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外国文学

外国文学

海外の文学作品を読み、その国の文化や思想を学ぶ

外国文学を読み、作家や作品の研究を通して、作品の背景となる歴史や文化、社会や人間そのものを研究する。文学史、作家論のほか、言語や文化の研究も行う。語学学習は必須。

外国文学の学び方

ゼミナール
それぞれのテーマごとに調査・分析し、議論していく。
作品・作家研究
作品を読み、また、その時代背景を調査し、作品や作家の本質を分析していく。
フィールドワーク
文学の舞台になった地域への現地研修、作家の育った地域などへ出かけ、実際に確かめる。

外国文学 学びのフィールド

英米文学、フランス文学、ドイツ文学、中国文学など書かれた作品の<言語別研究>と、作家・作品研究、日本文学史、文学批評、文学・文化比較などの<テーマ研究>のアプローチがある。

<言語別研究>
●英米文学
イギリスやアメリカを中心に、英語で書かれた著作や文学の研究を行う。
●フランス文学
フランス語で書かれた著作や作家の研究を行う。
●ドイツ文学
ドイツ語で書かれた著作や作家の研究を行う。
●中国文学
中国語で書かれた著作や作家の研究を行う。
●その他の言語で書かれた文学
スペイン語やポルトガル語、アーリア語など、言語ごとに研究領域がある。
<テーマ研究>
●作家・作品研究
ひとりの作家の軌跡を追う、作品を鑑賞・吟味する、作中人物を心理的に分析する、など、特定の作家、作品を深く研究する。
●文学史
文学やその他の著作の変遷や発達について、歴史や文化的背景をふまえて研究する。
●文学・文化比較
2つ以上の言語や文化圏の文学を比較することによって、文学の成立や影響などを研究する。
●書誌学
書物の編者や成立・内容・体裁、文献目録などについて研究する。

外国文学の先生に聞く(取材協力:青山学院大学文学部 麻生えりか教授)

