「嘘は見抜ける」は嘘

嘘は目を見れば分かる？

私たちは、インターネットで調べものをする際に、検索窓に複数の単語をスペースで区切って入力することがあります。まず一つの単語を入れると、その単語に関連する検索候補が表示され、人々の興味関心を知ることができ面白いのですが、今「嘘」と入れてみると、「嘘　 目線」という候補が現れました。多くの人が、嘘は目線で分かるのではないか、どういう目線だと嘘なのか、について調べようとしているのでしょう。残念ながら、これまでの心理学研究が明らかにしてきたことは、嘘は目を見ても分からないということです。嘘と目の関連について多くの研究がありますが、ある一つの研究で嘘と目の関係性を示唆するものもあるにはありますが、多くの研究を総合的に見ると「関係がない」という結論になります。

嘘はどの程度見抜ける？

そうは言っても、嘘と目に関係があるはず、と思う人はいるでしょう。どうすれば嘘が分かりますかと尋ねたところ、「目を見れば分かる」という回答が最多だったという国際比較研究がありますが、世界中の人が嘘は目を見れば分かると思っているのです。しかし実際には目では分かりません。と言うか、目でも何でも嘘は分からないです。嘘に関する心理学でよく知られた数字「54」があります。これまでの研究を統合した結果、人が嘘を見破る平均正答率は約54％なのです。まぐれあたり＝50％を少し上回る程度ですから、ほぼ見破れないということです。この事実を念頭に置き、例えば不安ゆえに目が泳いでいる正直な人を、目を理由に嘘つきと決めつけてしまうことのないよう、注意する必要があるでしょう。