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地理学とはどんな学問?研究内容や学び方などを解説

地理学

産業や自然環境から地域の特質を解明する

高校の教科としてもおなじみの地理学。気候や地形のほか、動植物の分布や水の循環過程などを対象とする「自然地理」と、文化や歴史、民族、経済などを対象とする「人文地理」、地域それぞれの地理的要素を深く掘り下げていく「地誌」の3分野があります。カバーする範囲が広く、幅広い興味にこたえる学問です。地理学の醍醐味はなんといってもフィールドワークです。現地に住み込んで、その土地の自然や人の生活を体験しなければ、その関係性は見えてこないからです。海外をフィールドにする場合、時間や言葉など制約はありますが、とにかく行ってみることに重きをおくところから地理学の学習が始まるのです。

地理学の学び方

自然と人間の生活の関係を学ぶ学問

地理は、中学の社会科や高校の選択科目で習うので内容をイメージしやすい学問だと思います。高校で地理を選択しなかった人でも、地図やグラフを見ながら世界各地の気候や文化、動植物の分布、農作物や産業の違いなどを勉強した覚えがあるでしょう。その一方で、「暗記の科目」という無機質なイメージをもっている人も少なくないはず。たしかに、高校までの地理ではそうした面が強調されがちですが、大学で研究する地理学は、単なる用語やデータの暗記ではなく、その先に「ひとの顔」が見える学問なのです。ややイメージが異なるのではないでしょうか。というのも、地理学の最大の目標は、「自然環境」と「人間の営み」がどのように関係しあい、人々が暮らす地域や場所が人間にとってどんな意味をもっているかを明らかにすることだからです。世界には、暑い地域もあれば寒い地域もあり、降水量が多いところもあればまったく雨が降らないところもあります。標高の高さも、生息している動物や生えている植物も、その土地によってまったく違います。人間はそうした自然環境の中で日々の生活を営んでいるのですから、生活様式もまた千差万別です。どんなものを食べて、何を着て、どんな家に住み、どんな仕事をするのか。また、どんな価値観をもち、何を信じるのかなど、それぞれ違った文化をもっています。地理学はそれらの関係性を追求しているのです。世界的な課題である民族紛争の解決や異文化理解から、日本で特に関心が強い防災や地域社会の持続、文化の継承まで、人間社会のあらゆる課題に通じていますから、幅広い興味にこたえてくれる学問といえるでしょう。

地理学の2大系統、自然地理と人文地理

「自然環境」と「人間の営み」の関係を学ぶ地理学には、2通りの研究方法があります。1つは気候・地形・生物・水循環といった自然環境から研究する方法。これを「自然地理学」といいます。これに対して、文化・歴史・経済など人間の営みを調べる方法を「人文地理学」といいます。 大学の学部でいうと、地理学科は文学部か理学部に設置されているのが一般的です。「自然地理=理系=理学部」、「人文地理=文系=文学部」と考えられがちですが、地理学は文理を問わない学問ですから、住み分けはそう単純ではありません。文学部でも自然地理を学ぶことはできますし、理学部でも人文地理を学ぶことができます。数としては、文学部に設置されていることが多いのですが、自然地理を学びたい人はあきらめずに、在籍している先生の専門分野を調べてみましょう。専任教授がいれば学部にかかわりなく、自然地理・人文地理の両方を学べます。さらに第三の分野として、特定の地域に対象を絞って研究をする「地誌学」という分野もあります。特定地域の「自然環境」や「人間の営み」を調べる、自然地理と人文地理の複合的な分野といえるでしょう。アジア・アフリカといった大陸レベルから、国、市町村、それ以下の集落単位まで、さまざまなスケールを対象にすることできます。

本格的な調査は3年からが主流

大学や指導教授によって方針はまちまちですが、1~2年は座学で知識を学び、3年になってゼミや研究室に入った後、フィールドワークなどの本格的な研究に入るパターンが多いようです。 興味のあるテーマと自分のフィールドが決まったら、調査に出かけます。自然や文化は地球上のどこにでもありますから、世界中が研究フィールドになり得ます。身の回りでテーマをみつけて調査をする人もいれば、電気も水道もないアフリカの砂漠にある集落まで出かけていく人もいるように振れ幅は大きくなります。発展途上国は自然も文化も調査・研究が進んでいないので、新しい研究成果を求めて、遠い国へ行く人も珍しくありません。

