都市・交通計画研究室

対峙するのは社会課題。
データ解析やAI技術を駆使して
街の安全を、人の幸福を追求する。

色々な人がいて、色々な幸せがある。
 独りよがりではつくれないもの、
  それが私の仕事なんだと思います。

現在、私は一般財団法人計量計画研究所と呼ばれる調査研究機関で、
国や自治体が抱える問題を解決するためのお手伝いをしています。
この仕事を一言で表すとしたら、日本の交通や都市を良くするための専門家。
「陥没事故の修復工事を予定している」というご相談があれば
道路封鎖がどのような影響を及ぼすのかを分析し、
「10年後の都市計画を策定したい」というご相談があれば
その街の現状や将来を分析してベストな街づくりを提案します。
私の専門は、AI技術を活用した交通安全対策等を検討すること。
ですが、データを見るだけで上手くいくほどこの仕事は甘くありません。
建築・土木に経済学、人間工学に心理学。
そして、住民との合意形成や国や自治体などの関係機関との連携。
プロジェクトチームには多種多様な専門性を持つ人材が必要不可欠ですし、
街には色々な人がいて、色々な幸せがあることを考えれば、
その街で暮らす人の声、本音に耳を傾けることも重要になってきます。
街づくりは、全員で成し遂げるチームプレー。
それがこの仕事のあるべき姿であると思いますし、
私たちが背負っている責任でもあります。

困っている人を助ける。結局、そこに尽きるのかなって。

作成した調査資料が国や地方自治体を良くするために使われる。
正直、肩の荷が下りる瞬間というのはないのですが、
携わった仕事の成果がその後、日本全国で新制度として施行されたとき、
凄いことを成し遂げたんだな、と誇らしい気持ちになります。
自分の仕事が社会に影響を与えたとか、
自分の仕事が新聞に載ったとか、そういうことじゃないんです。
ドライバーさんがすこしでも楽になったとか、
交通事故の危険性がすこしでも減ったとか、
そういう誰かの「困った」を解決できたことがたまらなく嬉しいんです。
研究員としての探求心はもちろんあります。
でも結局のところ、
困っている人を助けたいっていう
その一言に尽きるのかなって。

震災復興を目の当たりにして、
人の力って素直に凄いなと。

震災の1年後に行った復興ボランティア。
それが建築・土木の世界に憧れたきっかけです。
あれほど大きな被害があったにもかかわらず、
街にはもう、新しい建物や新しい街ができつつあったんです。
建築って凄いなぁ、人間って凄いなぁって。
もともとは教員志望だったのですが、思い切って方向転換。
そのときは建築と土木の違いもわからなかったので、
1・2年次に両方の知識が学べる東京電機大学に入学しました。
その後、実験・実習の授業で自分は設計とかよりもシミュレーションなどの解析が好きなことを知って、
最終的に土木の道に進むことを決めたんです。
学びながら、やりたい道を探せる。
手を動かしながら、自分の得意を探せる。
このことは電大の大きな魅力になっていると思います。

数々の論文を執筆して。
 日本や世界を飛び回って。
  学生時代は研究にのめり込んでいました。

今の仕事でやっている学問に出会ったのは、大学3年生のとき。
ビルならビル、橋なら橋という一つのものをつくるのではなく、
この街がどうなったらみんなが幸せになれるのかという全体的な視点に惹かれて。
そのまま高田和幸先生の都市・交通計画研究室に入ることを決めました。
私たちの研究室では、研究室の先輩方がやってきた研究テーマを受け継ぐことが
多いのですが、2年かけて私の代で一つの研究テーマを完成させられたこと。
先生の方針で、後輩たちの研究テーマも含めた無数の学問領域に挑戦できたこと。
学生時代に数多くの学会発表の機会をいただき、貴重な経験ができたこと。
国内だけでなく、国際学会では世界各国の街づくりをこの目で見られたこと。
厳しい審査をクリアして、専門誌に論文が掲載されたこと。
そしてなにより、データ解析やAI技術を自分の強みにできたこと。
好きなように研究できる環境を整えてくれた大学はもちろんですが、
好きなように研究させてくれた両親にも感謝の言葉しかありません。

