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専門職大学院ガイド専門職大学院一般の基本情報/最新事情/めざせる資格/学費と奨学金/Q&A/試験攻略法

専門職大学院とは「現場で活躍するプロフェッショナル」の要請に特化した大学院のこと。スキルアップをめざす社会人などが多数学ぶ専門職大学院はどんな分野で開設されているのか、どのような教育に取り組んでいるのか、どんな資格が取得できるのかなどをまとめて解説!

専門職大学院とは

専門職大学院とは、「高度専門職業人の養成」を目的として2003年にスタートした大学院の課程のことです。大学院修士課程・博士課程は、原則として「研究者」を養成しますが、専門職大学院が育てるのは「現場で活躍するプロフェッショナル」。そのため、スキルアップを図りたい社会人、目標とする職種に必要な実務能力を身につけたい学生などが、数多く学んでいます。

2019年度までに全国に開設された専門職大学院は190以上(一部すでに募集停止した大学院も含む)に上ります。代表的なのは、法曹を養成する「法科大学院」、経営に関する専門能力を養う「MBA」、技術経営に特化した「MOT」、会計のプロを養成する「会計大学院」、教員の実務能力やリーダーシップ強化を図る「教職大学院」、公務員など政策のプロを育てる「公共政策大学院」など。このほかにも、「公衆衛生」「知的財産」「臨床心理」「ICT」「グローバル・コミュニケーション」「デジタルコンテンツ」「ファッションビジネス」「ビューティビジネス」など、ジャンルは多岐にわたっています。

教育上の共通する特色としては、①少人数教育、双方向的・多方向的な授業、事例研究、現地調査などの実践的な教育方法をとること、②研究指導や論文審査は必須としないこと、③実務家教員を一定割合置くことなどが挙げられます。

社会人を主要な対象としている専門職大学院も多いため、夜間開講や1年で修了可能なプログラムを採り入れているところも多数。また、民間企業が設立した株式会社立の大学院が目立つのも、専門職大学院ならではの傾向といえるでしょう。

専門職大学院の最新事情

ここのところ全国で新設が続いているのが教職大学院。2016年4月には、岩手大学、秋田大学、茨城大学、埼玉大学、千葉大学、新潟大学、富山大学、金沢大学、信州大学、和歌山大学、島根大学、広島大学、山口大学、香川大学、愛媛大学、佐賀大学、大分大学、琉球大学が、2017年4月には、弘前大学、福島大学、星槎大学、横浜国立大学、三重大学、滋賀大学、立命館大学、熊本大学、鹿児島大学が一挙に教職大学院を開設。これによって、教職大学院は47都道府県中45都道府県に開設され、教員の教育環境に関する地域格差は大きく解消されてきました。

めざせる資格は?

司法試験

法科大学院を修了することにより、修了後5年間5回まで司法試験の受験資格が得られます。法科大学院の修業年限は未修者コースが3年、既修者コースが2年。司法試験の受験資格を得るには、ほかに予備試験を受験するルートもありますが、こちらは合格率が非常に低い狭き門であり、司法試験受験者の多くは法科大学院修了生が占めています。

教員免許(専修免許状)

教員免許の一種免許状を取得している人が教職大学院を修了すると、教育学系の修士課程と同様、専修免許状が取得できます。なお、一部の教職大学院では、入学時に教員免許をもっていない人が、3年間で一種免許状と専修免許状の両方を取得できるコースを設けています(校種は小学校など。大学院によって異なります)。

臨床心理士

臨床心理士専門職大学院を修了すると、実務経験なしで臨床心理士試験の受験資格が得られます。加えて、一次試験筆記試験の論文記述試験が免除されるというメリットも。

公認会計士

会計大学院で一定の科目を履修して修了し、申請をすると、公認会計士試験の短答式試験4科目のうち、財務会計論・管理会計論・監査論の3科目が免除されます。

助産師

天使大学大学院助産研究科助産専攻は日本で唯一の助産師を養成する専門職大学院。看護師の有資格者を対象としており、修了時には助産師国家試験の受験資格が得られます。

専門職大学院の学費と奨学金

専門職大学院の学費

国立の大学院は、入学金28万2000円、授業料53万5800円としているケースが多いです。公立は国立に準じる額か、多少安い程度が相場。私立は大学院によって金額が大きく異なります。入学金は20〜30万円が相場ですが、なかには数万円台というところも。授業料は年額50〜150万円あたりが多いですが、180万円クラスの大学院もあります。そのほか。数万円〜10万円台程度の施設費などが別途必要となります。

