“好き”を引き出し、育むことに力を注いでいます。入学当初は、まだあいまいだったIT分野への“好き”の気持ちが、在学中の授業における様々な経験を通して、やがて“本気”へと変わる姿を、長い教員生活の中で幾度も見てきました。“好き”を育てるために、授業では一方通行の「教えてあげる」スタイルはあえて取りません。学生がチームで話し合ったり、発表の場を設けたり。そんな授業の中で、学生がひとつ一つの機会を成長のチャンスと捉えて、“本気”でのぞめるように、授業には数多くの工夫を取り入れています。
昨年の授業で、著名なサイバーセキュリティ企業から、第一線のセキュリティエンジニアをお招きし、2日間にわたり、セキュリティ技術についての講義を受けました。その後、その技術を活用して、サイバー攻撃の痕跡を見つけるまでのプロセスをまとめた報告書をチームで作成し、3か月後、セキュリティエンジニアの方々にプレゼンすることになりました。そこで、セキュリティエンジニアから直接、講評と助言をいただけたことで、私はセキュリティ分野で活躍したいと最終決断するに至りました。エンジニアの方々がもつ仕事への誇りに、感銘を受けたからです。
ネットで様々なことを得られる時代だからこそ、あえてリアルの経験にこだわりました。第一線のセキュリティエンジニアに直接、発表する緊張感は、ほかでは得られないものでしょう。大野さんは、今回のサイバー攻撃に関する発表の場を、自身が成長するチャンスの場にしました。学生を“本気”にさせられた授業として良い事例だと思います。そのための環境整備ができたことをうれしく思っています。
先生ご自身も、技術が“好き”なのだと思います。従来の技術をさらに深めたり、新たな技術分野に取り組まれたりしています。また、国家試験を毎月受験しているとお聞きしています。私もそのように、学びを止めないエンジニアを目指していきます。
“好き”という思い。それは、飛躍するための原動力になるのかもしれません。