カレッジマネジメント233号
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59討方針とし、「客観性の確保」「透明性の向上」「先導性・先進性の確保(柔軟性の向上)」「厳格性の担保」という4つの視座を設定して具体的な検討を進めた。各質保証システムの改善・充実方策については以下の通りである。(1)大学設置基準・設置認可審査大学設置基準は、大学としての必要最低限の量的・質的構成要素を具備しているかを確認するための基準として定められている。また、設置認可審査は、大学や学部の新設等について、大学設置基準に適合しているか等について審査し、文部科学大臣が認可をする仕組みである。審議まとめでは、近年、大学を取り巻く環境が急速に変化するとともに、新型コロナウイルス感染症の拡大により、キャンパスを中心とする大学の日常が大きく変化する中で、大学設置基準については、①時代の変化に対応しつつ将来を見据えた大学設置基準全体の見直しを行うとともに、②共通となる最低基準性を担保しつつ大学教育の多様性・先導性を向上させていくような見直しが求められることが示された。そのため、具体的な見直しの内容として、・分散して規定されている教員や事務職員、各種組織に関する規定を一体的に再整理する・「一の大学に限り」という「専任教員」の概念を「基幹教員」(仮称)と改め、設置基準上最低限必要な教員の数の算定にあたり一定以上の授業科目を担当する常勤以外の教員について一定の範囲まで算入を認める・「図書」「雑誌」等を電子化やIT化を踏まえた規定に再整理する・大学設置基準上、教育を補助する者について明示的に規定する・実務家教員の定義の明確化や大学名称の考え方を周知する・「講義・演習・実習・実験」の時間区分の大括り化や単位当たり時間は標準時間であることの明確化など単位制度運用を柔軟化する・機関として内部質保証等の体制が機能していることを前提とした教育課程等に係る特例制度を新設する(例:遠隔授業による修得単位上限(60単位)、単位互換上限(60単位)等)・校舎等施設は、多面的な使用等も想定し、機能に着目した一般的な規定として見直す・スポーツ施設等を各大学の必要性に応じて整備できるよう見直すことなどが提言されている。(2)認証評価制度認証評価制度は、国際通用性のある質保証の枠組みとして、質保証システムの事後チェックの中核的な役割を担っている。一方で、・認証評価について、内部質保証が真に有効に機能しているか否か・認証評価機関によって評価結果や評価水準の違いが存在するのではないか・評価結果について、ホームページにおける公表が必ずしも社会が利用しやすい形になっていないのではないか・評価に伴う大学の負担が増加しているのではないかといった指摘がある。そのため、審議まとめでは・学修成果の把握や評価に関することや研究成果を継続的に生み出すための環境整備や支援の状況に関することについても大学評価基準に追加する・特に優れた内部質保証の体制・取組と認定された大学や適切な情報公表を行っている大学に対して、次回の評価で評価項目や評価手法を簡素化するなどの措置を可能とする・不適合の大学について受審期間を短縮化する・大学の受審負担を軽減する仕組みや分野別評価の合理化の在り方について引き続き検討する等の提言がされている。(3)情報公表情報公表は学生等、直接の関係者に加え、社会に対して説明責任を果たしていくうえで重要である。また、情報公表による多様なステークホルダーとの深い関わりを通じて、各大学の教育研究活動の質を維持・向上させ、社会からの信頼と支援を得て、さらに質の向上につながることが期待される。そのため、特集03新たな質保証システムで何が変わるのかリクルート カレッジマネジメント233 │ Jul. - Sep. 2022

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