「とりあえず行く」から研究は始まる

現地の生活に飛び込むのですから、現地の人とコミュニケーションがとれるようになることは必須です。英語が通じない地域も多いので、現地の言葉を話せるようになるのが理想的です。しかし、発展途上国にはマイナーな言語も多いうえ、同じ国でも地域や民族ごとに言語が違うこともありますから、「日本で勉強して、話せるようになったら行こう」という精神ではいつまでたってもフィールドワークに出かけられません。「とりあえず行ってみる」の精神で日本を発ち、片言の言葉とボディランゲージを駆使してコミュニケーションを取りながら言語を覚えていくというスタイルが多いといいます。そしてフィールドワークから帰ったら、集めてきた情報を分析して、その成果を論文にまとめます。地理学の研究は、現地調査、分析、まとめ(論文執筆)の3段階で進んでいきますから、それぞれの手法や要点、注意点を学んでいくことになります。ちなみに、アフリカなど遠方での調査となると、長ければ数カ月単位で現地に住み込むことになるため、単位が詰まりがちな学部生のうちは時間が取れないこともしばしばあります。その場合は、夏休みなどのまとまった休みを利用したり、自宅や大学から通える範囲でフィールドワークの経験を積んでおき、大学院に進んで時間的な余裕ができたら本格的な調査に出かけたりするケースも想定しておいたほうがよさそうです。

旅やコミュニケーション好きは向いている

地理学を学ぶ人には旅好きが多いとよくいわれます。フィールドワークが不可欠なため、いろいろな場所に出かけて行って、現地の人とコミュニケーションを取ることが必要になるからです。なかには、世界中を飛び回ったり、過酷な土地に進んで飛び込んで行ったりするようなバイタリティあふれる人もいますが、そればかりが旅ではありません。例えば、ふらっと街に出かけて行って、「あれは何だろう?」、「なんでああなっているんだろう?」と疑問をもつだけでも十分なのです。こうした日常のなかで疑問をもつ力、気づく力、好奇心が地理学を学ぶうえで重要です。これらの能力は決して生まれもった才能や感性ではなく、知識と経験を積むことで養うことができます。その意味でも、とにかく出かけて行って、いろいろなものを見たり、聞いたり、感じたりしていることが強みになるというわけです。 旅が好きな人、人とコミュニケーションを取るのが好きな人、ひいては鉄道好きなど、何か1つ趣味や興味と研究内容が一致するとおもしろみが増すといいます。

地理学を通じて身につく3つの力

地理学を通して身につく能力は、1つには複合的なものの見方です。自然現象から人間の営みまでさまざまな要素が複雑にからみ合った現象を明らかにしていくわけですから、物事をいろいろな視点で見たり、関連づけたりするなかから、共通点や相違点を探しだす思考が養われます。2つめにはデータの分析力です。どこに行けば資料があるのか、どんな取材をすれば意図した回答が得られるのか、集めたデータにどんな処理をすればいいのか、どんな図表を作ってどのようにまとめればいいのか。地理学に限らず幅広い分野で役立つ能力を身につけられます。 そして3つめがフィールドワークを通したコミュニケーション力や精神的なたくましさです。特に発展途上国など過酷な環境に飛び込んだ人は、積極性や行動力など精神的な成長を遂げるといいます。 地理学は専門知識を得るだけではなく、研究を通して汎用性の高い力が身につくのも魅力です。

地理学 学びのフィールド

地理学には、人文地理、自然地理、地誌学の3つの分野があります。自然地理学は気象学・地球科学・水文学・地質学・生態学などと、人文地理学は歴史学・人類学・民族学・社会学・経済学などと強いつながりがあります。扱っているテーマだけ見ると似ている学問も多いのですが、自然や地域がそこで暮らす人にとってどんな意味をもっているのかを考えるのが地理学の特徴です。

