文京学院大学

2024.04.10

子ども

小学校の図工って何のためにあるの?

意外と知らない“あの教科”のこと。先生からお聞きしました!

ほかの人と違っていてもいい、自分なりの意味や価値を見つけること

図画工作科で学んでいるのは、描いたり作ったりすることを通して、身の回りの全てに「自分のイメージ」を持ち、自分なりの意味や価値をつくりだすことです。例えば、同じとがった形の葉っぱでも、シュッとしていてかっこいいと感じる人もいれば、しなやかで美しいというイメージを持つ人もいます。赤や青はどんなイメージの色だろう? 丸ってどういう価値のある形だろう? 身の回りのあらゆることについて、多くの人が同じように知っている意味ではなく、自分なりの意味や価値を形成していく訓練をするのが、図画工作科なのです。この力は、自分らしい人生を自分の力で作り上げるために、そして、人が幸せになるために必要な力です。もし図画工作科の授業がなかったら、自分とほかの人が「ちゃんと違う」、「違っていていい」と感じる機会が減るのではないでしょうか。

自分のワクワクを探してみましょう

図画工作科で身につける「自分なりのイメージを持ち、意味や価値をつくる力」は、人生をかけて伸ばしていく力です。その力を今からでも伸ばすために、意識できそうなことがあります。私たちは、普段の生活の中でいろいろなものを無限に選択しています。着ていく服、食事で使う器、どの道を通って帰ろうか。そんな時に、効率がいいとか、みんなが良いと言っているから、などで選ぶのではなく、自分の中から湧いてくる理由で選んでみるのはいかがでしょう。なんとなくワクワクする、今日は高いところに行きたい気分だから歩道橋を通ってみよう。好きな色を選ぶのと同じように、自分の気持ちや判断で選択することを楽しんでみてください。そして、「どうしてその選択をしたのか」「何が好ましかったのか」を、自分に問うてみてください。それを積み重ねていくと、世の中のあらゆるものに、自分なりの意味や価値を持つ力が伸びていくはずです。そうすると、生きていくことが面白くなっていくと思います。

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造形的な表現の経験や教育(これを美術教育と呼んでいます)は、人がその人らしく幸せに生きるために必要だと信じて、研究や教育実践をしています。元気に生きていくために、美味しく食べて、家族や友人とよく笑い、気持ちよく寝て、美しく暮らすことが、いまの趣味で目標です。
研究テーマ:美術教育の構造と方法についての研究