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児童文学

児童文学

日本や外国の児童文学を研究し、創作する

童話や昔話など、児童を対象にした文学と、児童文学の読み手である児童の心理や言葉の発達などについて研究する。児童文学を創作することもある。

児童文学の学び方

講義
童話や昔話など児童文学の各ジャンルの特質や、児童文学の歴史、児童心理などについて学ぶ。
鑑賞
世界や日本の優れた児童文学を鑑賞し、同時に作品研究の手法を学ぶ。
演習
わらべ歌を実際に歌うなどして体験的に児童文学を学ぶ。
創作
児童文学作品や絵本を創作する。

児童文学 学びのフィールド

<児童文学><児童学><表現分野>の分野がある。

<児童文学>
●ジャンル別研究
ファンタジー、メルヘン、むかし話、寓話、わらべ歌、童謡などジャンルごとの特質を研究する。
●国・地域別研究
日本のお伽草子、イギリスのマザーグース、ドイツ語圏の伝説など、国や地域で発達した世界の児童文学について、系譜や特徴を研究する。
●作品研究
1つの文学作品をとりあげ、構造や意味などについて深く研究する。
<児童学>
●児童心理学
子どもの認知能力の発達や自己意識の発達、社会性の発達などについて学ぶ。
●児童言語学
子どもの言葉の獲得過程や言葉を使う能力の向上などについて学ぶ。
●児童学
家庭環境や遊びなど、子どもをとりまくさまざまな状況について学び、子どもに対する理解を深める。
●児童文化学
児童文学だけでなく、お遊戯や玩具、公園の遊具、鬼ごっこやままごとなどさまざまな子どもの文化について学ぶ。
<表現分野>
●童話
童話の創作を行う。
●絵本
絵本の創作を行う。

児童文学の学び方

・講義
童話や昔話など児童文学の各ジャンルの特質や、児童文学の歴史、児童心理などについて学ぶ。
・観賞
世界や日本の優れた児童文学を鑑賞し、同時に作品研究の手法を学ぶ。
・演習
わらべ歌を実際に歌うなどして体験的に児童文学を学ぶ。
・創作
児童文学作品や絵本を創作する。

児童文学の先生に聞く(取材協力:日本女子大学)