<人文地理>

●人口地理学
人口密度、分布、構成、統計などで地域の特性を知る。

●経済地理学
経済的な発展の形態、経済的特徴などから地域の特性を知る。

●民族地理学
民族の起源、系統、類縁関係などから、地域特性がどう築かれてきたかを探る。

●集落地理学
人はなぜこの土地を選び、集落をつくったのか、土地の特性、道路なども含め、考える。

●言語地理学
世界には1万語以上の言語があるといわれる。言語の成り立ちや分布をもとに世界を見る。

●文化地理学
生活のスタイルや生活空間、文化要素や文化の動きを考えながら、地域の特質を解明する。

●都市地理学
都市の成り立ちを探り、都市機能である交通、住宅、産業などを地理学的に考える。

●工業地理学
鉱工業の発展や立地の特性、天然資源の分布、技術の発達などを地理学的に考察する。

<自然地理>

●地形学
山や川、平野や盆地など地表の形態とその成り立ち、変遷を研究する。

●気象学
風雨や雲、気圧など大気の状態と、そこで起こる現象を研究する。

●陸水学
海水を除いた地球上の水の研究。湖、河川、地下水、温泉などを研究する。

●生物地理学
生物の地理的分布について、地史的、系統学的、生態学的に研究する。

●海洋地理学
海洋の状態と、そこに起こる現象を研究する。

●水文学
陸水が対象だが、陸水学が化学的、生物学的側面が強いのに対し、水量や水流の方向性など物理的要素が濃い。

●水理学
水の経路、水脈を研究する。

●土壌地理学
土壌の生成、性質、地理的分布、利用を研究する。

<地誌学>

●国別地誌
日本地誌、中国地誌、ロシア地誌など国別、地域別に研究する。

●大陸別地誌
アジア、オセアニア、ヨーロッパ、アフリカ、南・北アメリカなど大陸別に研究する。

地理学とは

地理学ってどんな学問?

高校の教科としてもおなじみの地理学。気候や地形のほか、動植物の分布や水の循環過程などを対象とする「自然地理」と、文化や歴史、民族、経済などを対象とする「人文地理」、地域それぞれの地理的要素を深く掘り下げていく「地誌」の3分野があります。カバーする範囲が広く、幅広い興味にこたえる学問です。

・地理学では自然と人間の生活の関係を学ぶ

地理は、中学の社会科や高校の選択科目で習うので内容をイメージしやすい学問だと思います。高校で地理を選択しなかった人でも、地図やグラフを見ながら世界各地の気候や文化、動植物の分布、農作物や産業の違いなどを勉強した覚えがあるでしょう。
その一方で、「暗記の科目」という無機質なイメージをもっている人も少なくないはず。たしかに、高校までの地理ではそうした面が強調されがちですが、大学で研究する地理学は、単なる用語やデータの暗記ではなく、その先に「ひとの顔」が見える学問なのです。ややイメージが異なるのではないでしょうか。
というのも、地理学の最大の目標は、「自然環境」と「人間の営み」がどのように関係しあい、人々が暮らす地域や場所が人間にとってどんな意味をもっているかを明らかにすることだからです。
世界には、暑い地域もあれば寒い地域もあり、降水量が多いところもあればまったく雨が降らないところもあります。標高の高さも、生息している動物や生えている植物も、その土地によってまったく違います。
人間はそうした自然環境の中で日々の生活を営んでいるのですから、生活様式もまた千差万別です。どんなものを食べて、何を着て、どんな家に住み、どんな仕事をするのか。また、どんな価値観をもち、何を信じるのかなど、それぞれ違った文化をもっています。地理学はそれらの関係性を追求しているのです。
世界的な課題である民族紛争の解決や異文化理解から、日本で特に関心が強い防災や地域社会の持続、文化の継承まで、人間社会のあらゆる課題に通じていますから、幅広い興味にこたえてくれる学問といえるでしょう。

・地理学の二大系統、自然地理と人文地理

「自然環境」と「人間の営み」の関係を学ぶ地理学には、2通りの研究方法があります。一つは気候・地形・生物・水循環といった自然環境から研究する方法。これを「自然地理学」といいます。これに対して、文化・歴史・経済など人間の営みを調べる方法を「人文地理学」といいます。
大学の学部でいうと、地理学科は文学部か理学部に設置されているのが一般的です。「自然地理=理系=理学部」、「人文地理=文系=文学部」と考えられがちですが、地理学は文理を問わない学問ですから、住み分けはそう単純ではありません。文学部でも自然地理を学ぶことはできますし、理学部でも人文地理を学ぶことができます。
数としては、文学部に設置されていることが多いのですが、自然地理を学びたい人はあきらめずに、在籍している先生の専門分野を調べてみましょう。専任教授がいれば学部にかかわりなく、自然地理・人文地理の両方を学べます。
さらに第三の分野として、特定の地域に対象を絞って研究をする「地誌学」という分野もあります。特定地域の「自然環境」や「人間の営み」を調べる、自然地理と人文地理の複合的な分野といえるでしょう。アジア・アフリカといった大陸レベルから、国、市町村、それ以下の集落単位まで、さまざまなスケールを対象にすることできます。

