カレッジマネジメント233号
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68リクルート カレッジマネジメント233 │ Jul. - Sep. 2022個別最適な学びの適性をどう見極めるか入試は社会へのメッセージ#4曽和利光氏(株)人材研究所 代表取締役社長視点提供インタビューリクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長と、人事・採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験、また多数の就活セミナー・面接対策セミナー講師や情報経営イノベーション専門職大学客員教授も務め、学生向けにも就活関連情報を精力的に発信中。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。2011年に株式会社人材研究所設立。著書等:『人と組織のマネジメントバイアス』、『コミュ障のための面接戦略』、『人事と採用のセオリー』、『悪人の作った会社はなぜ伸びるのか?人事のプロによる逆説のマネジメント』、『「ネットワーク採用」とは何か』、『知名度ゼロでも『この会社で働きたい』と思われる社長の採用ルール48』、『『できる人事』と『ダメ人事』の習慣』探究シフトとは、個別最適化された学びへの変容を意味する。では、そうした教育が普通になった場合、入試はどうなるのか。個人の問いを軸にした学びの設計と大学教育のシームレスな接続を見据えれば、当然選考自体も個を見出す選考へとシフトすることが望ましいように思われる。企業のビジョンや業務内容と、応募者の特性・意欲をマッチングさせる企業採用との類似性からこうした入試設計へのヒントを得るべく、(株)人材研究所代表取締役社長の曽和利光氏にお話を伺った。――採用活動は企業経営においてどのような意義を持つのでしょうか。大前提として、企業は事業で利益を生むことを目的に活動します。そうした活動を担うにふさわしい人材をいかに見極めるかが採用ということになります。採用によるミスマッチは、企業の行く末に多大な影響を及ぼします。採用時点で事業に合っていない人材を採ってしまうと、育成によってチューニングするのは至難の業です。また、自分がフィットしていない環境で働くことは本人にとってもストレスです。結果、育成のための投資を回収できる前に退職してしまったりする。まず、事業に必要な人材を事業戦略に沿って明確に規定し、採用していくことが、事業経営の基本です。翻って大学入試の場合、大学教育にマッチする人材を獲得できるかどうかは、狙い通りに成長して社会に輩出される段階での大学への評価、つまりブランドになります。また、ミスマッチは退学率向上にも直結します。そう考えれば、入試設計は経営課題であるはずだと思います。――企業採用は求める人材像を評価するために様々な方法を駆使しているかと思いますが、今の採用はどうなっているのでしょうか。ここ10年くらい、面接という評価手法に懐疑的な風潮が企業経営における採用の意義・役割とは事業に必要な人材を定義し必要な素養を問う選考を構造化する

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