カレッジマネジメント233号
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49リクルート カレッジマネジメント233 │ Jul. - Sep. 2022説明する。1回目のテーマは「私たちはどう生きるか」。高校生以外も参加でき、「Zoom」で双方向のやりとりができるほか、「YouTube」でも中継。アーカイブも残すスタイルにした。1年目は21名の教員が登壇し、12月までに13回実施。教員による講演や対談のほか高校生との少人数対話会も行って好評で、のべ612名が参加した。また、1期生の入試の受験生には「高校生オンラインゼミ」参加者が多く、特に受験生の主体性が評価される総合型選抜では45%が参加者だった。EMCが目指すのは“起業家精神を持つ人材”即ち “自ら行動し、社会に価値を提供できる人材”の育成であり、そうした人材になるために重要な主体性を持つ高校生が「高校生オンラインゼミ」を評価していることに着目。「高校生オンラインゼミ」が募集コミュニケーションにおいても大きな意味を持つことを認識し、2年目はそうした高校生に響く場とすることを意識して企画し、6回実施。1期生が教員とプロジェクトチームを組んで運営を担当し、登壇して受験生の疑問に答えたり、各種SNSによる情報発信も担った。その姿を見てEMCに関心を持った2期生もいるという。「『高校生オンラインゼミ』等で見られる今の高校生と“昭和世代”との大きな違いは、先入観のない“フラットな感覚”。様々な社会課題についても『大事だよね』と自然体で受け止めている」と伊藤氏。例えばEMCの教員についても保護者層の中には肩書きや名前で関心を持つ人もいるが、高校生は反応しない。一方で、教員の名が知られているのは成果を出しているからであり、その「成果」にフォーカスして発信すれば高校生も身を乗り出すという。また、フラットな感覚を持つが故に保護者世代に根強い「有名大学に入り、大企業に入るのが正解」という価値観との間での葛藤が見られることも今の高校生の特徴という。他方、EMCでは開設準備期から一貫して「自分の人生は自分で創る」というメッセージを打ち出してきた。「高校生オンラインゼミ」ではそのメッセージを実践する教員や在校生が高校生と対話する。フラットな感覚を持つ高校生にとって心理的安全性が高く、『ちょっと話を聞いてみよう』と思える場であることが、参加者の高いロイヤルティにつながっているのだろう。最後に募集広報の「鍵」を問うと、「学びの内容を磨くことに尽きる。満足度の高い大学生活を送る在校生の姿がキラーコンテンツ」と伊藤氏。小手先の手法にとらわれないEMCのコミュニケーションのあり方から学ぶべきことは多い。(文/泉 彩子)心理的安全性の高い場を作る3年目を迎えた2022年度の「高校生オンラインゼミ」は在校生による広報チームが企画・運営を担っている。司会や撮影、タイムスケジュール管理まで在校生が行い、教員が担当するのは登壇時のトークやサポートのみ。広報チームへの2期生の募集も1期生が行った。特集02Z世代の進路選択とコミュニケーション戦略

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