地理学とほかの学問とのかかわり

多岐にわたる分野と隣接していますが、自然地理学は気象学・地球科学・水文学・地質学・生態学などと、人文地理学は歴史学・人類学・民族学・社会学・経済学などと強いつながりがあります。扱っているテーマだけ見ると似ている学問も多いのですが、自然や地域がそこで暮らす人にとってどんな意味をもっているのかを考えるのが地理学の特徴です。

・地理学はあらゆる分野と隣接している

「自然環境」と「人間の営み」を対象としていますから、私たちの身の回りのものはほとんどすべてが地理学の対象といっても過言ではありません。その意味では、あらゆるテーマが地理学に関連しているといえます。それほどに幅広い学問なのです。
そのなかで特にかかわりが強い分野は、自然地理学でいえば、気象学・地球科学・水文学・地質学・生態学などが挙げられます。また、これらの研究成果を実用化した土木工学や防災科学も近い関係にあるといえるでしょう。
人文地理学の場合は、歴史学・人類学・民族学・社会学・経済学などと似ています。また、人文地理学は、「人間が場所や自然にどういうイメージをもっているか」を明らかにすることも大きな目標の一つなので、アンケートやヒアリングなど聞き取り調査をよく行います。その調査・分析の手法は心理学と似ている部分があります。

・「空間と結びつける」が地理学のポイント

幅広い分野と隣接しているだけに、いざ自分の進路を決める際、学びたい分野が地理学に該当するのか、他の学問に該当するのかを判断ができないというケースも多いといいます。その選び方のポイントを3つ紹介します。
1つめは研究の最終目標で決める方法です。地理学は、「自然環境」と「人間の営み」の関係を明らかにし、人間の生活空間がそこで暮らす人々にとってどんな意味をもっているのかの研究です。つまり、最終的に場所と人間の生活を結びつける学問ということになります。興味をもっているテーマが場所や空間と結びついているのであれば地理学に適応しているといえるでしょう。
2つめは地理学的な思考による選び方です。よくテレビや雑誌で「うどんのつゆ、関東風と関西風はどこで分かれるか」といった地域差を比べる企画があります。調べたデータを地図上に落とし込んで、比較したり傾向を探ったりする手法は、地理学そのものといっていいでしょう。空間的な考え方は、地理学で伝統的に重視されてきたものですから、こうした考え方やまとめ方が得意なら地理学が合うかも知れません。
3つめは研究手法による分け方です。人間の文化や認識に深く切り込む地理学では、フィールドワークが欠かせません。実際にその環境に身を置いてみないことには、生活している人の考え方・感じ方は見えてこないからです。
人類学や民族学でもフィールドワークの手法は使われますが、最終目標や考え方など3つのポイントを合わせて考えると、進みたい方向が絞れてくるのではないでしょうか。

地理学では何をどのように学ぶか

地理学の醍醐味はなんといってもフィールドワークです。現地に住み込んで、その土地の自然や人の生活を体験しなければ、その関係性は見えてこないからです。海外をフィールドにする場合、時間や言葉など制約はありますが、とにかく行ってみることに重きをおくところから地理学の学習が始まるのです。

・本格的な調査は3年からが主流

大学や指導教授によって方針はまちまちですが、1~2年は座学で知識を学び、3年になってゼミや研究室に入った後、フィールドワークなどの本格的な研究に入るパターンが多いようです。
興味のあるテーマと自分のフィールドが決まったら、調査に出かけます。自然や文化は地球上のどこにでもありますから、世界中が研究フィールドになり得ます。身の回りでテーマをみつけて調査をする人もいれば、電気も水道もないアフリカの砂漠にある集落まで出かけていく人もいるように振れ幅は大きくなります。発展途上国は自然も文化も調査・研究が進んでいないので、新しい研究成果を求めて、遠い国へ行く人も珍しくありません。