児童文学ではこんな研究をしています
19世紀末のイギリスを中心とした文化圏の児童文学を研究しています。どの作品にも書かれた当時の常識やものの考え方が反映されています。そうした時代や文化的な背景から、そこに描かれている物語を読み解くことで、作品の本当の理解につながるという文学の真髄に迫る研究です。(日本女子大学 家政学部児童学科 川端有子教授)
・19世紀イギリスの文学作品の意味を探る
研究の題材としているのは、『小公女』『秘密の花園』『不思議の国のアリス』といった、19世紀末のイギリスを中心とした児童文学作品です。そこには当時の日本では想像もできないような世界が描かれています。例えば、『不思議の国のアリス』などを読むと、「バタつきパン」や「マフィン」、「ミルク入りの紅茶」、「プディング」など、今でこそ日本でもおなじみの食べ物が、産業革命に欧州が活気づいていた時代、日本で言えば、江戸時代にはあったというのですから、歴然とした文化の差に好奇心がくすぐられますよね。
さらに社会的な側面に踏み込むと、産業革命で極めた栄華と資本主義の発展があり、階級制度が鮮明になり上流・中産階級と労働階級の生活は大きく違うことを読み解くことができます。また、教育制度や児童労働といった問題や、進化論がもたらした衝撃の影も見え隠れします。
もちろん、こうした時代背景を知らなくても作品は楽しめます。しかし、たとえば、主人公の行動ひとつとっても、それが当時では当たり前なのか、それとも特別なのかを知っているのと知らないのとでは、その場面の意味合いが全く変わってきます。このように、そこに描かれる舞台の社会情勢や常識といったことから、物語に描かれていることの意味を探るのが私の研究です。
・歴史学や社会学の手法も生かし、作品を読み解く
文学研究は、その作品をじっくり読み込むところから始まります。言葉の使い方や表現、全体の構成といった表現的な部分、それから、特徴的なモノやコトに注目しながら分析していきます。
私の研究では、その作品が描かれた時代や、物語の舞台となっている時代の社会情勢や文化、思想などが非常に重要なポイントになります。ですから、当時の歴史や、社会現象やそのメカニズムを知ることが欠かせません。そのため、歴史学や社会学の史料や手法も活用して、さまざまな角度から作品を読み解いていくことになります。
文学作品は、読む人によって受け取り方はそれぞれ。ですが、描かれていることそのものは変わりません。作者の持っていた常識、たとえば19世紀末のイギリスの社会情勢を理解することは、その作品に描かれていることを正しく読み取ることにつながります。それが、作品の形を後に伝え、残していくことにつながっていくのです。
歴史学や社会学の手法も生かし、作品を読み解く
川端教授の著書・編書の数々
児童文学のここが面白い
子どものころに親しんだ作品の、当時は気付けなかった奥深さを発見できることが、一番の面白さです。また、児童文学は子どもを対象とした文学ですが、「子ども」の定義は時代によっても場所によっても違います。その考え方を知ることは、仕事や子育てで子どもと関わるときに非常に役立つでしょう。(日本女子大学 家政学部児童学科 川端有子教授)
・子どものころに親しんだ作品をさらに深く理解できる
一番の面白さは、自分がかつて親しんだ作品を、もう一度深く味わえることです。普通に暮らしていると、子どもの頃に読んだ絵本、ましてや児童文学の作品に触れるということはなかなかありませんよね。しかし、それらを大人になって読み返してみると、思わぬ発見がたくさんあります。
昔の外国文学なら、当時とは社会のあり方や生活、それこそ着るものから食べるもの、住むところまで違います。見たこともない食べ物や街並みを空想で補っていたのが、大人になって読めばわかることもあるでしょう。また、現代日本の児童文学であっても、作者は大人です。子どものころにはわからなかった大人の目線に気付けば、新たな発見があるはずです。児童文学を学ぶ、あるいは研究することになると、こうした発見をさらに掘り下げられるのです。
たとえば、子どものころは「どうしてこんなことするんだろう」と感じた主人公の行動も、時代背景や当時の思想を知ると、実は当たり前の行動であったり、反対に、疑問に思わなかったことが特別なことであったりといったこともあります。詠み飛ばしていた描写に社会的に大きな問題が反映されていたり、小さなモノが大きな意味を持っていたりといったこともあるでしょう。
かつて親しんだ作品にもう一度向き合い、宝探しをするような、そんな楽しみが児童文学研究にはあるのです。
・決まった「子ども」像などない
児童文学が対象としているのは、その名が示す通り「子ども」です。しかし、昔の児童文学を読んでみると、子どもには難しすぎる、あるいは大人でも充分楽しめるといったものは少なくありません。当時は「子ども」向けに書かれていても、それが今の「子ども」とは一致しないのです。
「子ども」は、大人が勝手に決めた概念です。時代や国によっても変わってきますし、人によっても考え方は違います。わかりやすい例えでいうと、日本では成人は20歳ですが、世界的には18歳がメジャーです。また、19世紀のイギリスでは、労働者階級では幼い子どもの労働が当たり前になっていて、その惨状が社会問題になっていました。
文学作品を紐解いていくと、私たちの常識がいかに曖昧で、変わりやすいものなのかがわかってきます。「こうでなければならない」という制約や、「子どもとはこうであるべき」という教育がナンセンスであることにも気付きます。それは、常識に抑圧されるストレスから自分自身を解放することにもつながりますし、将来、子育てをしたり子どもに関わる職業に就いたりといったときにも大事な考え方になるはずです。

児童文学の学生に聞く(取材協力:日本女子大学)

