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図書館司書・司書教諭ガイド

図書館司書とは?仕事内容、なり方、働きながら資格取得するポイントを解説!

図書館司書になりたいと考えている社会人にお勧めの資格取得のステップが通信制大学。最終学歴別に図書館司書の資格の取得方法を紹介。仕事内容や通信制大学の学費や出願までのダンドリや提出書類もまとめて解説します。

1図書館司書とは

図書館司書は、都道府県・市区町村の図書館などで、新しく図書館に入れる本の選択・発注、入ってきた本の分類や目録作成、さらに貸出・返却業務、読書案内といった利用者対応などを行う専門的な職員のことです。
図書館で行う読み聞かせ会などの読書イベントの企画・運営や、特設コーナーの企画や設営、学習・研究・調査のために情報を求めている利用者に対して、本・資料や情報の提供を行うリファレンスサービスなども図書館司書の仕事です。
司書の資格がなくても図書館で働くことは可能ですが、正規職員の募集の際には司書資格を求められることが多いです。

2図書館司書になるには

社会人から図書館司書になるには

司書資格は、大学・短大で、司書養成科目の単位を修得して卒業すると取得できます。また、大学・短大・高専を卒業している人なら(62単位以上修得していれば大学中退でも可)、司書講習を受講すれば取得することができます。ただし、大学で開講される司書講習は、昼間に3カ月程度通わなければならないことが多く、社会人が働きながら司書の資格取得を目指す場合には、通信制大学で学ぶステップがオススメです。

大学・短大などを卒業している人であれば、科目等履修で学んで必要な単位を修得すれば資格取得が可能。司書資格取得のためのコースを設けている大学もあります。履修期間は1年程度が一般的ですが、最短半年で取得可能な通信制大学もあります。

高卒からでも図書館司書になれる?

最終学歴が高卒の人が働きながら図書館司書になるには主に2つのパターンが考えられます。①通信制大学に正科生として入学し、図書館司書資格が得られる該当科目を履修して卒業する。②高卒でも受講できる司書補講習を受講・修了し、まず司書補資格を取得して、その後司書補として3年以上の実務経験を積んでから司書講習を受講し図書館司書の資格を取得する方法があります。(司書補を2年以上経験すれば司書講習が受講できますが、資格取得のためには計3年司書補としての実務経験が必要です。)

図書館司書資格取得の難易度は?

図書館司書は、学歴などの条件を満たし、司書講習で必要な単位を修得すれば取得できます。資格試験は行われないので合格率で難易度を示すことはできませんが、履修した科目の成績が悪ければ単位が修得できないので、しっかりと勉強に取り組むことが必要です。

3図書館司書の資格取得

主な取得ルート

司書の資格を取得するには?

大学・短大・高専を卒業している場合
司書養成科目を開講している通信制大学で学べば働きながら資格取得を目指せます。司書資格を取得するには大学・短大・高専を卒業していることが条件となりますが、すでにその条件は満たしているので、科目等履修で必要な科目を履修し、単位を修得すればOK。「図書館司書コース」などの名称で専門の課程を設定している大学が多いです。必要な科目・単位数は13科目24単位以上が基本ですが、大学によって15科目30単位など、課程修了の条件が異なるので注意しましょう。なお、過去に司書養成科目の一部の単位を修得している場合、その単位が認められれば、残りの科目の履修のみで課程を修了できます。取得までの期間は1年程度が一般的ですが、最短半年で資格取得を目指せる大学もあります。
専門学校を卒業している場合
必要な単位の修得に加えて、大学や短大の卒業資格を得ることが必要です。そのため、通信制大学に正科生として編入学して、司書養成科目以外の科目も学びながら卒業を目指すことになります。専門学校卒であれば3年次編入学を目指せる大学が多く、その場合は2年間で資格取得が可能です。大学中退の場合も同様ですが、大学で修得した単位数に応じて編入学できる年次は変わります。
高卒の人の場合
司書資格を得るには主に通信制大学の正科生として1年次から学ぶ必要があります(司書課程がある通信制短大はありません)。

このほか、全国の複数の大学で主に夏から秋にかけて開講される司書講習を受講・修了することでも資格取得が可能です(2021年度は6大学で開講)。司書講習は通学が基本ですが、一部オンラインで受講できる大学もあるので、こちらも働きながら取得を目指せます。司書講習の受講資格は大学・短大・高専卒か、司書補として2年以上の実務経験となっています。高卒の人は、司書講習は受講できませんが、下で紹介している司書補の講習は受講できます。その後、司書補として2年の実務経験を積めば司書講習が受講でき、トータルで3年の実務経験を積めば司書資格を取得することができます。

4図書館司書資格を得るための通信制大学

通信制大学 選び方のポイント

はじめに、最終学歴によって正科生で通信制大学に入学すべきか、科目等履修生で学ぶだけで資格取得できるかが大きく異なりますので、確認してから自分に合う通信制大学を選びましょう。
ひとくちに通信制大学といっても学び方や通学形態にはバリエーションがあります。最近では、パソコンやタブレットを使ってオンラインで学べる大学が増加。その一方で、テキスト学習が中心という大学もあるので、自分に合ったタイプを選ぶことが大切です。また、通信制大学には短期集中の通学で学ぶスクーリング科目があります。このスクーリングがどの程度の頻度で、どの時期に、どの会場で行われるのかもチェックポイントです。全国複数の会場でスクーリングを実施している大学もあるので、本キャンパスの所在地にとらわれず幅広く調べてみましょう。なかには、スクーリングもオンラインでOKという大学もあります。その場合、通学ゼロで課程を修了できるので、仕事が忙しくて通学が難しい人にはオススメです。