・「とりあえず行く」から研究は始まる

現地の生活に飛び込むのですから、現地の人とコミュニケーションがとれるようになることは必須です。英語が通じない地域も多いので、現地の言葉を話せるようになるのが理想的です。
しかし、発展途上国にはマイナーな言語も多いうえ、同じ国でも地域や民族ごとに言語が違うこともありますから、「日本で勉強して、話せるようになったら行こう」という精神ではいつまでたってもフィールドワークに出かけられません。「とりあえず行ってみる」の精神で日本を発ち、片言の言葉とボディランゲージを駆使してコミュニケーションを取りながら言語を覚えていくというスタイルが多いといいます。
そしてフィールドワークから帰ったら、集めてきた情報を分析して、その成果を論文にまとめます。地理学の研究は、現地調査、分析、まとめ(論文執筆)の3段階で進んでいきますから、それぞれの手法や要点、注意点を学んでいくことになります。
ちなみに、アフリカなど遠方での調査となると、長ければ数カ月単位で現地に住み込むことになるため、単位が詰まりがちな学部生のうちは時間が取れないこともしばしばあります。その場合は、夏休みなどのまとまった休みを利用したり、自宅や大学から通える範囲でフィールドワークの経験を積んでおき、大学院に進んで時間的な余裕ができたら本格的な調査に出かけたりするケースも想定しておいたほうがよさそうです。

こんな人に地理学が向いている

地理学は、どこかに出かけて、現地の人とコミュニケーションを取るというフィールドワークが命ですから、街歩きや散歩、あるいは鉄道好きでも、趣味を研究に生かせるはずです。また、人怖じすることなく、誰にでも気さくに溶け込める性格であれば、地理学に触れることでさらに多面的な視点や、取材力など多様な力が育まれる可能性が高いといえます。

・旅やコミュニケーション好きは向いている

地理学を学ぶ人には旅好きが多いとよくいわれます。フィールドワークが不可欠なため、いろいろな場所に出かけて行って、現地の人とコミュニケーションを取ることが必要になるからです。
なかには、世界中を飛び回ったり、過酷な土地に進んで飛び込んで行ったりするようなバイタリティあふれる人もいますが、そればかりが旅ではありません。例えば、ふらっと街に出かけて行って、「あれは何だろう?」、「なんでああなっているんだろう?」と疑問をもつだけでも十分なのです。
こうした日常のなかで疑問をもつ力、気づく力、好奇心が地理学を学ぶうえで重要です。これらの能力は決して生まれもった才能や感性ではなく、知識と経験を積むことで養うことができます。その意味でも、とにかく出かけて行って、いろいろなものを見たり、聞いたり、感じたりしていることが強みになるというわけです。
旅が好きな人、人とコミュニケーションを取るのが好きな人、ひいては鉄道好きなど、何か一つ趣味や興味と研究内容が一致するとおもしろみが増すといいます。

・地理学を通じて身につく3つの力

地理学を通して身につく能力は、1つには複合的なものの見方です。自然現象から人間の営みまでさまざまな要素が複雑にからみ合った現象を明らかにしていくわけですから、物事をいろいろな視点で見たり、関連づけたりするなかから、共通点や相違点を探しだす思考が養われます。
2つめにはデータの分析力です。どこに行けば資料があるのか、どんな取材をすれば意図した回答が得られるのか、集めたデータにどんな処理をすればいいのか、どんな図表を作ってどのようにまとめればいいのか。地理学に限らず幅広い分野で役立つ能力を身につけられます。
そして3つめがフィールドワークを通したコミュニケーション力や精神的なたくましさです。特に発展途上国など過酷な環境に飛び込んだ人は、積極性や行動力など精神的な成長を遂げるといいます。
地理学は専門知識を得るだけではなく、研究を通して汎用性の高い力が身につくのも魅力です。

卒業後の進路と将来の展望

防災や少子高齢化、環境問題など日本や世界が抱える課題の解決には、地理学の成果が必要不可欠です。その意味ではこれから地理学の専門家が求められる場面は増えてきそうです。専門分野を生かせる業種は国や自治体、教員など手堅いところが多く、研究の過程で得た能力は幅広い分野で重宝されます。

・防災や少子高齢化などの社会問題に地理学が求められている

高校生の皆さんは、「地理を勉強してなんの意味があるのか」と一度は考えたことがありませんか? たしかにロボット開発やアプリ開発のように、直接生活の役に立つ学問ではないので意識されにくいのですが、実はいま日本が抱えるさまざまな社会問題を解決するのに、地理学の手法や研究成果が役立てられています。
例えば、東日本大震災以降、日本人の防災に対する意識が高まっていますが、防災にはまさに地理学研究の成果です。
地震も津波も洪水も、まずは地形や気候などを調べ、それらの災害がどのような現象であるかを明らかにします。それこそが自然地理学の成果です。
また、災害への対応は、そこが山なのか海の近くなのか、都市なのか田舎なのかによって異なりますし、そこに住んでいる人たちの生活様式を把握する必要があります。さらに、人々が防災に対してどういう意識をもっているのか、地震や津波にどんなイメージをもっているのかを知ることも大切です。これは人文地理学の知見が生かされます。
ほかにも公害や地球温暖化といった環境問題、少子高齢化社会における地域活性化や文化の継承、多文化共生社会における異文化理解なども、地理学の研究を通して発展してきました。これからの社会でも地理学は大いに役立てられていくに違いありませんし、なくてはならない学問といえるでしょう。