こんな研究をしています
20世紀以降のイギリス現代小説、特に、労働者階級出身のD.H.ロレンスやフェミニスト作家ヴァージニア・ウルフ、日本出身のカズオ・イシグロなどの作品を研究しています。アウトサイダーの立場から小説を書く彼/彼女らの声に焦点を当てることが、現代社会の主流から排除されがちな人々を尊重し、誰もが生きやすい社会を実現することにつながると考えています(青山学院大学 文学部 英米文学科 麻生えりか教授)。
・イギリスの現代小説からアウトサイダーの声を聴く
私がイギリス文学研究を志したのは、イギリス人作家D.H.ロレンスの小説を読んだことがきっかけでした。ロレンスは炭鉱夫の息子としてイングランドの田舎で育ち、奨学金を得て高等教育を受けました。当時、作家といえば一流大学を出た中流階級出身者が主流のなか、労働者階級出身のロレンスは階級制度や現代文明を激しく非難する一方で、当時のイギリスではタブーであった性愛を描きました。ロレンスの代表作の一つ『チャタレイ夫人の恋人』は、上流階級の女性と労働者階級の男性が性愛によって階級を越えて結ばれるというその内容と赤裸々な表現が、当時のイギリス社会で背徳的であるとされ、出版禁止になりました。
一般的な日本の家庭で不自由なく育った私は、大学院に進学してロレンスについて研究しながらも、社会に対する彼の容赦ない批判に対して相容れないものも感じていました。それが一転したのは、大学院在籍中の25歳のときにロレンスの出身地であるノッティンガムの大学院へ1年間留学したときのことです。当然ながら現地では日本人はマイノリティ。さまざまな場面で差別や偏見に遭遇しました。それまでの自分は差別とは無縁だと思ってきましたが、環境が変われば誰もが差別される側、つまりアウトサイダーになりえること、そして私自身も差別につながる偏見をもっていたことに気づかされたわけです。そうして改めて、文学を通して階級社会の伝統に異を唱え新しい社会を作ろうとするロレンスの作品のエネルギーに惹かれるようになりました。以来、アウトサイダーの立場から発言する現代イギリス作家の声を拾うことで、さまざまな差別や不平等について考えたいと、ロレンスのほかにも、フェミニストとして女性の地位の向上を訴えたヴァージニア・ウルフ、同性愛者であることを当時の社会で公表できずに苦しみながら階級間、異文化間の人びとの交流を描いたE.M.フォースター、5歳で日本から渡英し、格差社会、戦争や紛争の災禍に関心をよせるカズオ・イシグロなどの作品を研究しています。
・社会を変えるために文学を研究する
作家たちが閉鎖的なイギリス社会を変えるために作品を書いたように、文学研究の意義は作家たちのその主張をアップデートし、究極的には世の中をより平和にし、人びとが暮らしやすくすることにあると考えています。近年の研究成果としては、イギリス社会において家事労働に従事した専業主婦の苦しみとよろこびを描いたヴァージニア・ウルフの小説を取り上げ、『終わらないフェミニズム --「働く」女たちの言葉と欲望』(共著)という本を出版しました。専業主婦というと共働きの家庭が増えた日本においては時代遅れといったイメージもあるかもしれませんが、米国では2014年に『ハウスワイフ2.0』という本が出版され、これまでにない新しい主婦のあり方が提示されました。それは、会社を辞めて田舎へ引っ越し、自然の中でゆったり子育てをしながらインターネットを利用して手作り品販売で収入を得つつさまざまな年代の人たちとつながる、という主婦像で、これはまさに100年近く前にウルフが夢想した女性の現代版ではないかと考察しました。仕事をするという選択肢もないままに家事と育児を担っていた当時の孤独なイギリスの女性たちの姿を想像し、それを現代の『ハウスワイフ2.0』現象と結びつけてアップデートすることは、今の日本社会における子育てや男女格差の問題をより深く理解し、それを改善していく助けにもなるでしょう。社会を変えるというと大げさに聞こえるかもしれませんが、アウトサイダーとしての作家の声を拾い、それを現代のコンテクストに向けて発信することは、多様な人々を尊重し、誰もが生きやすい社会を作ることにつながると考えています。
