カレッジマネジメント233号
60/92

60リクルート カレッジマネジメント233 │ Jul. - Sep. 2022・「教学マネジメント指針」において、学修成果・教育成果に関する情報の例等のうち「大学の教育活動に伴う基本的な情報であって全ての大学において収集可能と考えられるもの」と整理されたものについては、認証評価の実施上も当該指針を踏まえて確認を行うこととする・各大学が情報公表を行うべき項目として「大学入学者選抜に関すること」等を追加する等の提言がされている。(4)その他の重要な論点(既存制度の周知や大学現場での効果的な運用)審議にあたっては、大学設置基準をはじめとした質保証 新たな時代を見据えた質保証システムの改善・充実について(審議まとめ)概要○「大学設置基準」「大学設置認可審査」「認証評価」「情報公表」という我が国の公的な質保証システムは、事前規制型と事後チェック型それぞれの長所を組み合わせた形で設計されており、一定程度機能している。○しかしながら、3つのポリシー(入学者受け入れの方針、教育課程編成・実施の方針、卒業認定・学位授与の方針)に基づく教育の実質化を進める必要があるという指摘や、グローバル化やデジタル技術の進展に対応する必要があるという指摘、新型コロナウイルス感染拡大を契機とした遠隔教育の普及・進展を踏まえた対応を行う必要がある等の指摘がある。⇨大学における国際通用性のある「教育研究の質」を保証するため、質保証システムについて、①最低限の水準を厳格に担保しつつ、 ②大学教育の多様性・先導性を向上させる方向で改善・充実を図っていくことが求められている。<改善・充実の方向性>【学修者本位の大学教育の実現】○学位プログラムの3つのポリシーに基づく編成、学位プログラムを基礎とした内部質保証の取組、内部質保証による教育研究活動の不断の見直しが求められることを明確化。【客観性の確保】○分散して規定されている教員や事務職員、各種組織に関する規定を一体的に再整理。○「一の大学に限り」という「専任教員」の概念を「基幹教員」(仮称)と改め、設置基準上最低限必要な教員の数の算定にあたり一定以上の授業科目を担当する常勤以外の教員について一定の範囲まで算入を認める。※教育研究の質の低下を招かないよう制度化に当たっては留意。○「図書」「雑誌」等を電子化やIT化を踏まえた規定に再整理。○大学設置基準上、教育を補助する者について明示的に規定。○実務家教員の定義の明確化や大学名称の考え方を周知。 等【先導性・先進性の確保(柔軟性の向上)】○「講義・演習・実習・実験」の時間区分の大括り化や単位当たり時間は標準時間であることの明確化など単位制度運用の柔軟化。○機関として内部質保証等の体制が機能していることを前提とした教育課程等に係る特例制度の新設。  例)遠隔授業による修得単位上限(60単位)、単位互換上限(60単位)、授業科目の自ら開設の原則、校地・校舎面積基準等○校舎等施設は、多面的な使用等も想定し、機能に着目した一般的な規定として見直し。○スポーツ施設等を各大学の必要性に応じて整備できるよう見直し。等・学校教育法の規定に照らすと「教育研究の質」・「学生の学びの質と水準」とともに、教育と研究を両輪とする大学の在り方を実現する観点からは、持続的に優れた研究成果が創出されるような研究環境の整備や充実等についても一定程度確認する必要。2つの検討方針 :①学修者本位の大学教育の実現        ②社会に開かれた質保証の実現4つの視座   :①客観性の確保 ②透明性の向上 ③先導性・先進性の確保(柔軟性の向上)④厳格性の担保 ※それぞれの視座は背反関係にあるものではなく、相互に関係し合うものであることに留意が必要<改善・充実の方向性>【学修者本位の大学教育の実現】○内部質保証について、自己点検評価結果による改善を評価し公表する形へと充実。○学修成果の把握・評価や、研究環境整備・支援状況の大学評価基準への追加。【客観性の確保】○多様性に配慮しつつ認証評価機関の質保証に資する取組の推進。【透明性の向上】○各認証評価機関の評価結果の一覧性を持った公表の検討。【先導性・先進性の確保(柔軟性の向上)】○内部質保証の体制・取組が特に優れた大学への次回評価の弾力的措置。○法令適合性等について適切な情報公表を行っている大学への法令適合性等に関する評価項目や評価手法の簡素化などの措置。 等【厳格性の担保】○不適合の大学の受審期間を短縮化(例:3年)。<改善・充実の方向性>○「教学マネジメント指針」を踏まえ、認証評価において大学の情報公表の取組状況を確認。○「大学入学者選抜に関すること」等を学校教育法施行規則に規定する各大学が公表すべき項目に追加。等<改善・充実の方向性>【学修者本位の大学教育の実現】○遠隔授業に関するガイドラインの策定○大学運営の専門職である事務職員等、質保証を担う人材の資質能力を向上させる観点から、SD・FDの取組等を把握・周知【客観性の確保】○設置認可審査を経て認められた分野の範囲内なら大学の判断で新たな学位プログラムが実施可能であることを周知。○修業年限は「おおむね4年」の期間を指すものであり、厳密に4年間在籍することを求めるものではないことを明確化。 等【先導性・先進性の確保(柔軟性の向上)】○基盤的経費の配分や設置認可申請等における定員管理に係る取り扱いについて、現行で入学定員に基づく単年度の算定としているものは、収容定員に基づく複数年度の算定へと改める(成績管理の厳格化・明確化と両立が図られるように留意)。 等(1)大学設置基準・設置認可審査(2)認証評価制度(3)情報公表(4)その他の重要な論点質保証システムで保証すべき「質」背 景改善・充実の方向性令和4年3月18日 中央教育審議会大学分科会質保証システム部会

元のページ  ../index.html#60

このブックを見る