カレッジマネジメント233号
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31リクルート カレッジマネジメント233 │ Jul. - Sep. 2022ト」(100点)、「特定型」には付加評価項目を加えて選抜される。クローズアップシートには、高校段階で最も注力した取り組みを800字で記述。「これは自分を振り返るためのステップです。自らを振り返り、言語化することによって、先が見えてきます」(服部学長)。また、志望理由書には「学びのタネ」を40字以内で記載する欄がある。「“学びのタネ”を簡潔に書けるかどうかは、大学で学ぶための基礎力の重要な判断材料になります」と服部学長は言う。さらに、面接では志望理由書をもとに話を深く掘り下げていく質問が行われる。大学や大学での学びを理解し、自らが何を学びたいかをしっかり考えた生徒でなければ対応できないだろう。なお、高校での探究学習が本格的に始まり、大学入試において探究的な活動を評価することへの高校からの期待も高まると考えられるが、「私達が知りたいのは生徒の実績や成果ではなく、これから学び続けるための好奇心や探究心。あくまでも“学びのタネ”です」と服部学長は釘を刺す。「学びのタネ」を大学で伸ばすための支援も充実している。「へるん入試」合格者には各学部(学科・専攻)から出される専門的な課題、英語eラーニング、入学前セミナーからなる「入学前教育(ぷれ大学)」を実施。加えて、入学後の「初年次教育」では英語関連のプログラムのほか、学科・専攻の教員による「フレッシュゼミナール」を用意。1年生から専門分野に触れる機会を設けることにより、学生の「学びのタネ」を深化させ、意欲を高めることが狙いだ。また、2021年度後半には「へるん入試」で入学した学生対象のオンラインプラットフォーム「へるんスプラウトROOM」を開設。学生が学び合いながら、成長していく環境づくりも行っている。「へるん入試」は2年目を迎えたばかり。評価を行うには早いが、「へるん入試」合格者は入学後に積極的に活動する姿が見られ、服部学長は「学びに対する好奇心や探究心が学力の土台となることを実感している」と満足そうに話す。「地域貢献人材育成入試」に続く「へるん入試」の手ごたえもあり、島大では2024年度までに「へるん入試」を含む特別選抜の定員の割合を全体の4割に引き上げることを目標にしている。「県内の全高校を毎年訪問する」という服部学長。「へるん入試」に対し高校側には期待の一方、多様な選抜に対応する負担感もあると把握している。選抜において実績ではなく「学びのタネ=可能性」を評価する難しさも課題だが、「高校側のご意見をいただきながら、一緒に『へるん入試』を育てたい。高校までに育まれた好奇心や探究心を大学で芽吹かせ、想定外の課題に対峙・解決する力を持つ人材を世に出すことが地域を活性化する」と力強く語る。年度計画で「課題解決型授業(PBL)や反転授業等の能動的授業を全体の45%で実施すること」を目指すなど、「探究」に不可欠な「主体的に学ぶ力」の育成に本腰を入れる島大。一貫した理念に基づく改革だけに、「へるん入試」の今後に注目したい。(文/泉 彩子)「探究」に不可欠な基礎力の育成に本腰を入れる図 育成型「へるん入試」の流れWEB面談、特設サイトや高校生向け冊子での情報発信調査書、クローズアップシート、志望理由書の作成・提出 ※へるん特定型では追加書類を課す場合あり。書類審査、読解・表現力試験、理数基礎テスト(総合理工学部のみ)、面接 ※へるん特定型では付加評価項目あり。入学前セミナー、英語eラーニング、学科・専攻別課題フレッシュゼミナール、スタートアップ・イングリッシュ、へるんスプラウトROOM特集01大学における探究2.0出願前教育出願試験入学前教育(ぷれ大学)初年次教育専門教育

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