授業料等の減免と給付型奨学金で支援
世帯年収が一定額以下の学生が対象!
2020年度から始まった国の「高等教育の修学支援新制度」は、経済的な面で大学等への進学に悩む人を、授業料等の減免と給付型奨学金の2つで支援する制度です。
対象になる人は、年収が住民税非課税世帯か、それに準ずる世帯の学生。対象の学校は大学・短大、高専、専門学校の大半で、文部科学省の専用サイトで公表されています。
入学金・授業料の支援額は、住民税非課税世帯の場合、国公立大学はほぼ全額免除(表1)。私立大学もこの分だけ減額になり、家庭の負担は大幅に減少します。住民税非課税世帯に準ずる世帯は、減免額が表1の金額の⅔か、⅓です。対象者は、日本学生支援機構から表2の給付型奨学金も受け取ることができます。
新制度の支援のしくみ
図の年収の目安は、両親と学生本人、中学生の弟妹がいる4人家族の場合。区分ごとの年収基準は家族構成等によって異なることに注意。
表1:入学金・授業料の減免額(昼間部)
表の上限額は、住民税非課税世帯が受けられる免除・減額の金額で、それに準ずる世帯はこの金額の2/3か、1/3の金額になる。入学金や授業料は、進学先の学校が減免する。
表2:給付型奨学金
※2024年度大学・短期大学・専修学校(専門課程)の進学予定者(昼間課程)の場合。
※条件に当てはまる学生は、表2の年収区分に応じて、返還の必要のない給付型奨学金が支給されます。申し込みは高3の春に在学中の高校をとおして行い、進学後に在学中の学校を通じて申し込むことも可能。貸与型奨学金との併用もできます。
※高等専門学校(4~5年)に進級する人や、生活保護世帯などは上の給付月額と異なります。
※表1・2ともに文部科学省「高等教育無償化の制度の具体化に向けた方針の概要」(平成30年)より。
奨学金に申し込む際の注意点は?
日本学生支援機構では世帯の所得基準のクリアを
種類により学力基準が問われる場合も
奨学金は種類によって採用条件が異なります。日本学生支援機構では学校の種別(国公私立、大学・専門)と、予約採用か在学採用か、給付型か貸与型でちがいがあり、貸与型は第一種 (無利子)、第二種 (有利子)でも若干異なります。採用枠の多い貸与型の家計基準は下図のとおり。学力基準は第一種が、学習成績の状況(※1)が3 . 5以上か、一定の条件に該当する人。第二種は学年の平均水準以上などです。2020年度から始まった「高等教育の修学支援新制度」の給付型奨学金の条件などは、
国の「高等教育の修学支援新制度」の具体的な内容は?を見てください。
自治体が実施する奨学金は、その地域に居住している人が対象。民間団体の奨学金はそれぞれ独自の採用基準があり、大学や学部を指定していることも。大学独自の奨学金は経済的支援を目的にしたものと、成績優秀者向けがあり、首都圏の大学では、一都三県以外の学生を対象にした奨学金もあります。入試の成績や、各学年で優秀な成績を修めた学生に対し、授業料相当額またはその一部を給付する大学もあるので、入学後にも成績を上げれば受給するチャンスはあります。
日本学生支援機構 大学生の貸与型奨学金の利用条件と貸与額(予約採用の場合)
※日本学生支援機構ホームページ(2024年2月時点)より。
※ 1 2020 年度までの評定平均値のこと。
※ 2 住民税非課税世帯、生活保護受給世帯、社会的養護を必要とする人等は学力基準(学校長の推薦が必要)と家計基準を満たすものとして申し込めます。
※ 3 自宅外通学の人は、自宅通学の月額も選択できます。
※ 4 最高月額。第一種奨学金の最高月額の利用には、第一種・第二種併用貸与の家計基準を満たす必要があります。
注)第一種奨学金と新たな給付型奨学金を併用する場合は、第一種奨学金の貸与月額が減額されることもあります。
日本学生支援機構の奨学金は大学なら4年ないし6年間受給できますが、毎年継続の手続きが必要で、所定の単位を修めていないと打ち切られることも。学業に励むことが肝心!