カレッジマネジメント233号
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74リクルート カレッジマネジメント233 │ Jul. - Sep. 2022大阪府吹田市に所在し、理工、政治経済、社会、教育、保健医療の5学部、学生数約3000名を擁する大和大学。全国屈指の進学校、西大和学園が2014年に開学した同大学は、リクルート進学総研「進学ブランド力調査2021」の関西エリア志願度ランキングにおいて、開学からわずか8年で対前年10ランクアップの18位となった躍進中の大学だ。同学園の創始者であり、自ら学長を務める田野瀬良太郎学長は、「36年前に西大和学園高等学校の認可を受けた当初から、学校法人と称するからには、幼、小、中高、短大、大学の全てを運営する総合学園にするのが夢だった」と語る。同学園は奈良県を中心に、1986年に設立した西大和学園高等学校、1988年に同中学校、1993年に幼・小・中課程のカリフォルニア校、1998年に白鳳女子短期大学(現白鳳短期大学)を開学してきた。いよいよ大学をという時に「目指したのは入試難易度において、“東の早慶、西の大和”と称されるレベルの大学を作る」というものだった。大学開学の動機の一つとして田野瀬学長は、「私どもの中高の生徒達は、概ね難関国立大を目指す。関西では京都・大阪・神戸大ということになるが、志望校に合格できなかった場合、関西の私大ではなくレベルの一致する関東の早慶に進学するという選択肢を取らざるを得ない。しかし後者は保護者の経済的負担増や関西からの人材流出が問題」だと言う。企業人だった自身の経験による「顧客第一」を信念に、学校や教員側の都合ではなく、学生ファースト、保護者常に「学生ファースト」を基点に、変化し続ける瞬発力ある大学800近い大学があるなか、その大学ならではの独自性をいかに確立するか、そしてどのように高校生をはじめとするステイクホルダーに伝えていくかは、大学の経営戦略における生命線ともいえるだろう。本企画では、選ばれる大学としてのブランドを明確化するとともに、ブランド力向上のためのコミュニケーション戦略を磨き続ける大学を紹介する。大和大学“東の早慶、西の大和”を目指す#3ファーストで施策を講じてきた。学校運営で一番大事なことは、生徒・保護者との信頼関係の構築で、それに腐心してきたという。大学も「関西にいたい受験生の進学先確保」という顧客ニーズに応えるものだ。“東の早慶、西の大和”を目指し、まず校地に選んだのは大阪だった。JR大阪駅から9分、吹田駅近くのアクセスに恵まれた校地について、「通いやすさは学びやすさ」であり、関西一円のどこからでも通える場所でなければ多くの受験生には受験してもらえないと考えた。さらに「一番大事なのは総合大学という構え」とし、今後の受験生減少を鑑み、学部数は文理を備えた6~7学部、学生数は7000~8000名中高の良さを生かした担任制と高い出口実績図1 開学から学部設置の動き2014(平成26年)2016(平成28年)2020(令和2年)2021(令和3年)2023(令和5年)開学教育学部・保健医療学部政治経済学部理工学部社会学部情報学部 ※開設予定(設置届出中)田野瀬 良太郎 学長

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