日本文学とはどんな学問?
日本文学とはどんな学問?
長い歴史で培われた文学を読み解く
古代から現代まで長い歴史があり、ジャンルも幅広い日本文学。それを多様な研究方法で読み解いていく学問が日本文学研究です。日本で生まれたさまざまな文学に触れることは、普段は意識することのない「日本」「文化」「社会」といった大きな枠組みについて考えるようになると同時に、思考の多様性を育むことになります。
日本文学と他の学問とのかかわり
哲学や言語学、心理学も学ぶ
思想や考え方を知るためには哲学を学ぶことが必要になりますし、同時代の社会条件を知るために歴史学や社会学が、また人間の内面を分析するためには心理学、そして言葉を分析する言語学も学ぶことになります。さらに、日本の文化は中国をはじめとしたアジア諸国や、欧米諸国の影響を強く受けていますから、海外の歴史や文化を学ぶことも重要です。
日本文学では何をどのように学ぶか
根拠を持って自説を説明する技術を修得
まずは日本語を使うための文法、そして文学の基礎知識を身につけ、3年次に専攻を絞るというのが典型的なパターンです。並行して演習科目を行い、根拠をもって自説を他人に説明する技術を修得します。オリジナルの解釈をみつけるための方法も身ににつけ、他人と違う視点でモノを見るスキルを修得することも重要です。
日本文学はこんな人に向いている
人に伝わる文体の練習を
感想文の文体に慣れてしまうと、大学に入ったあとの文学研究でつまずく可能性があります。感想文の文体と、説得するための文体はまったく別物だからです。高校生までに、あることがらを人にわかりやすく伝える説明文の練習をしておくといいでしょう。状況に合わせて自分を変えられる順応性・柔軟性が文学研究でも役に立つはずです。
日本文学を学んだ後の進路と今後の展望
出版・教育・マスコミが人気
就職に弱いイメージがありますが、汎用性の高いスキルと幅広い教養、他人とは違ったものの見方が身につくので、業界を問わずあらゆる社会で自分のポジションを確立していけるでしょう。その中でも出版社や教育、マスコミなど言葉に対する深い理解力を生かせる仕事が学生に人気があるといいます。それに加え、個性とその説得の技術を身につけられるのですから、様々な人を動かす立場につく人にこそ文学教育は必須だと言えます。
日本文学の先生にきく
日本文学ではこんな研究をしています
より豊かな歌の読み方を考える
『万葉集』はすべて漢字だけで書かれているので、その読み方や意味がはっきりしないところがまだまだたくさんあります。それをどう読んだら矛盾なく解釈できるのか、同時代の文献や、平安時代以降の古辞書や注釈書などをもとに、より豊かな「歌の読み方」を考えてゆくという研究です。(國學院大學 文学部 日本文学科 土佐秀里教授)
漱石文学を通じて近代日本が見えてくる
夏目漱石が作家デビューした明治40年(1907年)ごろの東京では、教養と時間を持て余した知識層が「悩む」ことに時間を使い始めます。武士の時代を経て女性との関わり方のノウハウは消滅していて、知識層の男たちは女性との接し方がわからず、うろたえました。そんな彼らの苦悩をみごとに描き出した漱石文学を究めていくと、これまであまり語られることのなかった近代日本が見えてきます。(早稲田大学教育学部 石原千秋教授)
日本文学のここが面白い
日本文学が未完成な時代ならではの魅力
平安時代以降の和歌は、歌の形式やルールが整えられ、詠むべきテーマや詠むべきものが固定していきます。しかし『万葉集』には、まだ日本文学が未完成な時代ならではの試行錯誤と冒険と混乱と躍動が詰まっており、そこに独特の魅力があります。(國學院大學 文学部 日本文学科 土佐秀里教授)
人を知り、己を知ることが醍醐味
感性の分析力を身につける、個性を育てる、説得の技術を身につける。独自の切り口で日本文学を読み解いていくことで、内面性が育まれるだけでなく、社会で生きていくために必要な力も身につくのが魅力です。他人とは違った読み方を発見し、また時代を読み解き、人を知り、己を知ることこそが文学の醍醐味です。(早稲田大学 教育学部 石原千秋教授)
もっと先生たちに聞いてみよう