社会を変えるために文学を研究する
現代イギリス小説を研究する麻生教授
ここが面白い!
世界の文化や歴史、社会に触れるのに外国文学はうってつけです。一口に現代イギリス小説といっても、作家の生きた時代や場所、階級、性、人種、宗教などによって内容も形式もさまざまです。多様な作品を読むことで、広い視野から自分が生きている社会を相対化し、客観的に見ることができます。(青山学院大学 文学部 英米文学科 麻生えりか教授)。
・世界の文化や歴史、社会に触れる
スマホが普及したことによって、自分が欲しい情報の中だけで生活している人が増えています。しかし、それでは視野が狭くなるばかりです。眼の前で起こっていることだけでなく、もっと広い世界のできごとや歴史に触れることで視野が広がり、人生観は大きく、そして豊かに変わります。そんな視点で学問をとらえると、世界の文化や歴史、社会に触れるのに外国文学はうってつけだと言えるでしょう。
例えば、戦争を知らない世代であっても、文学作品を読むことで戦争がどのようなものであるか、戦争によって失われるものがいかに大きいかを知り、その一方で、戦争が多くの人々をひきつけ芸術を生み出してきたことも理解したうえで、それでも戦争はしてはいけないと具体的に考えられるようになります。
また、100年前のイギリスの労働者階級の暮らしを経験したことがなくても、格差社会における彼らの生活がどのようなもので、それがいかに理不尽だったかを知ることで、今日の社会のなかの格差をより長いスパンで広い視野から考えるようになります。外国文学を読むと、自分とは無関係の遠い世界のできごとだと思っていた戦争や格差の問題、フェミニズムが、現代社会の問題とリンクしていることに気づかされます。
・作品に共感すれば、当事者として読める
ニュースや歴史書と異なり、文学作品には人間の感情や作者の創作が含まれていますから読み手は登場人物に共感することができますし、他者の身に起こったできごとであっても、自分ならどうするだろう?と想像しながら読むことができます。私の学生のなかには戦争文学を読んだことで旅行先でも歴史的な背景にどうしても関心が向かうようになり、気が重くなると嘆く人もいます。しかし、それは作品に深く共感し、実際の社会に通じるものとして文学作品を読んだ証しにほかなりません。そうした視点で作品と向き合うことで、私たちはいろいろな国、いろいろな時代を生きると同時に、今の状況をより良くするためにその経験を生かすことができるのです。
・自分の言葉で自分の考えを表現できる
高校までは教科書から学ぶことが勉強の中心だったかもしれませんが、大学では自分で考える力、そしてそれを表現し発信する力を身につけることになります。外国文学研究においても、自分なりに作品を考察して発表するという学び方をします。もちろん最初のうちは、イギリス小説を読んでフェミニズムについて論じてくださいと言われても、何をどう発言してよいのか戸惑うこともあるでしょう。それでもフェミニズムに関するさまざまな作品を読むうちに自分の感想や意見をもつようになります。また、周囲の学生たちの意見を聞くことで「こんな読み方もできるんだ」と新たな見方を発見し、自分の考えに磨きがかかるものです。文学を通して外国の歴史や文化に関する知識を得ることは、それ自体が興味深く楽しいことです。さらにそこから一歩進んで、遠いところで書かれた文学作品を自分に近いアクチュアルなものとしてとらえ、その現状理解や解決に向けて、自分の意見を自分の言葉で表現し他人と共有することには、大きなよろこびと可能性が詰まっています。
自分の言葉で自分の考えを表現できる
階級、戦争、教育、女性の権利など、文学作品から学べることは尽きない