・地理学研究で得た力を使って多方面で活躍

地理学の専門分野を直接生かせる仕事といえば、国土交通省や環境省や国立環境研究所のような国立機関、それから各地方の自治体というのが一番わかりやすいでしょう。自然、文化、地域社会のことを考えるのは公共団体にとって最も重要な課題の一つですから、どこの役所でも専門家を必要としています。さらに、地域社会の持続や文化の継承を考えると教育も重要ですから、学校も人気の就職先です。
民間企業でいえば、教科書や地理書、地図を扱う出版社、旅行会社、交通機関、気象予報士などがあります。
専門知識を直接生かすとなると就職先はやや狭まってしまう印象がありますが、地理学研究を通して身につけた調査力やコミュニケーション力、データ分析力を生かせば、幅広い職業で活躍することができます。
特に、国内外でのフィールドワークの経験は頼れる武器となります。例えば、現地の人にヒアリングして情報を集める取材力はマスコミ業界で、遠く不便な国でも物怖じしないたくましさやコミュニケーション力は商社や国際協力機構(JICA)、青年海外協力隊など世界を舞台に活躍する企業・団体にうってつけです。
地理学は基礎研究にあたるので、実学のように活躍の場面が見えやすいわけではありませんが、社会の土台を支える堅実で、幅広い分野で活躍できる学問です。

地理学の先生に聞く(取材協力:京都大学大学院 文学研究科 地理学専修 水野一晴教授)

地理学ではこんな研究をしています

標高5000mを超えるケニア山やキリマンジャロ、年間の降水量が120mm以下というナミブ砂漠といった過酷な環境にも生きている植物があり、年々変化する気候環境に合わせてその生息域は変化しています。そんな限界地帯の植生がどう変化しているのかをフィールドワークで明らかにします。(京都大学大学院 文学研究科 地理学専修 水野一晴教授)

・氷河が溶けるとその周辺の植生はどう変化するのか

アフリカ大陸のケニア山(標高5199m)やキリマンジャロ(同5895m)は、赤道直下の熱帯地域にありますが、標高4500mを超えたあたりには氷河があるほどの低気温です。また、ナミブ砂漠は年間の降水量が120mm以下という極度の乾燥地帯で、いずれの地域も生物にとっては限界ギリギリの環境です。
しかし、そんな環境にも生態系は築かれています。先人たちの研究で氷河の手前までは植生があることが知られていましたが、近年は地球温暖化の影響で氷河が徐々に後退していますから、それに伴って植生も変化しているはずです。その実態を調査するために、1992年からケニア山やキリマンジャロ、南米のアンデスなど訪れ、氷河周辺の植生が気候変動の影響でどのように変化しているのか、データを取っています。

・限界地帯での調査は苦労の連続だけに成果が見えたときの達成感は格別

氷河の周辺はたいてい国立公園に指定されており周辺に村はありませんから、調査を効率よく行うには標高4500mくらいのところにテントを張って、そこで生活しないといけません。今はプロジェクトチームを組んで行きますが、大学院生の頃は一人で行っていたので孤独な戦いでしたね。
調査は1回につき1カ月~1カ月半。何もないところに杭を打って20m×80mの区画を設け、その中にどんな植物がどれくらい生えているかを一つひとつ調べていきます。今は赤外線で距離を測る装置があるので楽になりましたが、私が調査を始めた当時はそんな便利なものはありませんでしたから、石でメジャーの片方を固定して距離を測っては杭を打つという作業を繰り返していました。高山病で頭もガンガン痛むなかで、これは結構な重労働なんですよ。
そうした苦労を重ね何年も調査を続けてきた結果、氷河の後退に合わせて植生の最前線が上がっていることが明白になりました。「こんなに変わっているんだ」と驚くと同時に、「これは自分が世界で初めて明らかにしたことだ」という達成感を味わいました。

