文化人類学とはどんな学問?
文化人類学とはどんな学問?
「人間とは」という普遍的なテーマに挑戦
人間の日常的な行動や街の様子を観察することで、その地域に根づく文化や社会などのしくみを研究し、「人間とは」という普遍的なテーマに挑戦する学問です。現地の生活に入り込んで調査するフィールドワークが特徴です。
文化人類学と他の学問とのかかわり
民族学、民俗学、社会学、心理学などに少しずつ共通点
文化人類学を、世界の民族を対象とするフィールドワークを主体とした研究手法で、「人間とは何か」という問いに答える学問と考えると、民族学、民俗学、社会学、心理学などに少しずつ共通点があります。その反面、核心的な部分に異なる点がありますから、よく違いを吟味しましょう。
文化人類学では何をどのように学ぶか
1・2年は座学、3・4年でフィールドワークへ
学部では1・2年次で、文化人類学のフィールドワークに必要な着眼点や注意点などのノウハウを学び、3・4年次では身近なフィールドで調査を行い、卒業論文をまとめます。そして大学院生になると自分のフィールドを決めて出かけていき、現地で観察を行う中で研究テーマをみつけていくというのが、大まかな流れです。
文化人類学はこんな人に向いている
旅や街歩きが好きなら楽しめる
「旅する学問」といわれるだけに、旅や街歩きが好きだと文化人類学の研究を楽しめるでしょう。旅や異文化への興味といった軽い興味からでも始められるのが魅力です。難しいことは考えなくてもかまいませんが、海外でのフィールドワークを視野に入れるなら、ある程度の準備と心構えが必要です。
文化人類学を学んだ後の進路と今後の展望
「国際的な対応力」、「他者とは違うものを発見できる視点」、「取材力」の三つの能力を生かした進路
文化人類学を通して身につく「国際的な対応力」、「他者とは違うものを発見できる視点」、「取材力」の三つの能力を生かした進路が人気です。ホテルや旅行、商社、国際機関といった国際系、警察や不動産業界といった地域系、新聞・テレビ、出版といったマスコミ系などが代表的です。
文化人類学の先生にきく
文化人類学ではこんな研究をしています
国内の都市で街歩きをしながら研究
これまでにミクロネシアのヤップ島やニュージーランド、香港などに赴き、日常生活のあらゆることを観察し、その背景にある価値観を考察するというフィールドワークを行ってきました。近年は、「日本人、日本文化とは」というテーマに興味が広がり、国内の都市で街歩きをしながら研究をしています。(江戸川大学 社会学部現代社会学科 斗鬼正一教授)
タンザニアの都市で、古着の行商人と一緒に生活しながら、彼らの商慣行について研究
タンザニアの都市で、古着の行商人と一緒に生活しながら、彼らの商慣行について研究していました。そこから、「ウジャンジャ(賢さ/ずる賢さ)」を生活信条とする零細商人たちが、不安定な都市環境で生きられるしくみが見えてきました。(立命館大学大学院 先端総合学術研究科 小川さやか准教授)
文化人類学のここが面白い
日常の中にある「変」に注目
外の文化に触れることで、いかに自分たちが常識にとらわれて頭が固くなっているかを自覚できるのが、文化人類学を学ぶ一つの意義でしょう。日常の中にある「変」に注目し、それをおもしろがれる力は独創的な発想や企画力につながるはずです。さらにその力があると、街歩きや旅行も、日常生活もより楽しめるようになります。(江戸川大学 社会学部現代社会学科 斗鬼正一教授)
遠く離れた世界と共通性を感じられる
遠い世界で自分たちとまったく違う思想で動いている人たちと一緒に生活するのは、新鮮であり、新発見であり、自分の生き方・考え方を見直す契機になります。その一方で、同じようなことを求めたり、悩んだりしていることも少なくありません。遠く離れた世界と共通性を感じられるのもおもしろさの一つです。(立命館大学大学院 先端総合学術研究科 小川さやか准教授)
もっと先生たちに聞いて見よう

