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東邦大学、Ptf1aが最上流遺伝子として、脳の男性化・女性化に働くことを発見

(2018/7/17)

2018年7月4日に東邦大学医学部解剖学講座 船戸弘正教授が、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター神経研究所 病態生化学研究部 藤山知之研究生、星野幹雄部長と国立大学法人筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構 柳沢正史機構長/教授らと共同研究を行い、小脳や膵臓の形成に関わることが知られているPtf1a遺伝子が胎児期の視床下部において働き、脳の男性化や女性化に関わることを明らかにした。

 

【概要】

男性と女性では脳の構造や機能に生まれつき差異があり、その差異を出発点とし、成長を通じて、ものの考え方や立ち居振る舞い、嗜好などに違いが現れる。
ヒトを含む哺乳類の脳は、「臨界期」と呼ばれる時期にテストステロン刺激を受けると男性化し、その刺激を受けないと女性化することが知られている。
しかし「臨界期」以前の脳の性分化機構についてはよくわかっていなかった。

 

本研究グループは、膵臓や小脳の発達に関わるPtf1a遺伝子が、「臨界期」より遥かに前の胎児期において、視床下部と呼ばれる脳領域の神経前駆細胞で発現することを見出した。
その領域でPtf1a遺伝子を破壊したノックアウトマウスを作成したところ、その脳は「臨界期」にテストステロン刺激を受けても男性化できず、またテストステロン刺激を受けない場合でも女性化できないことが観察された。
このことから、
 
(1)脳の性分化(男性化または女性化)のためには、「臨界期」以前に「性分化準備状態」になる必要があること
(2)胎児期の視床下部Ptf1aが脳を「性分化準備状態」へと導き、その後の「臨界期」でのテストステロン刺激・非刺激によって男性化脳・女性化脳へと性分化させるということが明らかになった。

 

これまでにも脳の性分化に関わる遺伝子はいくつか報告されているが、Ptf1aはそれらの中で最も早く働く最上流遺伝子であり、今回の研究は脳の性分化の最も早期の段階を明らかにしたと言える。
本研究によって、脳の男性化・女性化のしくみがより深く理解できるようになり、今後の脳発達と性差の研究に大きく貢献するものと考えられる。

 
■詳細リンク先(https://www.toho-u.ac.jp/press/2018_index/20180704-894.html)