カレッジマネジメント233号
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28リクルート カレッジマネジメント233 │ Jul. - Sep. 20222006年、当時はまだ一般的でなかったアクティブラーニングやPBL(Project Based Learning:課題解決型学習)の視点を取り入れたカリキュラムへの大改革を実施して以来、学生の課題解決力を伸ばす教育を行ってきた産業能率大学(以下、産能大)。2020年度には高校の探究学習で培われた力を測る入試方式も新設した。これらの取り組みの背景と今後の方針について、杉田一真学長補佐(経営学部教授、教育支援センター長)と林 巧樹入試企画部長に伺った。産能大のカリキュラムの起点となっているのが、「マネジメントの思想と理念をきわめ、これを実践の場に移しうる能力を涵養」することを謳った建学の精神だ。杉田学長補佐は、「この精神を現代にあてはめると、『修得した知識とその活用力を、社会に出たあとに適用可能な状態にまでもっていく』ことだと考えた」と話す。そうして、全学生が初年次にPBL型のゼミ「初年次ゼミ」に所属して探究的な学びに取り組み、2年次以降も理論学習と、演習などを通じた知識の活用、そしてジェネリックスキルの涵養を並行して行い、社会に出たあとの課題解決力を高めていくカリキュラムが作られた(図1)。このカリキュラムの開始以降、「10年近くかけて教員の意識づけや、本学の学びに合う教員の採用を行い、教育体制を整えていった」と杉田学長補佐は話す。新任の教員には着任初年度に初年次ゼミを任せる。初年次ゼミの運営を通じて、PBLのファシリテーター、ジェネリックスキルの養成者、学生たちの学びをサポートするアカデミック・アドバイザーという3つの役割を着実に担える教員を増やしていったという。また、アクティブラーニングやPBLで培ったノウハウの高校教員への展開も行っている。文部科学省「大学教育再生加速プログラム(AP)」高大接続事業の一環として開発した「主体的学習者育成プログラム」「協働的学習者育成プログラム」や、2020年から実施している「探究学習ワークショップ」だ。「高校の探究学習で実際に活用できる具体的社会に出たあとに適用可能な知識と活用力をつける4年間のカリキュラム課題解決力等を測る入試を新設。探究型人材を迎え入れる学長補佐 杉田一真 氏産業能率大学PBL型「初年次ゼミ」を皮切りに4年間で課題解決力を伸ばす図1 産業能率大学の学び探究の視点を発芽させる・伸ばす大学Case Studies_3解決策を生み出すために、いちばん大切なことは自分はどうしたいのか、を持つこと。視点をつくる。自分らしさはそこから生まれる。

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