通信制大学の学費

通信制大学で司書資格取得のために1年間科目等履修で学ぶ場合、登録料やスクーリング費用も含む必要な学費の総額は15~25万円程度が相場です。なかには10万円台前半で受講できる大学もあります。編入学の場合も初年度納入金の相場はほぼ同様です。ただし、3年次編入学なら2年間学ぶことになるので、2年め以降の学費も必要となります(入学金は初年度のみ)。

通信制大学の奨学金

通信制大学の場合、日本学生支援機構の奨学金が利用できるのは、夏季・冬季スクーリングや通年スクーリングを受ける場合に限られるので注意が必要です。独自に貸与型・給付型の奨学金制度を設けている大学もあります。また、奨学金ではありませんが、教育訓練給付制度を利用できる講座のある通信制大学もあります。

5通信制大学出願までのダンドリ

入学時期と入試対策

通信制大学は入学のタイミングを4月と10月の年2回設けているところが多く、出願期間も1~5カ月と長めに設定されているのが一般的。入学時期ごとに複数回の出願期間を設けている大学もあります。また、インターネット出願できる大学も増えており、その場合、資料や志願票は郵送で取り寄せる必要がなく、手軽にダウンロード可能。

また、通信制大学の入試はほとんどが書類選考のみなので、試験対策は特に必要ありません。そのため、志望校やコースさえ決まればすぐにアクションが起こせます。

資料を確認して出願書類をそろえたら、「善は急げ」で最も早い入学時期に合わせて出願するのがいいでしょう。なお、多くの通信制大学では、入学月の直前、あるいは少し過ぎた時期でも受け付けてもらえます。もちろん、出願期間中の早い時期に出願すれば勉強期間をしっかり確保できるので、それに越したことはないのですが、「もう3月(9月)も下旬だから…」とあきらめる必要はありません。

出願の際の主な提出書類

大学・短大の卒業(見込)証明書、成績証明書
大学・短大卒者の場合に必要とされる書類です。いずれも出身大学・短大で発行してもらいます。書類の作成・発行に数日を要する場合もあるので早めに手配しておくことが大切です。
編入学資格証明書
専門学校卒者が初年次入学で司書資格を目指す場合に提出する書類です。調査書は発行までに1週間程度かかる場合も多いので、早めに手配しておきましょう。
その他の提出書類
そのほかに必要な書類は、志願票、健康診断書など。学歴や修得済みの単位、志望するコースなどによってさらに必要になる証明書もあるので注意しましょう。

6図書館司書の最新情報

全国の公共図書館の数は、1990年には1928館でしたが、2006年には3000館を超え、2020年には3316館となっています(日本図書館協会調べ)。現在も少しずつ増加傾向にあり、開館時間の延長やカフェの併設など、利用者のニーズに応えたサービスの多様化も進んでいます。

近年は図書館の運営業務を専門の民間企業が受託するケースも多く、スタッフとして有資格者が求められるようになっています。自動貸出機の普及など業務効率化が進む一方で、地方図書館を中心に地域産業の情報拠点として活用される図書館も登場しています。司書の業務にはより専門性が求められるようになっています。

7図書館司書に似ているそのほかの資格・職種

司書補
大学が開催している司書補講習を受講すると取得できます。司書補とは、図書館司書の専門的職務を助けること、補助することが主な仕事内容です。司書補講習は、高校を卒業していれば受講でき、司書講習より少ない単位数で修了できます。なお、一部オンラインを導入している例もありますが、通信のみで受講できる司書補講習はありません。司書補として2年の実務経験を積むと司書講習の受講資格が得られ、トータルで3年以上の実務経験を積むと、司書の資格取得が可能になります。
司書教諭
公立学校の学校図書館で、司書として働くには司書教諭の資格が必要です。司書教諭は大学で必要単位を修得して卒業すれば取得できます。ただし、司書教諭となるためには同時に教員免許も必要となるので注意が必要です。
学校司書
学校司書は、学校図書館で働く事務職員のこと。学校司書という資格はありません。近年、探究活動などアクティブラーニングの推進のため学校図書館の機能強化がすすんでおり、有資格者の募集も増えています

8図書館司書に関するよくある質問

図書館で働くためには図書館司書資格が必要ですか。
図書館司書資格がなくても図書館で働くことは可能ですが、採用の際に司書資格が応募条件とされることが多いため、持っていたほうが有利です。
資格取得に年齢制限はありますか。
図書館司書の資格は年齢に関係なく取得することができます。ただし、図書館職員の採用条件に年齢制限がある場合があるので注意しましょう。
卒業した大学と資格を取得した大学が異なる場合、どのように資格があることを証明すればいいのですか。
自分で卒業証明書と、必要な科目の単位の修得証明書を用意すれば、図書館司書資格があることの証明となります。

監修:乾喜一郎 リクルート進学総研主任研究員(社会人領域)

最終更新日:2022年2月1日

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