大学病院などで作業療法士として働いていたときは、主に手をケガした患者さまを担当していました。手の治療では「手術5割リハビリ5割」といわれるほど、作業療法の果たす役割は重要で、特に装具の善し悪しが治療効果を大きく左右することがわかっています。ただ、日本では装具をつくることのできる作業療法士が少ないのが課題。そのため、臨床で培った経験を活かし、より良い装具づくりの手法や、最新の手術とリハビリについて研究しています。
では理想のリハビリとはなんでしょう。私は「楽しみながら取り組んでいたら、いつのまにか改善していた」というものだと考えます。機能を取り戻した患者さまが、喜びながら「なぜ? いつのまに?」と不思議がっている様子を見ると、「作業療法士はマジシャンのようだな」と、いつも思います。
廣渡先生の授業では、まず手の構造について模型などを使って学び、その特殊な筋の動きや関節運動を学生自身の手で実体験しながら作業療法の進め方を身につけていきます。さらに「義肢装具学実習」で樹脂製の装具を作成する技術も習得。廣渡先生によれば、手の装具を作成できる作業療法士は数少ないため、卒業後に必ず役に立つ技術だそうです。「まずは遊びながら樹脂の扱いに慣れるところからスタートし、失敗を繰り返しながら上達してもらいます」と語る廣渡先生。臨床経験を活かした授業を通し、自ら考え工夫をする力も養っています。
失われた機能が回復したとき、患者さんは涙を流して感謝してくださいます。それが作業療法士としてのやりがいです。臨床に重きを置く本学で、即戦力を身につけた作業療法士をめざしてください!
【専門分野】
整形外科(手外科)領域のリハビリテーション、装具療法
【略歴】
大学の法学部を卒業後、一般企業に就職するも、人を相手にする仕事に興味を持ち、作業療法士に。岐阜県の関中央病院や岐阜大学医学部附属病院などで作業療法士として臨床経験を重ね、2020年より愛知医療学院短期大学の教員として赴任。
この間、岐阜県作業療法士会副会長などの公職を歴任。
学生時代は日本中をオートバイで巡る旅に熱中していた。