外国文学の学生に聞く(取材協力:青山学院大学文学部 学生)

外国文学を選んだ理由
イギリス文学を専門に学んでいますが、入学当初は文学を学びたいというほど強い関心はなく、得意な英語を伸ばせる勉強をしてみたいという程度でした。大学では文学はもちろんですが、英語学、異文化間コミュニケーション、英語教育学と幅広く学べるということで本学科を志望しました(青山学院大学 文学部 英米文学科 4年 櫻井 景子さん)。
・英語を生かすとともに、自分の興味を探れる環境に惹かれて
10歳から13歳までカナダで生活していたこともあり、英語が得意でした。友人に教えたりするのも楽しく、大学でも英語を生かせる学問を、という思いがありました。もっとも英語を生かしたいといっても、さまざまなアプローチがあります。例えば、「外国語学部」なら読み書きだけでなく、英会話を集中的に学ぶことができますし、「文学部英米文学科」ではアメリカ・イギリスなどの有名な文学作品を原文でじっくり読み、その深いところを追究することもできます。そのほかにも「英語教育学」という分野では、年齢に応じた英語学習の理論と実践を学べますし、「異文化間コミュニケーション」という分野では、さまざまな背景をもつ人々が衝突することなく交流する方法を考察します。正直に言うと、大学を選ぶ段階ではどれが自分に合うかわかりませんでした。そこでひととおりのことを幅広く学べる本大学の英米文学科に決めました。
こんな風に学んでいます
1~2年次には英語の4技能である「読む・聞く・話す・書く」能力を伸ばすとともに、ホレス・ウォルポールの小説『オトラントの城』とC・Sルイスの小説『ナルニア国物語』を題材にイギリス文学の研究を深めました。毎週テクストの20~30ページを読んで考察し、いざ各学生が発表すると、そんな読み方もあるんだという多種多様な意見が飛び交いました。さまざまな観点から読むことのできる文学作品の奥深さに感銘を受けました(青山学院大学 文学部 英米文学科 4年 櫻井 景子さん)。
・英語4技能を磨きながら、文学作品を深く考察する
1~2年次は、環境問題や世界の文化といったテーマについて英語で議論したり、レポートを書いたりという訓練を重ねながら、英語の4技能と言われる「読む・聞く・話す・書く」力を徹底的に鍛えました。さらにイギリス・アメリカ文学に関する授業だけでなく、英語学、異文化間コミュニケーション、英語教育学など、幅広く学ぶことができました。なかでも印象に残っているのが、ホレス・ウォルポールの小説『オトラントの城』とC・Sルイスの小説『ナルニア国物語』を読む基礎演習の授業です。授業の前に英文テクストを20~30ページ読んで、あらすじと考察をまとめ、授業で発表や議論をするというものでした。参考文献を引用しながら自分なりの意見をまとめるのに苦労しましたが、他の学生の発表を聞くと、男女の価値観の違いに着目したり、階級格差を分析するなど鋭い洞察を示す意見が飛び交い、刺激を受けました。3年次からは19~20世紀に書かれたイギリスのファンタジー小説を研究するゼミナール(演習)を選びました。ここではJ・M・バリーの小説『ピーター・パン』とウィリアム・シェイクスピアの『テンペスト』を読んで比較するという課題に取り組みました。どちらも島を舞台として支配者が登場する作品ですが、彼らは自分たちが体験した悲しい過去がトラウマとなって、独善的にならざるを得なかったのだという私なりの考えをまとめることができました。文学作品の読み方には、数学のように正解があるわけではありません。人と違った切り口で読み、それを学生同士で共有することで、作品への理解が深いものとなっていく、そんなところに外国文学研究の魅力があるのだと思います。
英語を生かすとともに、自分の興味を探れる環境に惹かれて
英語を生かすといっても選択肢は幅広い。よく考えてと櫻井さん
学んだ感想
外国の文学作品に触れることで同性愛や階級、差別、戦争といった大きなテーマについて自主的に考えるようになったのが大きな変化です。そういう意味では、この学問は語学力を伸ばすだけなく、広い視野で人間や物事の本質について考える姿勢が身につく学問だと思っています(青山学院大学 文学部 英米文学科 4年 櫻井 景子さん)。
・英語だけでなく世界を知ることができる
入学したころは、労働者階級について考えを述べてといわれても、「え? 労働者階級って何?」そんなレベルでした。それでも図書館で労働者階級について調べていくうちに、彼らがどんな暮らしをしていたか、社会からどのように扱われていたのかを知り、この作品はこういう背景から生まれたんだと作品への理解が深まっていきました。今では、作品を読む際に時代背景を調べることが当然のようになっています。例えば、今年度のゼミナールで読んでいるE・M・フォースターの『ハワーズ・エンド』という作品では、主人公である中流階級の女性と同じ階級の資産家の男性の恋模様が描かれていますが、互いにどんなきっかけでいつから恋愛感情を抱いたのかについてはいっさい描かれていません。書かれるべきことが書かれていないということは、そこに書けない理由があるからに違いありません。例えば、著者のフォースターは同性愛者でしたから、そうした背景が理由だったのかもしれません。いったいフォースターはどんな人物だったのか?と考察していくと、そこに作品を理解するヒントが見つかるときもあります。もし、この学問に触れられなかったら、同性愛はもちろん、階級や差別、戦争などについて考えることもなかったかもしれません。大学で外国文学を学んだことで、こうした一見とっつきにくいけれど重要なテーマについて自ら考えるようになったのは大きな変化です。そういう意味では、文学研究とは作品読解を通して広い視野で物事をとらえ、調べ、考える姿勢が身につく学問でもあると思います。
英語だけでなく世界を知ることができる
歴史や文化などを知り他の人の考察を聞くことで、視野が広くなり作品が味わい深くなりますと櫻井さん
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