・気候と植生、人々の生活の関係性を探る

高山だけでなく降水量が限界ギリギリのナミブ砂漠でも調査を行っています。砂漠地帯では、上流でたくさんの雨が降ったときだけ水が流れて洪水が起きる「ワジ(涸れ川)」に沿って森林ができます。その恩恵を受けて人々が生活しているのですが、洪水が少ないと森林が枯れてしまいますし、洪水の規模が大きいと菜園や家畜が流される被害を受けます。洪水と森林と人々の生活は、微妙なバランスの上に成り立っているんですね。その関係性が調査の対象です。
こうした調査を続け、植生と気候環境の関係が見えてくれば、気候環境の変化から植生の変化を予測したり、植生の変化から気候環境の変化を認識したりすることもできるようになるでしょう。

気候と植生、人々の生活の関係性を探る
今でも標高5000m級の山に行くことがあるという水野一晴先生

地理学のここがおもしろい

世界でまだ誰も明らかにしていないことを発見するのが学問の醍醐味です。発展途上国には誰も研究していないテーマが多く、「世界で唯一」になれるチャンスがあふれています。また、フィールドワークを通して現地の人とふれあい、第二の故郷ともいえるつながりができるのも魅力です。(京都大学大学院 文学研究科 地理学専修 水野一晴教授)

・新発見を自分の力で。その成果は世界中の人に知られる

学問というのは新しい発見をしないと、誰にも見向きされません。それを見つけるために、学者は既存の論文をよく調べ、いまだ誰も調査していないテーマを探し出すわけです。
その点でいうと、日本やアメリカ、ヨーロッパなどの先進国はかなりやり尽くされていますが、アフリカなどではテーマが見つけやすいのです。世界でまだ誰もやっていないことを自分の力で明らかにできるチャンスが多いのは、地理学の大きな魅力でしょう。
私の研究フィールドであるケニア山を調査している人は世界的に見ても少数で、植生を調査している人もごく限られています。しかも、たいていの人が1~2年でやめてしまうので、1992年から25年以上も継続的に調査している人は私以外にほとんどいないと明言できるほどです。
地理学では長く調査を続けるということが絶対的な武器で、20年も30年も追跡したデータは他のどこにもない貴重な財産です。苦しくても、続けることが新しい発見につながり、それを論文にすれば世界中の人に読んでもらえる。これは大きなやりがいですね。

・フィールドワークを通して第二の故郷ができる

地理学を研究する学生は、アフリカの村など現地のコミュニティに住み込みで調査をするので、現地の人と深い関係が築けるのも魅力の一つです。
私の指導学生にも、半年ほどアフリカやインドの村に住み込んで、現地の自然や社会、文化などを研究してきた学生たちがいます。最初は私も現地に同行して、住まわせてもらえる協力者を探したりするのですが、用事が済んで私が引き上げようとするとすごく心細そうな顔をするんですよ。それでも「じゃあ元気で」と帰ってくるんですが、3カ月後に様子を見に行くと、すっかり現地に溶け込んでいて、「あれ?来たんですか?」というくらいケロッとしているんです。たくましくなっていましたね。
最初のフィールドワークは、半年したら一回日本に引き上げてきて、翌年もう一度同じ村に連れていくというパターンになりますが、村の人たちは日本に帰った学生が再び戻ってくるなんて思っていませんから、「わぁーっ!」と駆け寄って、ハグをして大盛り上がり。第二の故郷ができたような感じですね。
私は学生時代、人の住んでいない高山の中で調査してきたので、そのような経験はできませんでしたが、日本から遠く離れた土地で、家族のようなつながりを作る学生を羨ましく思うこともあります。そうした人間の温かさに触れられる研究とも言えるでしょう。

フィールドワークを通して第二の故郷ができる
1996年のケニア山調査で指導学生と。背後に見えるのはケニア山第2の氷河、ティンダル氷河

地理学の学生に聞く(取材協力:京都大学大学院 文学研究科 地理学専修 博士課程2年)

地理学を選んだ理由

「アフリカを研究したい」という動機が先にあり、それを学べる環境が地理学という枠組みの中にあったことがきっかけです。地理学は学問分野が広いので、気になる地域やテーマなどが何かしらあれば、引っかかるところがある学問です。(京都大学大学院 文学研究科 地理学専修 博士課程 2年 大谷侑也さん)

