カレッジマネジメント233号
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リクルート カレッジマネジメント233 │ Jul. - Sep. 202272事例report 国際基督教大学(ICU)アドミッションズ・センター長平島 大氏入試は社会へのメッセージ国際基督教大学(ICU)は「自校教育への適性」を入試に盛り込んでいる大学として著名だが、現在のICUのカリキュラムにフィットする人材が持つスキル・コンピテンシーとは何か、それをどのような判断軸で見極めているのか。アドミッションズ・センター長の平島 大教授にお話を伺った。最初に、ICUの学びの特徴を押さえておきたい。まずは、自分軸でカスタマイズできる学び。自分の学びを自分でデザインできるメジャー制(2年次終わりに選択)で、分野にとらわれない広い視野と統合力を身につける。4年間で12回の科目選択機会があり、個人の興味関心に応じて柔軟なカリキュラム設計が可能だ。次に、少人数による双方向授業を基本とすること。ICUの学びはダイアログがベースであり、他者との対話により様々な刺激を受け、可能性が開花していく。こうした個人の興味関心を起点とした学びの設計が円滑に進むよう、専任教員による教員アドヴァイザー制度や学修・教育センターが支えるという体制である。では、そうした学びへの適性をどのように考えているのだろうか。図1に示すように、ICUはアドミッション・ポリシー(AP)として4つの要素を掲げている。「APはこういう学生を集めたいという目標であり、こうした教育を行っていくという理念でもあります」と平島氏は言う。「しかし、入試という限られた時間・資源でこの理想を実現するのは容易なことではありません。毎年どうすれば良い選抜ができるかを模索しています」。こうした素養を見出すためにICUは多様な選抜方法を用意している(図2)。面接が主軸となるが、一般選抜で丁寧な面接を全員に行うのは物理的に困難だ。そこでICUが一般選抜で取り入れたのが総合教養ATLASである。小誌でも過去何度か取材している(197号他掲載)。ATLASは図1のうち、特に①②、即ち幅広い知的好奇心から自ら問題意識を涵養し、学びを広げているかを問う。問題や扱うテーマは多岐にわたっている。「本学が掲げる『行動するリベラルアーツ』が扱う、一般的な入試問題の枠から逸脱したテーマは、高校生が正解を出せるわけではないところ、でも考えてほしいところ。この試験を受けて『楽しい』と思える人はICUの教育に向いています」と平島氏は言う。ATLASでは、まずテーマに関する講義(約15分)を受け、その内容や関連する論述や設問に解答する。人の話を聞いてその場で理解することが、先に挙げたダイアログの基礎体力を問うのだという。また、それは③のグローバルなコミュ#4①文系・理系にとらわれない広い領域への知的好奇心と創造力②的確な判断力と論理的で批判的な思考力③多様な文化との対話ができるグローバルなコミュニケーション能力④主体的に問題を発見し、果敢に問題を解決してゆく強靭な精神力と実行力図1  アドミッション・ポリシー個別最適な学びの適性をどう見極めるか個別最適な学びを実現するリベラルアーツ学際的テーマへの主体的な学びのスタンスを見極める

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