カレッジマネジメント233号
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29リクルート カレッジマネジメント233 │ Jul. - Sep. 2022なプログラムの提供と先生向けの研修を両輪で回していくことが、本学における高大接続」と杉田学長補佐は説明する。そして、今進めているのが、高校で探究学習に取り組んだ学生を受け入れ、その力をさらに伸ばしていくための入試改革だ。2020年度入試から一般選抜に「未来構想方式」を、さらに、2022年度入試からは経営学部マーケティング学科の総合型選抜に「MI(マーケティング・イニシアティブ)方式」を新設する。いずれも、探究によって培われた力を測り、合否を決める方式だ。また、MI方式は、2022年度よりマーケティング学科に新設された問題の発見から解決策の提案までをビジネスプロフェッショナルと協働して取り組む科目「マーケティング・イニシアティブ」に挑戦したいという意欲の高い学生を受け入れるために設けられた方式でもある。これらの方式の設置背景について、杉田学長補佐は「これまで、総合型選抜はコンピテンシーの高い生徒、一般選抜はリテラシーの高い生徒と、強みの異なる生徒が受験してくるものと思っていた。ところが、高校での探究学習が進み、コンピテンシーとリテラシーの両方を兼ね備えながらコンピテンシーが自分の強みだと思って総合型選抜に絞っている生徒や、一般選抜を目指しているけれど探究にもしっかりと取り組んできた生徒もいることが分かり、二分法的な入試制度の間に位置する入試を作りたいと思った」と説明する(図2)。「ただし、問うのは『探究で何をやったか』ではなく、『探究で培われた力』」と補足するのは、これらの入試を企画・実現した林氏だ。「課題解決力等をどのように伸ばしてきたのか、また、どのようなものの考え方ができるようになったのかというところを見ていきたい」という。PBLに取り組んできた学生の成長や学修成果は、PROGテストによるジェネリックスキルの客観評価と、アカデミック・アドバイザーが学生と半期に1度行う個人面談による定性評価、学生自身のポートフォリオ入力による自己評価によって可視化している。「ポイントになるのは個人面談」と杉田学長補佐。「例えば、同じプログラムに参加した学生で、客観評価上は同じように協働する力が伸びていても、その中身は一人ひとり異なる。ゼミでの活動の様子を近くで見てきた教員が面談を行い、活動の成果を本人の言葉で言語化することをサポートし、その上でポートフォリオに記録するという一手間が大事だと考えている」と話す。今後の課題は、「カリキュラムを超えた学びへの意欲を示す学生たちをどう応援するか」だという。そのためには、教員の支援スキルも教育体制も磨いていかなければいけない」と杉田学長補佐。マーケティング学科の新規科目「マーケティング・イニシアティブ」もその問題意識から生まれた科目だ。課題の発見と解決ができる学生を本気で育てようとしている産能大の今後の取り組みから目が離せない。(文/浅田夕香)「さらに学びたい」という学生の適切な支援が今後の課題図2 一般選抜 未来構想方式特集01大学における探究2.0未来構想レポート大学入学共通テスト事前記述課題一般選抜・未来構想方式導入の背景評価のポイント■問題文の情報を読み取る力(情報読み取り力)■複数の情報を整理、分類、関連づける力(情報分析力)■自身が有する知識を活かす力(知識活用力)■複数の論点を取り上げている(思考の幅)■施策内容と施策実施後の姿に飛躍がない(論理性)■理解しやすい文章で書かれている(表現力)外的要因■学力の3要素の 多面的・総合的評価 -知識・技能 -思考カ・判断カ・表現力  -主体性を持って多様な 人々と協働して学ぶ態度■探究学習内的要因二分法的な区分に対する疑問一般選抜=リテラシー総合型選抜=コンピテンシー

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