宮沢賢治に魅了され、果てしない研究の道を歩む先生
文教大学 文学部鈴木 健司教授

平安時代を「いま」につなげる先生
埼玉学園大学 人間学部人間文化学科穴井 潤 専任講師

江戸時代の文学をひもとき「世の中のあり方」を考える先生
盛岡大学 文学部日本文学科紅林 健志准教授
日本文学の学生にきく
日本文学を選んだ理由を教えて!
- 日本の文学や文化に興味があったから。
- 日本の小説や歴史が好きだから。
- 図書館司書の資格が取得できるから。

日本に生まれたので日本のものに愛着があります。高校生のころは日本の文化に触れたいと思い、茶道部に所属していました。国語の教科書で取り扱っている作品を読むことも好きです。日本文学や日本の文化全般を学べる学問であることが選んだ理由です。
(文学部 日本文学文化学科 あかりんごさん)

小さいころから本を読むことが好きで、現代の文学について知識を深めていきたいと思っていました。文学だけでなくアニメーションや書道などからも専門的に学ぶことができると知ったことが決め手です。
(文学部 日本文学文化学科 にゃんさん)

高校の授業で夏目漱石の作品を読み、とても興味が湧きました。時代背景や作者の人となりを絡めて作品を読むことの楽しさを高校で実感し、もっとこの学びを続けたい!と感じていたからです。
(文芸学部 日本語日本文学コース ラララのピピピさん)

高校生のころから日本史をおもしろいと感じるようになりました。そこから古典文学などにも興味をもち始めたことがきっかけです。また、図書館司書の資格を取得したいと思っていたので、この学科に決めました。
(文学部 日本文学文化学科 東雲さん)
時間割と授業内容を教えて!
文学部 日本文学科1年生の時間割をチェック!キャンパスライフの参考にしましょう。
「日本文学」や「日本語学」、「伝承文学」など、日本文学研究の基礎を学びます。「日本国憲法」など法学の授業もあります。
1年次には、日本文学や伝承文学など、日本文学研究の基礎を学びます。この内容をもとに2年次以降の専攻を決定します。2年次にはより専門的に日本文学について学び、同時に演習授業で専攻分野について詳しく研究を始めます。
3年次になると専攻分野の演習がメインとなり、より専門的に学びを深めます。4年次にも専攻分野の演習が続き、同時に卒業研究を集中して行っていきます。
日本文学ではこんなテーマで学べるよ!
- 萩原朔太郎の詩集を専門的に研究。
- オノマトペについて研究。
- 狂言について現代語訳や考察を行う。

日本文学について研究しています。特に萩原朔太郎の詩集を専門に扱っています。孤独感のあふれる暗い詩が多いので、彼の人生と照らし合わせて考察・研究を行っています。
(文学部 日本文学文化学科 あかりんごさん)

オノマトペについて研究しています。特に直音形と拗音形の意味や語感の差異についてです。「さらさら」と「しゃらしゃら」や、「つるん」と「ちゅるん」などを比較して、法則などがみつけられたらいいなと思っています。
(文学部 日本語日本文学科 いちゃんさん)

狂言について学んでいます。10人に満たない少人数のゼミですが、全員がそれぞれ選択した狂言について現代語訳や考察を行い、発表します。質疑応答を通じて、ほかの学生の視点なども学べ、新しい発見が多くとてもおもしろいです。
(文学部 日本文学文化学科 東雲さん)

筒井康隆のメディアミックス展開について研究しています。デビュー当初から小説だけでなく、テレビやラジオ、演劇など幅広い媒体で活躍してきた彼の軌跡をたどっています。1人の人間の人生を追うことは、とても興味深いテーマだと感じています。
(文学部 日本語日本文学コース サトシさん)

日本文学で楽しかった演習やテーマを教えて!
- アニメや映画を使って死と生とは何かを考えた。
- 女性のあり方やジェンダーに関する法律を学んだ。
- 武者小路実篤の作品を読み、レポートの発表をした。

