

例えば住宅なら「HOUSE(=ハードとしての家屋)」でなく「HOME(=暮らしや想いなどソフト的な意味での住まい)」について、プロの建築士は第一に考えます。そのため、建築士はまずクライアントから話を聞きます。対話によって、そこで行われる「こと」への理解を深めるのです。これを抜きにして「もの」だけをつくっても、使い勝手が悪かったり、不必要なスペースが生じたりと、問題ばかりに。建築士の仕事において本当に大切なこの大前提について、KASDの教員は自身の体験をふまえ、学生たちにしっかり伝えています。

ワンデーエクササイズとは、朝からまる一日かけて住宅一軒の設計に挑戦する授業。まず敷地などの条件やそこに住む家族について先生が話し、学生たちは質問をぶつけます。「仕事や趣味は?」「どんな朝食にしたい?」と、一般的な授業では考えられない量の対話を繰り返し、これをふまえてプランニング。そのなかで「話を聞く力」「的確な質問をする力」、そして聞いた話を『この家族はこんな毎日を過ごし、こんな将来を夢見ているんだ』といった「物語にしていく力」に至るまでの、建築士に不可欠な優れた対話力が養われます。