奨学金は種類によって採用条件が異なります。日本学生支援機構(JASSO)は学校の種別(国公私立、大学・専門)と、予約採用か在学採用か、給付型か貸与型でちがいがあり、貸与型は第一種(無利子)、第二種(有利子)でも若干異なります。採用枠の多い貸与型の家計基準は下図のとおり。学力基準は第一種が、学習成績の状況(※1)が5段階評価で3.5以上か、一定の条件に該当する人。第二種は学年の平均水準以上です。2020年度から始まった修学支援新制度の給付型奨学金は、住民税非課税世帯やそれに準ずる世帯が対象です。
自治体が実施する奨学金は、その地域に居住している人が対象。民間団体の奨学金はそれぞれ独自の採用基準があり、大学や学部を指定していることも。大学独自の奨学金は経済的支援を目的にしたものと、成績優秀者向けがあり、首都圏の大学では、1都3県以外の学生を対象にした奨学金もあります。入試の成績や、各学年で優秀な成績を修めた学生に対し、授業料相当額またはその一部を給付する大学もあるので、入学後にも成績を上げれば受給するチャンスはあります。
日本学生支援機構の奨学金は、大学などへ入学した後、所定の手続きを経て毎月一定額ずつ振り込まれます。予約採用の人は1回めの振り込みが5~6月で、以降は毎月決まった日に月額分が振り込まれるので、入学前に必要な初年度納付金には間に合いません。したがって学費も、初年度の分だけは事前に用意が必要。ほかの奨学金も入学後に受け取れるものがほとんど。ただ予約採用型の奨学金では、採用候補者が納める入学手続き時の納付金に、奨学金を充てる大学も一部にあります。
奨学金を学費に充てる場合は、月々受け取るお金を口座にそのまま残しておき、翌年の学費にまわすことが大切です。
一般的な借金と異なり、在学中は返還の必要がなく、卒業後に毎月決まった金額を返していきます。日本学生支援機構の場合、卒業半年後から返還スタート。毎月の返還額や返還期間は、在学中の貸与総額などで決まります。月額8万円で4年間利用すると、下図の例では毎月1万6855円(最終回端数調整あり)を20年にわたって返還。日本学生支援機構には所得が減少したら毎月の返還額も減る「所得連動型」もありますが、返還期間が延びる点は要注意。負担を考え、借りる金額は必要最小限に。
進学費用のための貯蓄をしていたり、学資保険に加入していたりと、家庭ごとに状況は異なるので、現時点で用意できる進学資金を調べ、それで足りない場合はどうするかを早めに考えておくことが重要です。
まずは月々の収入とボーナスから積み立てられる金額を考え、1年間でどれだけ貯められるかを計算。用意できている資金と合わせ、最低でも1~2年分の学費は準備したいところです。それでも足りない分は、ほかの貯蓄から取り崩すか、奨学金や教育ローンで補うことを検討します。
資金が不安なら、条件に合う大学独自の給付型奨学金を探してみては。少しでも給付型をもらえれば、その分、家庭の負担は減少し、安心。各大学のホームページを要チェック!
現在自宅外から通う学生の約7割は、生活費などを補うために何らかのアルバイトをしています(※1)。自宅生でも小遣いやサークルなどの活動費はバイトで賄う学生が多いようです。学生のバイトは居酒屋やファストフードなどのフード系とコンビニなどの販売・サービス系が多く、時給は地域や時間帯でも異なりますが、全体の平均額で約1100円台となっています。
平日は授業との兼ね合いで夕方から夜にかけて働く人が多く、休日を含めても週に2~3回、1回当たりの勤務時間は数時間で、月収は3万~6万円程度という学生が大半です。バイトに精を出しすぎて、授業がおろそかになったり、単位を落としたりする学生もいるので、最初からバイト収入に期待しすぎるのも危険です。また最近ではアルバイト従業員に正社員並みの業務や責任を課し、学業や日常生活に深刻な影響を与える「ブラックバイト」が一部で問題になっています。あくまでも学業を最優先したうえで、アルバイト先を選んでいくことが必要です。
一人暮らしの場合は特に、学校生活に慣れるまでは仕送り額を多めに考えてあげられると安心です。
一人暮らしの学生に必要な生活費は、主に住居費と光熱費、食費のほか、通学費や活動費、書籍の購入費など。最近はスマホなどの通信費も必要ですが、平均すると月約12万円となっています。このうち、仕送りの平均が7万円くらいなので、残りを奨学金とアルバイトで賄っているのが現状。支出の内訳では住居費の占める割合が大きく、平均で約5万3000円。次が食費で約2万4000円です。とはいえ、都市部では住居費が地方より高いので、生活費も高めになりがちで、食費などを節約したり、アルバイトを多めにしている学生も少なくありません。ただし、理系の学生は実験・実習が多くて忙しいので、文系の学生よりアルバイト収入が少ない傾向もみられます。
一人暮らしと学生生活に慣れるまでは、ある程度の時間もかかります。1年めは学業に専念するためにも、保護者として仕送り額を多めに考えておくことが必要かもしれません。
自宅生の生活費は平均5万~6万円で、使いみちは食事代や交通費、教養娯楽費など。自宅生は小遣いとアルバイトで賄う人が多く、大学に入ったら小遣いなしの家庭も。
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JASSOの奨学金は大学なら4年ないし6年間受給できますが、毎年継続の手続きが必要で、所定の単位を修めていないと打ち切られることも。学業に励むことが肝心!