カレッジマネジメント233号
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67リクルート カレッジマネジメント233 │ Jul. - Sep. 2022科目をバージョンアップすることで無理なく全学履修体制を整備し、また学び方をAIによって工夫することで、DSの授業内容を授業時間内に定着させることが可能となった。プラス認定の条件である「全学履修率50%以上」と「独自性」を両立する打ち手だと言えよう。次に、こうした動きの主管部署である情報センターについても触れておきたい。情報センターの設置目的は、「医療大の教育に合わせ、外部システムをカスタマイズするのではなく、ICTを活用したシステムを独自に開発すること」だ。情報関連の多様な業務を行っており、AI授業設計のデザインも一手に引き受ける。構成員は工学系教員2名と、医療系教員3名、情報推進課で、二瓶氏は「専門教育の先生に参加頂いているのが大きい」と言う。技術を形にする人と教育のあり方を考える人がチームになっているため、医療大の教育にとって必要な情報デザインが構想できる。また、情報センターが考案した内容を「最初は多少使いにくくてもまずは使ってみて皆でチューニングしていこう」という学内の推進力が高いことも、成功の要因の1つであるようだ。今後の動き・方向性についても伺った。まずは、MDASHの次の展開だ。現在リテラシーレベルに続き、応用基礎レベルの授業も設計・展開中である。図3に示すように、基礎的な情報スキルを踏まえ、医療系学科の専門性×DSという躯体での情報力育成が目的だ。文科省への申請は実績を踏まえた内容で来年度を予定している。また、令和3年度文科省「ウィズコロナ時代の新たな医療に対応できる医療人材養成事業」に薬学部が採択された。医療系学部を有し、遠隔医療やデジタルを活用した実習・教育内容の充実を図る大学の環境・機材整備を支援するもので、医療大はVRを活用した教育実践にチャレンジしている。「許諾をいただいた医療機関で、全天球カメラで医療現場を撮影し、教室でVRゴーグルを装着することで体感できる仕組みを作っています」(二瓶氏)。写真では実現し得ない没入感や、普段は近づけない場所に行けたり、繰り返しの視聴や外部モニターに出力したりできるのがVRの魅力だ。「オフラインの代替手段としてのデジタルではなく、デジタルだからこそできる価値創出と、それにより学生に選択肢が増えること、学習効果が高まることに拘りたい」。それこそが、医療大が策定したDX推進計画の真髄なのである。(文/鹿島 梓)図3 応用基礎レベルのAI×専門性図人間の知的活動とAI技術の4要素作業・理学療法士臨床心理士歯科医師薬剤師身体・運動言語・知識認識予測・判断AI関連の開発・設計を担う専門部署がブレーンとなり学内のAI対応を推進デジタルならではの価値創出で次のステージへアームロボット、IoT、生体情報モニタリング副作用モニター、遠隔医療、見守り行動観察、心理支援プログラムリハビリテーションロボティクス、福祉機器、BMICAD/CAMの設計・加工、教育用・研究用シミュレーションロボット自然言語処理、形態素解析、単語分析、音声出力処方箋監査、薬剤管理心理検査報告書等各種レポート作成、心理支援プログラムリハビリテーション記録、治療計画立案治療計画立案、教育用・研究用シミュレーションロボットパターン認識、文字認識、画像認識、音声認識薬歴入力、服薬指導カンファランス、心理支援プログラム画像評価、動作分析画像診断、治療計画立案、症例難易度診断決定木、自動探索、ランダムフォレスト、クラスター分析自動健康診断、処方箋監査、副作用早期発見データ解析、支援計画立案臨床推論、予後予測、治療計画立案医療ビッグデータ解析、治療計画立案、患者の予約管理

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