専門職大学院の奨学金

専門職大学院は、大学・研究科が独自に設けている給付型奨学金が比較的充実しています。入学試験の成績優秀者を対象に授業料の全額または半額を給付するといった制度の導入が目立ち、募集人数は数名〜十数名が一般的です。

中でも、法科大学院は奨学金制度や授業料減免制度は年々充実傾向にあります。最近は、収入面での制限を設けず、かつ入学者の大半が該当する規模で、授業料の全額・半額免除制度を導入する法科大学院や、奨学生枠の入試で選抜された学生を対象に授業料全額免除に加えて毎月の奨学金を給付する法科大学院も登場。これに準ずるような制度も含め、奨学金・学費減免制度拡充の取り組みは広がりを見せています。

専門実践教育訓練給付の対象となる専門職大学院も

専門実践教育訓練給付とは、「受講開始日現在、在職者であって、雇用保険の被保険者期間が10年以上(初めて支給を受けようとする人は、当分の間、2年以上)あること」などの条件を満たす人が、資格取得やスキルアップのために厚生労働大臣指定の講座を受講した場合、年間最大56万円、3年間で最大168万円が戻ってくる制度。MBA、MOT、教職大学院、法科大学院など、指定講座となっている専門職大学院も数多くあるので、進学予定の社会人は、志望校が該当するかどうか確認しておきましょう。なお、教育訓練給付制度は、自費で負担した学費の一部が後から戻ってくる制度。入学手続き時に支給があるわけではないので注意が必要です。

専門職大学院のQ&A

Q「専門職」の学位は、修士と同等の位置づけになりますか?
専門職大学院は、原則として4年制大学を卒業して学士をもっている人を対象としており、その意味では修士と同様に位置づけられます。ただし、専門職大学院は研究者養成を主眼としておらず、修士論文も課されないため、博士課程への進学を考えている場合には、修士課程と同様のステップにはなりにくいという面があります(専門職大学院から博士課程への進学は不可能ではなく、一部ですが進学例もあります)。
Q修士課程にもMBAなど実務能力養成に力を入れたプログラムがありますが、専門職大学院との違いは?
強いて挙げれば、修了要件として修士論文が課されているかいないかという点です。ただし、専門職大学院でも一部に修士論文を課すところはあるので、これも一概にはいえません。MBAなどを中心に、研究と同時に実務能力の養成に重点を置いている修士課程も多数あり、その場合、専門職大学院と、教育の方向性に関して大きな違いはないと考えていいでしょう。ただし、法学系の場合、専門職大学院である法科大学院とそれ以外の研究科では、教育内容ももちろんですが、司法試験の受験資格を得られるか得られないかという点で明確な違いがあります。教職大学院も、研究系の教育学研究科とは明確に教育の方向性が違います。分野によって傾向が異なるので注意が必要です。

専門職大学院の試験攻略法

専門職大学院の入試は、働きながら通う社会人学生を積極的に受け入れている大学院が多いこともあり、入試の負担が軽い傾向があります。「書類選考+小論文+面接」「書類選考+面接」など、語学や専門科目を課さない大学院も多いので、進学を思い立ったタイミングであまり準備期間がなかったとしても十分チャレンジが可能です。

一方、法科大学院の既修者コースなど、一部では専門科目が課されるので、その場合には、ある程度対策のための期間が必要。ただし、現職教員が教職大学院を受験するケースのように、業務と専門科目の関連性が高ければ、それだけ対策期間も短縮できます。