状況や自分に合うテーマを探すための観点を把握するために、できるだけ複数の情報から判断できる枠組みを作ろうとしている」(真銅学長)。具体的には、グループディスカッション時の個々人の発話量や発言のタイミング等を定量的に測定する機器の試験導入、データの自動収集ができるLMSシステムへの変更、AIがデータを読み取り学生にアドバイスを行う「AIティーチング・アシスタント・システム」の構築を進めている。経済合理性の観点から、学修者本位の教育や教育の個別最適化に二の足を踏む大学も少なくない。そんな中、追大が信念を持ってこれらに取り組むのは、「学生への付加価値を最大化することが、大学経営にも返ってくる」という考えから。真銅学長は、「大学が適切な教育をしなければ、いくら入試広報が頑張って良い学生が入ってきてもがっかりされるだけ。また、教育内容が身についていない学生を社会に送り出すことも、大学としてあってはならないこと。追大に来れば、テーマを見つける力と、見つけたテーマに取り組み、課題解決に至るための方法を身につけられるということを、全学で保証したい」と力を込める。データ活用をはじめとした教育のDXやIRの強化もその一環だ。加えて、「最大かつ喫緊の課題」と真銅学長が力を込めるのが、理系学部の新設だ。「『文系』『理系』といった枠組みを超えた新しい時代の複合的な社会にどのように対応できるかが、現在の大学全体のテーマ。そして、これまでにない発想や気づきができて、それを自分で深掘りできる人材を育てていくことが大学の使命と考えている。そのために、文系学部中心で構成されている本学においては、理系学部を設けて、各学部が連携しながら文理の枠組みを超えた学びを展開したい」と意気込む。その一つのメルクマールとなるのが、2025年4月に予定している茨木総持寺キャンパス(大阪府茨木市)の拠点化だ。学部増設および理系学部開設構想などに合わせ、新校舎を建設して大半の学部・大学院及び本部機能を集約する。「新校舎は、文理を超えた発想につながるような自由で創造的な教育を展開できる建物にしたい。そうして、2025年にキャンパスと理系学部ができ、教育DXもある程度の形を見せるところまで走り切りたい」と真銅学長。事務方として改革の指揮をとる髙本氏も、「教育DXやIR強化の方向性は2025年度とはいわずに2022年度中に何らかの形にしたい」と意気込む。社会の動きに応じて新しい教育を形づくり、必要な学部・キャンパスを整備するという動きを短期間で進める追大のスピード感は随一のもの。今後の進化に期待が膨らむ。(文/浅田夕香)教育DXにより、学生の主体的な学びをさらに後押しする「追大に行けば身につけられる力」を全学で保証する図2 OIDAI MATCHの概念図特集01大学における探究2.0“供給者本位の教育”を脱却し“学修者本位の教育”の実現へ“アナログ”から“デジタル活用”へと変革し教育環境を大幅に改善105分授業×13週で広がる教育の幅アウトプット中心の授業展開授業外の主体的な活動にも挑戦しやすく授業毎に到達度を確認1人1台ノートPCを必携電子図書館や学習支援システムの充実いつでもどこでも学べる環境へ対面×オンラインのHYBRID授業

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