プロなら当然知っている！身体の不思議なメカニズム

針に糸を通す時、思わず息が止まる理由とは？

針に糸を通すといった細々とした作業をする際に、皆さんの息は止まっていませんか？ 実はこれは、体の根元の部分（体幹）が動くのを無意識のうちに防止しているからなのです。細かい作業というと、指先などの末端部分に注目しがち。しかし、不安定な状態の体幹が原因となって細かい作業が上手くできなくなることもあります。こうした身体構造の視点から「できない」理由を詳細に評価し、原因に対してアプローチするのが作業療法士です。例えば、病気やケガ、加齢などで片手が動かなくなった時に、動く方の手だけを使って楽に脱ぎ着ができる方法など、作業療法士は「動作分析学」を用いて日常生活における様々な場面をやりやすくする方法をアドバイスしています。

今すぐ簡単にできる「動作分析学」の基本

「動作分析学」の基本を、皆さんも簡単に体験できる方法があります。それは日常生活での動作の一部を、いつもとは違うやり方で行うというものです。例えば、利き手ではない方の手で箸を使って食事をしてみて「いつもと何が、どう違うのか？」をよく観察してみましょう。食べるスピードや、もしかすると肩が普段より上がっているかもしれません。また、ベッドに寝そべる際、手を小指側からつくと肘を下につきやすいですが、親指側からつくと、なかなか肘がつきません。実はこれには、各指の関節の動きの違いが大きく関係しています。このように人間の身体構造を深く理解しながら、作業療法士は患者様に多様なリハビリテーションを実施しています。