アフリカ難民の調査を通し、文化や人間の多様性を探る先生
盛岡大学 文学部社会文化学科飛内 悠子准教授

フィリピンの人々の声から支援のあり方を考え続ける先生
文教大学 国際学部渡邉 暁子准教授
文化人類学の学生にきく
文化人類学を選んだ理由
文化や人間には興味があり、「まさにこれだ!」と
元々は別の進路を考えていましたが、たまたま参加したオープンキャンパスで出会った先輩に強烈なインパクトを感じ、急遽、文化人類学に進むことに決めました。「文化人類学」という学問があることを知ったのもその時です。文化や人間には興味があったので、「まさにこれだ!」と思いました。(江戸川大学 社会学部 現代社会学科2年 三枝哲也さん)
人を知るためにそのコミュニティに飛び込む、実践的な学問が魅力
国や人種、民族、宗教によって人の価値観や生き方はまったく違ってきます。その違いについて究明していくのが文化人類学という学問です。人を知るにはその人々のコミュニティーに飛び込んで実際のところを知っていくのが一番。そんな実践的な学問に魅力を感じ、この学問を選択しました。(立命館大学大学院 先端総合学術研究科 博士課程2年 荒木健哉さん)
こんなふうに文化人類学を学んでいます
街中の「変」を探す演習
興味津々に取り組んでいるのが、普段は意識せずに通り過ぎてしまうような街中の「変」を探す演習です。「なぜ変だと感じるのか」を掘り下げていくことで、文化人類学的な視点も身に付けていくというのがこの演習の狙いです。また、研究の一環として行ったある人のライフヒストリーをレポートにまとめるという取り組みも印象深いものの一つですね。とにかく、慎重かつ膨大な作業が伴い大変な作業でした。(江戸川大学 社会学部 現代社会学科2年 三枝哲也さん)
人類がどんなことに「希望」や「幸福」を見いだすのか、そのヒントを求めて研究
ナイジェリアの人たちにとってギャンブルは仕事の一つです。賭け事は運に身をまかせるイメージがありますが、ただ運にまかせるだけでは仕事としての達成感がありません。そこでナイジェリアの人々は、自分たちで何らかのアクションを起こそうと、さまざまな予想のやり方を考えて、それを宝くじに当てはめようと模索し続けます。そんなところから、人類がどんなことに「希望」や「幸福」を見いだすのか。そのヒントが見えてくる、そんな思いで研究を進めています。(立命館大学 大学院 先端総合学術研究科 博士課程2年)
実際に文化人類学を学んでみて
これまで「何もない」と思っていたところに楽しみを見いだせるように
日常的な光景でも、意識して違った角度から見てみるとさまざまな発見があるものです。文化人類学を学んだことで、これまで「何もない」と思っていたところに楽しみを見いだせるようになりました。その中で「境界領域」というテーマに興味をもったので、これから本格的に掘り下げていきたいです。(江戸川大学 社会学部 現代社会学科2年 三枝哲也さん)
新鮮な驚きや発見に出合えるフィールドワーク
一番の魅力はやはりフィールドワーク。普段かかわることのないような人と仲良くなることで、さまざまな知識が身につき、新鮮な驚きや発見に出合えます。博士課程の修了後には、文化人類学の魅力を伝える先生になりたいです。(立命館大学大学院 先端総合学術研究科 博士課程2年 荒木健哉さん)
もっと在校生たちに聞いて見よう

研究のフィールドは、推理小説の舞台になった岡山県。現地の民俗と物語との関係を調査しています。
京都精華大学 人文学部 総合人文学科(現:国際文化学部 人文学科)
寺下 恋希

研究テーマはベトナム料理。京都にあるベトナム料理店を実地調査しています。
京都精華大学 人文学部 総合人文学科(現:国際文化学部 人文学科)
吉田 茉莉

歴史という視点からアニメツーリズムの魅力を考察しています
就実大学 人文科学部 総合歴史学科
H.Kさん
文化人類学に関連する本
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