カレッジマネジメント233号
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36リクルート カレッジマネジメント233 │ Jul. - Sep. 2022「Z世代」と呼ばれる現在10~20代前半の若者たち。今後、大学受験に臨む高校生も含むZ世代とはどのような特徴をもつ世代なのか。若者文化に詳しい芝浦工業大学教授、原田曜平氏にお話を伺った。まず、Z世代の定義・位置づけと時代的な背景を改めて整理しておきたい。世代区分に関してはいくつかの切り口があり、それを整理したのが原田氏作成の図1だ。Z世代とはもともと米国を中心とした欧米で、Y世代・ミレニアル世代(諸説あるが、1981~1994年生まれを指すことが多い)に続く、1995~2010年生まれ(こちらも諸説がある)を指す言葉として生まれた。「米国でZ世代が注目される理由は、何よりもその人口の多さにあります。現在Z世代の人口はミレニアル世代の人口を超えており、マーケティングの対象として大きく注目されるようになっているのです」(原田氏)。一方、日本のZ世代は事情が異なる。少子化が進む日本では、Z世代は、バブル世代・団塊ジュニア世代を含むX世代との比較ではもちろん、ミレニアル世代と比べても人口が少ない。そのため、近年、企業は、国内市場においては中高年、高齢者を重視したマーケティング戦略を採り、若者世代は軽視される傾向にあった。このような背景もあり、「若者のクルマ離れ」「若者のテレビ離れ」など、若者が消費活動に消極的になる傾向が顕著になっていった。「しかし、現在は消費活動に積極的ないわゆる『アクティブシニア』も団塊世代が後期高齢者(75歳以上)となり始めたことで、この先、その消費活動に大きな期待をもち続けることは難しくなっています。一方、この先の消費の主役とInterview大学は「Z世代」を正しく理解できているか「チル&ミー」を大切な価値観とするZ世代インタビュー少子化の進行で人口が少ない日本のZ世代広告業界で各種マーケティング業務を経験した後、2022年4月より芝浦工業大学教授に就任。その他、信州大学特任教授、玉川大学非常勤講師なども務める。専門は日本や世界の若者の消費・メディア行動研究およびマーケティング全般。著書は『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』(光文社新書)など。原田曜平氏マーケティングアナリストさとり世代はバブル崩壊後の平成不況期に育ち、「夢や希望がなくても今が安定していればいい」と考える世代。α世代は、世界的には歴史上最大の人口を占めるようになると見られている出典:『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』原田曜平著(光文社新書)図1 日本の世代論とZ世代ポパイ・JJ世代新人類世代バブル世代団塊ジュニア世代(隠れバブル世代)ポスト団塊ジュニア世代さとり世代(1987-1995ゆとり世代)脱ゆとり世代団塊世代Z世代Y世代(ミレニアル世代)X世代α世代1947-19511952-19601961-19651964-19801981-19941995-20102011-20251966-19701971-19741975-19821983-19951996-(生まれ年)

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