初心者でもスラスラ書ける!頻出キーワード解説つき 実践!小論文の書き方ガイド-1 出典:スタディサプリ進路 2015 志望校決定号 取材・文/田村理恵

この記事を印刷する

推薦・一般入試で小論文が課される大学は多い。「なんとなく難しそう」「対策の仕方がわからない」と悩んでいる人も、コツさえつかめば小論文が書けるようになるはず。具体的な手順と頻出キーワードを学んで、小論文試験に備えよう。

小論文の基本を押さえよう

混同されがちな小論文と作文の違い

小論文
設問条件に答える。
自分と違う意見にも触れて乗り越える。
作文
思ったままの感想を書く。
自分の意見だけを書く。

主要な出題のされ方

 ①文章資料月つき小論文②図表統計資料つき小論文③テーマ型(資料なし)小論文の3つに大別される。
さらに設問パターンも異なるので、「課題文を要約せよ」「筆者への賛否を明らかにせよ」「問題への対策案を挙げよ」など、
何を求められているのか把握する必要がある。過去問から志望大学・学部の出題傾向を調べよう。

まずは一題書いてみよう!

設問:「高校生はスマートフォンを持つべきか?

試験開始の合図とともに、いきなり書き出すのはNG。小論文を書くための準備には、制限時間の約1/3を使ってよい。それだけ構想を十分に練ることが重要なのだ。ここでは身近なテーマを例に、準備から実践までを解説する。

準備①YES or NOを仮で決める
設問条件に「反対意見を述べよ」などの指定がなければ、肯定か否定かを自分で決めることになる。
次の準備②の作業を行う中で変更も可能なので、まずはどちらに立つかを仮で決めよう。今回は肯定派に立つことにする。
準備②使えそうなネタを書き出す
頭の中だけであれこれ悩まず、思いつくことをメモとして書き出そう。今回は肯定派に立つので肯定ネタは自分の意見として使える。否定ネタは自分と異なる立場からの意見として触れたうえで乗り越える敵役に使える。
肯定ネタ >>
部活の連絡にLINEが便利。
勉強系のアプリが使える。
映像の講座をどこでも見られる。
ニュースアプリが新聞代わりになる。
地図アプリで道に迷わない。
否定ネタ >>
SNSが誹謗中傷の場になりやすい。
勉強の妨げになる誘惑が多い。
ゲーム機にもなってしまう。
知らない大人とつながる危険がある。
有害な情報に触れやすくなる。
準備③発想のメガネを決める
関心ある学問分野が、アイデアを見つける切り口になる。そこで学問関心を「メガネ」と呼ぶことにする。では、「教育に関心があるメガネ」をかけた場合の進め方を次の章で紹介しよう。
準備④設計図を書く
小論文では、序論・本論・結論の構成が非常に重要である。採点項目のうち、構成力が大きな比重を占めるといえる。ここでは、序論・本論・結論の中で何を述べるつもりなのか、設計図を作って整理してみよう。
序論

どのメガネから賛否を論じるか (教育のメガネで見た場合)

これがメガネに当たる表現だ。与えられた課題は全員共通であっても、かけるメガネによって自分だけの独創性を生むことができる。このメガネと賛否をはっきりと宣言する序論は、小論文に必要不可欠な部分である。

私は教育に関心を持つものとして、スマートフォンは高校生の公平な教育機会を実現するものと考える。
ゆえに高校生がスマートフォンをもつことに賛成である。

本論

自分と違う意見

準備②で書き出した否定ネタをここで使おう。自分と違う意見、つまり、乗り越え可能な反論を振ったうえでそれを乗り越える意見を述べるのだ。また、この対話をくり返すことで、字数のボリュームアップも図れる。

確かに、スマートフォンは勉強の妨げになる要因も多分に含んでいる。ゲームや漫画、SNSなどの娯楽系アプリを立ち上げると、楽しくて時間はあっという間に過ぎてしまうものだ。

自分と違う意見の克服&自分の意見の応援団

どうすれば自分と違う意見を乗り越えられるかを書く。そのうえで、自分の意見を応援するネタとして、統計データや専門家の主張などを取り上げると説得力が増す。自分の学びたい分野にかかわる情報はインプットしておくとよい。

しかし、勉強中は電源を切るなど自制すればよい。また、何より勉強にも利用できる。総務省によれば、高校生のスマートフォン普及率は80%以上で、うち約90%が調べ物の効率化に有益と回答した。

結論

自分の意見を再確認する

時間と字数に余裕があれば、結論として印象的な表現になるように四字熟語やことわざなどを用いるのも手だ。実際は制限時間内に結論まで書ききれない事も起こりうるが、序論が明快なら省略も可能

スマートフォンのりようには一長一短があるといえる。
しかし、以上の考察により、私は教育という視点から、高校生はスマートフォンを持つべきであると考える。

 実 践 設計図に沿って本文を書いていく
設計図ができたら、あとは書くだけ。注意点は、一文を長く続けず、頻繁に切って接続詞でつなぐこと。目安として、一文が60字を超えないようにしたい。また、誤字脱字や略字は避け、丁寧な字を書くことを心がけよう。

●ほかのメガネをかけてみた時の序論の例

私は政治に関心がある。そうした視点から、スマートフォンは高校生にとって重要な政治の情報を知ったり自分の意見を伝えるきっかけになると指摘したい。
ゆえに高校生が持つ意義があると考える。

福祉の視点で考えると、高校生のSNS利用は他社との対面コミュニケーションを減少させ、公的な助け合いの姿勢の欠如につながる。
ゆえに私は高校生はスマートフォンを持つべきではないと考える。

基礎知識 大学・専門学校の小論文とは?