いつの日か
私が受け取った種を、
後輩たちに渡せたらなって。

これまでたくさんの人から教わってきました。
中学生のころは野球の顧問の先生に憧れて、
大学生のころは研究室の教授に憧れました。
私が今、私という人間でいられるのは、
これまで出会った人たちから種を受け取ったから。
いつの日か、私が憧れた人たちのように、
誰かの好きという気持ちや、やりたいという気持ちに光を照らせるような、そんな人間に私もなりたいと考えることはあります。卒業後の今も東京電機大学とは、共同研究や非常勤講師を通して、
学生さんに教える機会をいただいています。
今の私では、まだ難しいかもしれない。
でも、もしも、私にも種を渡せるその日がきたら。
きっと、その瞬間を忘れることはないと思います。

Profile

都市・交通計画研究室 卒業生

Miyauchi Kota宮内 弘太さん

先端科学技術研究科
[博士課程(後期)]
建築・建設環境工学専攻

2021年3月修了
一般財団法人 計量計画研究所

子どもの頃の夢は中学校の教員
このときの憧れは今も生きています

子どもの頃はずっと野球をやっていました。
昔からチームプレーが好きで、みんなで力を合わせてなにかを達成するということに喜びを感じていたように思います。
そんな私が教員を目指すようになったきっかけは、中学生のときに出会った野球部の顧問の先生。
部活や授業の教え方も上手だったのですが、どんな生徒にも分け隔てなく接し、一人ひとりと向き合い、個性を引き出してくれるような、そんな先生だったんです。
現在は研究員の仕事をしていますが、リーダーシップやチームマネジメントが求められる場面では先生の姿をよく思い出しますし、先生ならどんな言葉をかけるだろうと考えることもあるんです。
あのとき憧れた大人に僕もなれるように、日々、この仕事を頑張っています。

Corporate

一般財団法人 計量計画研究所

通称「IBS」の名で知られる、60年の歴史を持つ先駆的な調査研究機関。コンピューターの黎明期に“科学的計画”を担うユニークな研究機関として発足し、以来、社会が抱える様々な現状と将来の課題を、交通、社会経済、都市・地域、環境等の分野を通じて解決に導いてきた。

理工学部
建築・都市環境学系

都市・交通計画研究室のいま

航空機の騒音と利便性をデータ化
空港のあり方を多角的に検証する

2020年、羽田空港で南風時に都心上空を飛行する新しいルートが導入されました。本研究は、航空機が通る地域に与える騒音の影響や空港を使うことで得られる社会的な利便性を比較し、その公平性を数字で示すことを目指しています。研究にあたり心掛けたのは、既存のデータを机上で分析するだけでなく、必ず自分の目で確かめること。そのため実際に現場を訪れ、利用者の行動や環境条件を把握したうえで、データの補正や修正を行いました。検証の結果、千葉県に集中していた騒音は分散したものの、その負担は依然として大きいことが分かりました。この研究は、単に騒音の大きさを測るだけでなくジニ係数などの公平性を測る指標を用いて、誰が便利さを得て、誰が負担しているかを明らかにするものです。航空分野は今後も需要増が見込まれ、環境負荷や空港容量、地域住民との合意形成など解決すべき課題が多くあります。研究成果が将来の空港運営のあり方を検討するうえで役立てばうれしいです。また、国内外の学会で発表し、多くの研究者と議論を交わすことで国際的な視点を得られた点も大きな収穫でした。

都市・交通計画研究室とは

高田 和幸 教授

都市や交通に関する情報を収集し、解析を通じて将来の都市環境のあり方を探究。点群データを用いた都市環境評価、高齢者の走行挙動解析などの研究を行っている。

大学院 理工学研究科
建築・都市環境学専攻
埼玉県/県立川口北高校 出身 Miyazawa Takashi宮澤 崇司さん

私にとってのData Driven

データから新しい知見と正しい判断を導く

研究は課題が複雑で正解は一つではない。数字と現場の両方を重視することで得られる生きたデータから、新しい知見を見つけて正しい意思決定を導き出したい。