カレッジマネジメント233号
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56リクルート カレッジマネジメント233 │ Jul. - Sep. 2022――認証評価に関しては今回の審議において何か変更点はあるでしょうか。まだ制度化されていないので具体的には分かりませんが、一つ大きいのは、不適合の場合の受審期間の短縮、つまり現状7年に一度のところを例えば3年に一度にする等して、より適切にチェックをしていくような変更が考えられます。もう一つは受審時の手間の削減です。認証評価を受ける際、大学は膨大な量の書類を作らなければなりません。その部分をもう少し楽にできないか。例えば、認証評価で「可」が続いているものについて、基礎資料が大学のウェブサイト上で公開されているならば、その大学は書類作成が免除されるといったことです。認証評価は大学にとっては負担感が大きく、適合を受けることがメリットになるという意識があまりありません。しかし本来、認証が通っていることの価値を国や認証評価団体はもっと打ち出していくべきだと思います。とりわけ国際性の確保という点においては非常に重要で、世界にアピールする際の具体的な価値にもなりますし、留学生の確保においても重要です。理系や経営学のような世界水準で動いている分野に関しては特にそうでしょう。 ――専任教員についても今回かなり議論が出ていたところだと思います。今後は専任教員の概念が「基幹教員」に改められることになりました。現在は一つの学問を教えるために専任教員が「パーヘッドで何人必要」と、いわゆる頭数で捉えられているわけですが、今後は他の大学の先生の兼務やクロスアポイントメント等によって頭数ではなくエフォート管理のようなことが可能になるということでしょうか。学位プログラムを機能させることについて責任を持つ人たちの集団を明確化して、学生の教育をしっかりすることができるのであれば、教員の所属が兼務であっても「基幹教員」ということになります。責任を持てる立場の教員が増え、企業に勤める方が大学の「基幹教員」となり教育に責任を持つということもあり得るようになります。言い換えると、一定範囲内であれば、他大学・他学部との兼務であっても、「基幹教員」の必要最低数が満たされているのであれば、新たな学部・学科の設置にも挑戦できるので、運用面での弾力化のメリットが出てくると思います。その時の議論で出てきたのは、常勤ではないけれども実質的に深く関与している先生を基幹教員に組み込む場合、労働条件は良くならないのに責任だけは負わされるということが起こり得るのではないかということです。留意事項として「教育研究の質の低下を招かないよう、学内及び学外での兼務の際の取り扱いやその際の条件については制度化に当たり留意する必要がある」と入れたのはそのためです。――今回、内部質保証等の体制が十分機能している大学には、教育課程等に係る「特例」を認めるとありますが、この「特例」とはどのようなものだと考えればよいのでしょうか。専任教員から「基幹教員」へ概念が変更「特例」により先進的な取り組みを推進「質保証が確保されていれば、かなりの取り組みが可能に」大学が認証評価を受けることの価値を国も評価団体もより打ち出すべき

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