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はじまる、薬剤師の未来図。

 
島名 世南さん

金沢大学附属病院 薬剤部
石川県地域連携薬剤師共育プログラム薬剤師

臨床×研究×地域。 薬剤師として描く、これからの医療。
臨床×研究×地域。 薬剤師として描く、 これからの医療。

友人の心の病を機に
精神科領域を志した島名さん。
より良い医療を目指して臨床と研究を重ね、
患者さんの地域での生活を支える
薬剤師の話。

  • #薬剤師兼研究者
  • #精神科薬学
  • #地域医療

Chapter_01

「君にしか救えない人がいる」 夢を後押しした母校の絆。

なぜ、家業の不動産ではなく「薬学」の道を選んだのですか?

私の原点は、親友が心の病を患った経験にあります。不動産を営む家系に育ち、当時は漠然と家業を継ぐのだろうと考えていました。ですが、その経験をきっかけに「医療現場で自分にできることはないか」と強く思うようになり、文系から理系へ進路を大きく転換して、薬学の道に進みました。今振り返っても思い切った決断でしたが、昭和薬科大学を選んだことは、私にとって間違いなく大きな転機だったと思います。
昭和薬科大学には、学生の主体性を尊重し、「やりたい」という思いを後押ししてくれる風土がありました。私が在学していた当時は、コロナ禍の影響で学生同士の交流が限られ、悩みを抱えた学生が孤立しやすい状況がありました。そこで、学生同士で教え合い、悩みも相談できるピアサポート団体を立ち上げ、大規模なLINEグループで質問を分析してQ&Aを作成したり、団体としてボランティア活動に取り組んだりしました。仲間とともに組織を育てる中で、一人でできることには限界があっても、人と手を取り合うことで支えられることがあると学びました。

そうした経験を重ねる中で、私の考えは少しずつ広がっていきました。精神疾患患者さんを対象としたボランティア活動や実務実習を通して、精神疾患は病院の中だけで完結するものではなく、地域の中で継続的に支える視点が欠かせないことを実感したからです。幼い頃から、父が家業を通して地域のつながりや人々の暮らしを支える姿を見てきたことも、今振り返ると自分の価値観の土台になっていたのだと思います。
当時、ある先生がかけてくれた「私や他の人にはできない、島名くんにしか救えない人が絶対にいる」という言葉は、今も私の宝物です。その言葉に何度も背中を押されながら、私は精神科領域と地域医療の両方に向き合いたいと思うようになりました。だからこそ現在は、地域医療の最前線を学べる金沢大学附属病院で、石川県地域連携薬剤師共育プログラムの第1期生として臨床を学んでいます。本年度からは大学院にも進学し、今後は臨床研究と基礎研究の両方に取り組める薬剤師兼研究者を目指しています。

Chapter_02

臨床と研究は両輪。 地域で患者さんを支える「仕組み」を創る。

病院薬剤師として、どのような「攻め」の活動をされていますか?

現在は大学病院で、臨床と研究の両立に励んでいます。1年目から病棟業務や手術室、外来化学療法など幅広い現場を経験し、薬剤師としての基盤を磨いてきました。特に関心を持っているのが、精神疾患患者さんを地域で支える医療です。病院での治療が整っていても、地域に戻った後の支援が十分でなければ、治療継続が難しくなることがあります。そうした現実に触れる中で、病院の中だけで完結するのではなく、地域へつながる支援を考えることの大切さを実感してきました。
また私は、石川県地域連携薬剤師共育プログラムの第1期生として研修に参加しています。
このプログラムは、大学病院で基礎力と専門性を高めながら、将来的には地域の病院や薬局でも経験を積み、地域医療を支える薬剤師を育てる仕組みです。病院薬剤師の確保と育成を目的に、県の事業として進められている先駆的な取り組みでもあり、その一員として学べることに大きな意義を感じています。

その一歩として、治療抵抗性統合失調症治療薬の院外処方運用体制の整備にも取り組みました。病院と地域の薬局をつなぐ仕組みを考えていく過程は、私にとって大きな学びとなり、学会でYoung Challenger Awardを受賞することにもつながりました。一人では解けない課題も、多職種や地域の方々と力を合わせることで前に進めることができる。そのことを、今の仕事を通して強く感じています。臨床で得た問いを研究につなげ、さらにその成果を地域へ返していけるよう、日々挑戦を続けています。

Chapter_03

現場はまだまだ課題だらけ。 医療を前に進めていける薬剤師へ。

将来、どのような形で社会に貢献したいと考えていますか?

私が目指しているのは、臨床と研究の両方に関わりながら、医療を前に進めていける薬剤師です。臨床の現場には、まだ十分な答えが出ていない課題が数多くあります。だからこそ、まずは患者さんと向き合う中で問いを見つけ、それを臨床研究として整理し、さらに基礎研究で機序や裏付けを明らかにしていきたいと考えています。
現在は大学病院で研鑽を積みながら、石川県地域連携薬剤師共育プログラムの第1期生として、地域まで見据えて患者さんを支えられる薬剤師を目指しています。病院で得た知見や研究成果を、将来的には地域の病院や薬局にもつなげ、患者さんが住み慣れた場所で安心して治療を続けられる環境づくりに貢献したいです。
最終的には、こうした実践と研究の積み重ねを、ガイドライン作成にもつながるエビデンスへと発展させていきたいと考えています。これまでは医師が中心となることの多かった領域かもしれませんが、今後は薬剤師も、薬物療法の専門性を生かして、医療の標準をつくる側により積極的に関わっていくべきだと思っています。

未来の薬剤師へのメッセージ

進路を考える時期は、不安も多いと思います。でも、今の段階で将来のすべてがはっきり決まっていなくても大丈夫です。大切なのは、自分がどんな形で人の役に立ちたいのかを、少しずつ考えていくことだと思います。薬学の進路は、病院や薬局だけではありません。研究、企業、行政など、想像している以上に幅広い道があります。学びを重ねる中で、自分に合った進路を見つけていくことができるのも、薬学の魅力の一つです。少しでも医療や、人を支える仕事に興味があるなら、ぜひ薬学の世界を知ってみてほしいです。
昭和薬科大学は、一人ひとりの「やってみたい」という気持ちを後押しし、挑戦を支えてくれる場所でした。ここで培った学びやつながりは、きっと自分らしい進路を切り拓く力になると思います!

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