・「アフリカの氷河について」というテーマから地理学に

 現在は大学院の地理学専修でアフリカの氷河について研究していますが、学部生時代は農業大学で環境問題について研究していました。当時のテーマは、鹿児島県・与論島で農業に使われる化学肥料がサンゴ礁に与える影響でした。
それには一旦、学部で区切りがついたので、研究者を目指して大学院に進もうと新しいテーマを探し始めたときに興味をもったのが、アフリカをフィールドとする研究でした。学部生時代にアフリカの熱帯地域における農業の研究に携わっていたこともありましたし、アフリカには研究の進んでいない分野がたくさんあるので、新しい発見ができるのではないかと考えたんです。
現在の指導教官がケニア山の氷河周辺で植生を調査している方で、それをヒントに「氷河が溶け出すことによって、河川の水質や水量はどうなっているのか」というテーマを思いつきました。そこでその先生を頼って今の研究科に入ったのが地理学を始めたきっかけです。
従って私の場合、「地理学を勉強したい」というよりは、興味のあるテーマを研究できる環境が地理学の中にあったといったほうがいいかもしれません。地理は学問分野が広いので、気になる地域なり、テーマなりがあれば何かしら引っかかるところがあると思います。これまでは理系の学部にいたので自然地理的な研究がメインでしたが、地理学を学び始めてからは人文地理的な研究もすることになり、新鮮な気分ですね。

「アフリカの氷河について」というテーマから地理学に
研究室で取材に応じる大谷さん

こんなふうに地理学を学んでいます

学部3・4年になると、自分が興味のあるテーマについての研究が始まります。修士課程に進んでから、ケニアでのフィールドワークに取りかかり、1年のうち3カ月は現地で調査を行っています。そのほか他、日本で調査の結果のまとめや、論文執筆・学会発表に充てる時間も重要です。(京都大学大学院 文学研究科 地理学専修 博士課程 2年 大谷侑也さん)

・フィールドワークは3カ月、論文執筆や学会発表にも時間をかける

学部1・2年は先輩の研究を手伝いながら学び、3・4年になったら興味のある地域やテーマを決めて、調査・実験に取り掛かります。ここで初めて自分の研究というものを知ることになります。私は修士課程に進んだ後、フィールドを日本から海外へ移したので、これもとても大きな変化でした。
ケニア山の氷河が溶け出したあと、それにつながる河川の水質や水量がどのように変化するのかを調査するために、1年のうち約3カ月は現地に行って、サンプルを摂取したり、データを集めたりするフィールドワークをしています。4~7月はゼミに出たり、もち帰ったサンプルを使った実験・分析をしたりしています。8~10月はフィールドワークをして、11月~3月は実験・分析をしながら論文執筆や学会発表というのが、大まかな年間スケジュールです。

・博士課程の勉強のやりがい

学部の卒業論文は書き上げることが重要で、修士論文になると学術論文として出版できるレベルまで完成度を上げなければなりません。さらに博士課程は完成度を保ったまま数をこなすことが求められます。年々、ハードルは上がっていきますが、それだけにやりがいも感じられます。
また、博士課程は大学教員になるための勉強期間でもあるので、教える技術など、教授として必要なことを常に意識して、研究に取り組んでいます。

博士課程の勉強のやりがい
日本でも論文執筆や学会発表などやることは盛りだくさん

実際に地理学を学んでみて

研究の肝となるフィールドワークを通して、語学力やメンタルなどが鍛えられました。大変なこともありますが、その分、自分の成長や「世界中の誰も知らないことを明らかにする」という研究の醍醐味(だいごみ)を感じられる学問だと思います。(京都大学大学院 文学研究科 地理学専修 博士課程 2年 大谷侑也さん)

・まずは現地の生活に慣れるところから

1年のうち数カ月間はケニアでフィールドワークをするので、食べ物が口に合わなかったり、生活環境が日本とかけ離れていたりして慣れないうちは大変でした。ただ、それも最初の2カ月くらいの話で、今はすっかり慣れました。現地の生活に慣れないことには調査になりませんから、いち早く溶け込む順応性の高さが重要になります。
もちろん、コミュニケーションは現地の言葉で取りますから、語学力も鍛えられます。調査地によっては、なじみのない言語を一から覚える場合もありますが、幸い、ケニアは英語が公用語になっているので、比較的楽にできたと思います。
生活環境や言葉の壁以外にも、交渉がうまくいかず何度も何度も役所に通ってお願いをするなど、調査には困難がつきものです。そんな中で精神面も強くなったのを感じますね。
こうした研究の中で、「世界中の誰も知らないことを自分の力で明らかにしている」という確かな手ごたえが感じられますし、それを世に出すということを楽しめています。こうした研究のやりがいを肌で感じられるのが、地理学の一番の魅力ではないでしょうか。

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