カレッジマネジメント233号
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事例report_06 北海道医療大学データサイエンス(DS)教育の最前線による新たな価値創出MDASHリテラシープラス採択プログラム「医療系大学での学びあいと内製AIによる学修者本位の教育」65リクルート カレッジマネジメント233 │ Jul. - Sep. 2022積された大量の学修ログを解析するため、機動力の高い中小規模のAIを多数開発・実装し、全学的に個別最適化された教育を展開することが、DX推進計画の目的です」。過去の実績の厚さに加え、政府のAI戦略策定等の動向と相まって、冒頭の連続採択にも至った。先見の明と言うほかない。「最初から目的を揃えていたのではなく、様々なことがつながった結果」と二瓶氏は謙遜されるが、自校の今後を真摯に見据え、たゆまぬ改革を積み上げていたからこその成果であろう。何ごとも、動向が見えてから改革検討を始めるのでは遅いのである。北海道医療大学(以下、医療大)は、2021年3月にDX推進計画を公表した。同時に文科省「デジタルを活用した大学・高専教育高度化プラン」に採択され、同年8月にはMDASHリテラシープラスに認定されている。こうした一連の経緯を、情報センター長の二瓶裕之教授は、「AI時代に向けて教育を変革していく動き」と表現する。かねてより医療大では独自の教育手法を確立するために、15年間にわたり教育支援システムを内製してきた。「LMS等に蓄DX推進計画で目指す教育のパラダイムシフト情報センター長二瓶裕之 氏図1 DX推進計画全体像A. 基礎的な知識の定着を図るAIB. デジタル空間の刺激 により学びを動機づけるAIC. 学生一人ひとりに最適化した教育を実現するAI5. AIが習熟度に合わせて最適な演習問題を提示6. AI e-ポートフォリオが学修記録から将来像を予測教育支援システムLMS継続的な大学全体の教育高度化大規模AIへ医療のDX推進AIに振り回されることのないように、全学的に初年次のデータサイエンス教育を実施医療人を目指す学生の視点に立った学修者本位の学修支援各学部の教育に柔軟に対応できる小・中規模の多種多面的AIを学生が参加して内製小・中規模の機動性の高いAIを整備―医療系大学において学生参加型で内製―多様なAIのなかからオープンソース化が可能なモジュールについては教育機関へ公開し、本事業の成果を全国へ普及本学が内製蓄積された教育ビッグデータ機動性の高い小中規模のAI機動性の高い小中規模のAI3. AIが反転授業を動機づけ4. AIがグループワークをコーチング1. AIがノートやレポートの文章をチェック2. AIが大学教育に必要なスキルの修得を支援持続可能なAIの開発体制

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