児童文学を選んだきっかけ
幼い頃から本が好きで、お気に入りの作品は何度も読み返していました。そんななかで浮かんできたのが、「子ども向けの本」ってなんだろう、という疑問。大人が書き、大人が出版し、大人が勧めるのに、何が「子ども向け」と決めているのか不思議に思ったことが、児童文学を学ぶきっかけになりました。(日本女子大学 4年 家政学部児童文学科 河野唯里さん)※学年は取材当時
・「子ども向けの本ってなんだろう」という疑問がきっかけ
幼い頃から本、特に物語が好きで、本を読みながらその世界にひたるのが楽しみでした。たくさんの作品を読むというよりは、ひとつの作品を何度も読むタイプで、気に入った本はぼろぼろになるまで読み込むほどでした。その経験が、文学の道に進む大きなきっかけになったことは間違いありません。
児童文学を選んだのは、「子ども向けの本ってなんだろう」というふとした疑問がきっかけでした。児童文学とひと口にいっても、親が読み聞かせるような赤ちゃん向けのものから、絵本、童話や昔話、そしてヤングアダルトに分類されるものまで幅広くあります。しかし、そのどれもが、書くのも、出版するのも、勧めるのも大人ですよね。子どもが書いた作品も極まれにありますが、それは例外です。そう考えると、「子ども向けの本」とは、誰がどんなふうに決めているんだろう、どんなものが「子ども向けの本」とされるのだろうということが気になり、児童文学を学ぶことに興味がわいていたんです。
こんなふうに学んでいます
講義では、まず児童文学の全体像を学び、徐々に専門的な内容に入っていきます。図書館見学や、専門家を招いた講義などもあり、多角的に学びました。研究室では『魔女の宅急便』を題材に研究。細かな描写や書かれた時代背景など、さまざまな角度から読み解くことで、物語の深い理解を目指します。(日本女子大学4年※ 家政学部児童学科 河野唯里さん)
・大好きな作品の研究で新たな発見
次は児童文学の歴史や分類といった全体像を学び、3年生から徐々に専門的な学びに入っていきました。図書館を実際に見学するフィールドワークや、翻訳・出版・児童書の専門店の方などをゲストスピーカーに招いた講義などもあり、多角的に学びを深められましたね。研究室に配属されると、いよいよ好きなテーマでの研究が始まります。私が選んだのは、角野栄子さんの『魔女の宅急便』。子どものころから繰り返し読んだ大好きな作品ということもあり、迷わずに決めました。
文学の研究は、まず作品を読み込むところから始まります。『魔女の宅急便』は、全6巻、さらに特別編が2冊刊行されていて、これだけの量を繰り返し読むのは、楽しくもありましたが、やはり少し大変でした。登場人物の行動やセリフ、描かれる光景や物事など、細かいところにも注目しながら何度も何度も読むうちに、気付けば本がふせんだらけになっていました。
子どものころはただ面白く読んでいた作品ですが、読み解いてみると、思春期の子どもや、魔女について、性とジェンダー、人との関わりや成長など、さまざまなテーマが含まれていることがわかってきました。さらに、第一巻が1985年、第六巻が2009年と、作品の出版時期の違いもあります。これは、描かれる内容にも確実に影響を与えているのです。こうした背景を知った上で作品を読み解くことで、作品をさらに深く理解できましたね。
大好きな作品の研究で新たな発見
本にじっくり向き合うことが研究の第一歩です。(左:河野唯里さん、右:川端有子教授)
児童文学を学んでみて
「子ども向けの本」の正解を探すのではなく、作品から当時の子ども像を読み取ったり、子どもを取り巻く社会的なテーマを探ったりすることが研究の意義だとわかったことは、大きな発見でした。子どものころから好きな作品の新しい魅力に出会える楽しみも、研究のやりがいになっています。(日本女子大学4年※ 家政学部児童学科 河野唯里さん)
・新しい作品の魅力に出会えたようで、やりがいいっぱい
私が児童文学を学ぼうと思ったきっかけは、「子ども向けの本」って何だろうという疑問でした。そして、学んでみて分かったのが、「子ども」にも、「児童文学」にも、どんな時代にも国にも当てはまる定義はないということです。だからこそ、子育てには正解はないし、どんな作品が良いかという答えもありません。ですから児童文学を研究するというのは、「子ども向けの本」の正解を求めることではなく、「子ども向けの本」とされた作品を読み解くことで、当時の「子ども」像や、それを取り巻く社会的なテーマを理解することなんです。これは私にとって大きな気付きでした。
研究室では、大好きな『魔女の宅急便』をテーマに研究に没頭しているのですが、子どものころには気付かなかった発見がたくさんあり、それがとても面白いです。当時は全然わからなかった登場人物の行動やセリフの意味がわかったり、時代とともに変化するものや、あるいは変わらないものがあったり、研究する、分析するという目線でなければ見えてこなかった、作品のテーマも見えてきました。新しい作品の魅力に出会えたようで、やりがいいっぱいに取り組んでいます。
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