「倫理学」の授業で、死生観について学習したことが印象的です。普段、なかなか死や生の尊さについて考えることはなかったのですが、アニメや映画の映像資料を使って死と生とは何かを考えたことは、とても興味深いものでした。
(文学部 日本文学文化学科 にゃんさん)

楽しかったのはジェンダーの授業です。女子大ということもあって、女性のあり方や現代のジェンダーに関する法律などを学び、とても勉強になりました。また、自分自身でも改めて女性のあり方について考えるきっかけになりました。
(文学部 日本語日本文学科 いちゃんさん)

日本文学基礎演習で武者小路実篤の友情を読み、班を組んでレポートの発表を行いました。いろいろな考え方や捉え方があり、意見を交わしながらの発表はとても有意義でした。
(教育学部 国語国分学科 H/Tさん)
日本文学を学んでみてどうだった?
- 文章や構成には作家の人生が大きく関わっていると知った。
- 現代小説やアニメーションなど幅広く学べる学問。
- 文学で培った思考プロセスは社会で役立つと確信。

文章の書き方や構成のしかたには、作家の人生が大きく関わっていることを知りました。作品の分析だけでなく、作家自身の研究もとても大切です。表面的なことだけでなく、文献と照らし合わせてより深く学ぶことによって、作家の心情やメッセージ性を感じることができます。文学は奥が深くとてもおもしろいです。
(文学部 日本文学文化学科 あかりんごさん)

古典文学を専門にしている先生が多いイメージでしたが、現代小説やアニメーションを扱っている先生も多く、あらゆるテーマで学べる学問だと思います。日本の文学や文化は幅広いものだと感じます。私が受講している日本文化講義や出版文化論だけでも新たな可能性を見いだせている気がしています。
(文学部 日本文学文化学科 にゃんさん)

ファッション雑誌の語彙や、商品のネーミングを研究している友人もいて、意外と身近なことも研究テーマになることがおもしろいと感じています。普段、雑誌やSNSでの表現を何気なく見ていますが、日本語について学ぶことで、どのような事を伝えるためにこの言葉を選んだのかなどを考えるようになりました。
(文学部 日本語日本文学科 いちゃんさん)

文学は読んで理解するものだと思っていましたが、時代背景や筆者の生い立ち、当時の常識など、そこに必ずしも書かれていない情報こそ大切だと知りました。文学が将来何の役に立つのか不安はありましたが、適切な情報を取捨選択し自説の根拠を固めていくという思考プロセスは、社会に出てからも大いに役立つと感じます。
(日本文化学部 国語国文学科 ふたさん)
記事はスタディサプリ編集部が日本文学を学ぶ学生に対して独自に行ったアンケートへの回答をもとに構成しており、実際の履修内容は各学校により異なる場合があります。各学校についての詳細な情報は学校ページにてご確認ください。
もっと在校生たちに聞いてみよう

尊敬できる先生と出会えて、自分がやりたいことを見つけました
白百合女子大学 文学部 国語国文学科
小室 愛さん

日本の近現代文学から音楽まで幅広い分野を学び、充実した学生生活です
フェリス女学院大学 文学部 日本語日本文学科
平井 玲奈さん

文学作品の研究を通して、プレゼンテーション力などが身につきました
滋賀文教短期大学 国文学科 日本文学コース
奥谷 日菜乃さん
もっと卒業生たちに聞いてみよう

何よりも大切なのは生徒との信頼関係。私自身も新しいことへ挑戦し続けます!
福岡女子短期大学 文化教養学科 卒
桝満 美咲さん

人と本との出会いをつなぐ図書館司書。一生心に残る本を提供できたら嬉しいです
皇學館大学 文学部 国文学科 国語・国文学コース
川村 花音さん

世界的企業の経営トップを間近で支える。一つひとつが社会貢献に繋がる仕事です。
金城学院大学 文学部 日本語日本文化学科
鬼頭 采伽(きとう あやか)さん
日本文学に関連する本
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