医療
カラダの不思議
尿からわかるからだの情報

なぜ「尿」はからだの異常がわかるの?
尿は、腎臓の「糸球体」で血液が濾過されて作られます。その原尿の量は実に1日140~150L!しかし、多くの水分や電解質、糖などは尿細管を通過する際に再吸収されるので、実際に尿として排泄されるのは1日に約1.5L、つまり原尿の約1/100まで濃縮されるのです。健常者の尿に含まれる成分はおおよそ決まっていますが、尿が作られる前(腎前)、作るところ(腎)、作られてから排泄されるまで(腎後)の部分で異常があると、普段では検出されない成分が尿に含まれて排泄されます。これが貴重なからだの情報となります。例えば尿検査によってわかるのは「腎臓疾患」「尿路疾患(尿管·膀胱)」「感染症」「妊娠」 など。また、腎臓病の早期発見や重症度の分類にも尿が用いられています。
始まりは紀元前?!尿検査が大切な理由
尿検査は歴史的に最も古い検査で、“ヒポクラテスの箴言”にも残されている臨床検査です。中世では、尿の色調から病状や運勢を占った商売人がいたともいわれています。尿の色調·混濁·におい·量などは、からだに関する大切な情報源です。ただし、健常者でも運動量や食事の影響でいつもと違う尿が排泄されることがあるので一概には言えませんが、明らかな血尿や混濁、いつもと違う尿が続くようなら病院を受診するようにしましょう。腎臓は「沈黙の臓器」と言われており、腎臓の機能が約30%以下になるまで症状が現れず、病気を自覚しにくいことも特徴のひとつ。尿検査に限らず、健康診断の結果で異常の指摘があれば、無症状であっても病院を受診することが大切です!


