ただでさえ緊張する面接。それなのに敬語で話さなくちゃならないなんて、さらにプレッシャーがかかるよね。
そこで敬語の使い方を基礎編・応用編に分けて紹介。コツを押さえたら、普段から敬語を使う練習を始めよう。
AO・推薦入試対策ゼミ・カンザキメソッド代表。一橋学院、LEC 東京リーガルマインドをはじめ、全国各地の高校や大学で、志望理由書・自己推薦書・小論文・面接対策の講義・講演を行っている。日本キャリアデザイン学会・日本リメディアル教育学会正会員。
『小論文の完全攻略本 総合解説本』(文英堂・2010年発行)など、小論文や志望理由書に関する著書多数。
体育会系でありがち。これは「元気の良さ、明るさ」と、「威勢のいい言葉遣い」をはき違えているケース。語尾をきちんと発音しないで、「~っす」という表現は、面接官にとって無礼者以外の何ものでもない。語尾はキッチリ発音しよう。
「うちの親」「クラスの担任」「推してました」は乱雑な印象。「私の両親」「クラスの担任の先生」「紹介してくれました」にするなど、適切な表現を心がけて。ちなみに「行ければ」は「れ足す言葉」、「推してました」は「い抜き言葉」というNG表現。
↑の例文の違い、わかるかな。NGは「見れた」だが、OKは「見られた」。「ら抜き言葉」は面接ではNG。食べれる→食べられる、のように「ら」を抜かずに表現を。ほかに「い抜き言葉」にも注意を。「知ってる」ではなく「知っている」が正しい表現だ。
「ご推薦」「出させていただき」「学ばせていただき」に注目。「ご○○」「いただく」が誰に対しての敬意表現かが問題だ。家族や親族はもちろん、学校の先生も「身内」と捉え、特に敬意を払わなくてよい。なお、「出させて」は「さ入り言葉」というNG表現。
話の内容はマトモだが、語尾を伸ばすことでだらしない印象に。語尾は伸ばさず、なおかつ上げない。語尾を上げて、相手に同意を求める口調は、自信がないと思われるかも。また、「なので」は文頭に使わず、「だから」や「ですから」に言い換えを。
「さ入り言葉」の失敗例。「行かさせて」に余分な「さ」が入っている。正しくは「行かせて」だ。けれど、この場合、「行かせていただく」よりも「うかがう」にしたほうがスッキリする。さ入り言葉に注意し、言葉ごとに的確な表現になるよう言い換えて。
語尾が「~スよね」「っていうか」というのは問題外。ら抜き言葉の「見れる」は「見られる」が正しい。「自分的には」もNG。さらに言葉遣い以上に深刻なのが、自分がこうしたいということばかりで自己中心的な点。社会貢献など、幅広い視野で考えてみよう。
「あたし、○○に興味あるじゃないですか~」と言われても、初対面の面接官は知らないこと。自分を知らない相手に、自分をアピールする場だという点をお忘れなく。また、相手に同意を求めるよりも、自分の意見を明確に伝える努力をしよう。
「模擬面接をしていると、せっかくいいことを言っているのに、話しぶりがダメで『もったいない!』と思うケースを多く見かけます。そもそも敬語とは、相手を尊重し、コミュニケーションを円滑に進めるための潤滑油。上手に敬語を使うには、身内と他者(敬うべき存在)の区別をつけ、思いやるという姿勢が大切です。社会に出てからも役立ちます。普段から敬語に慣れておきましょう」(カンザキメソッド 神崎史彦先生)
構成/平林朋子 取材・文/夏井坂聡子 デザイン/アトリエあふろ イラスト/古海幸子