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観光学

観光学

文化交流やビジネスの側面を持つ観光の研究を通じて、観光業で必要とされる知識や技術を学ぶ

観光地計画・観光事業経営・観光文化などの分野がある。観光の理論から、ホテル業、旅行業などの実務的な知識も学べる。

観光学の学び方

講義
観光事業や観光地の実例を取り上げる際にビデオやOHPを使って解説することもある。
フィールドワーク
国内外の観光地に出かけてテーマに沿って現地調査するが、事前研究や調査結果の取りまとめ、発表も行う。
インターンシップ
ホテルやテーマパーク、旅行会社で、講義で得た知識を生かしながら体験学習をする。

観光学 学びのフィールド

観光の基礎的な知識を身につける基礎研究分野、それぞれの領域を研究する専門研究分野がある。

<専門研究分野>
●観光経済学
観光事業を経済学的に分析する学問。観光と経済の関係や特徴を探り、観光事業を営む企業の行動を経済学的に分析する。
●観光経営学
テーマパークやホテル、運輸業や旅行業、リゾート施設などを取り上げ、観光に関する経営問題と特徴を理解する。
●観光政策論
国家や地域別の観光振興のために行われている政策の多様性と、現実的な課題を把握する。各国の経済や社会、文化と採用されている観光政策の特徴を分析・比較する。
●観光地理学
観光を空間的・地理的な側面から研究する。観光地の成立条件、発展の過程、現代の課題と今後の望ましいあり方を追究する。
●観光地計画
観光の対象となる地域での計画策定の方法をソフト面・ハード面の両面から研究する。開発コンセプトの決定や施設の配置、需要の予測、施設規模の決定などを学ぶ。
●観光文化論
観光文化や余暇文化のさまざまな問題を、社会文化の流れのなかで幅広くとらえ、比較文化論の視点から考察し、観光文化や余暇文化の望ましい形態を探っていく。
<基礎研究分野>
●観光概論
「観光とは何か」など観光の概念や観光にかかわる人間の行動について理解し、さらに観光の現状、歴史、役割などを明らかにする。
●観光事業論
観光事業の概念や構造、特性を学び、そのうえで観光事業の課題を研究する。
●観光調査法
観光にかかわる調査や分析の方法を修得する。観光調査の種類や特徴といった基礎知識や、調査票の作り方と分析方法、観光地の情報の集め方などを学ぶ。

観光学の先生に聞く(取材協力:立教大学観光学部 交流文化学科 高岡文章准教授)

こんな研究をしています
私たちは、戦後に建てられたコンクリート製の城にも歴史や風情を感じたり、満足したりしています。そこでは文化財として「ホンモノ」であることよりも、「都市のシンボル」「写真に撮りやすいスポット」としての価値が優先されているのです。観光におけるホンモノとニセモノの境界線はどこにあるのでしょうか(立教大学 観光学部 交流文化学科 高岡文章准教授)。
・ホンモノの城とは見た目か、素材か、歴史か
日本全国には様々な城があり、最近は城めぐりも人気ですが、創建された当時のまま残されている天守閣は少なく、ほとんどは戦後にコンクリート製で建造されたものです。それらはある意味ではニセモノともいえてしまうのですが、それでも多くの観光客が足を運び、よろこんで写真を撮ったり、歴史や風情を感じたりしています。
観光客にとっては、城が「いつ建造されたものか」や「どのような材質で作られているのか」はそれほど重要ではなく、「都市の個性をわかりやすく伝えるシンボル」、あるいは「写真映えするスポット」という観光的な価値が優先されているのです。
そうした風潮がある一方で、コンクリート製の名古屋城天守閣に異論を挟む声があがり、木造に建て直す計画が浮上しています。「コンクリート製は本来の姿ではない、木造こそがホンモノだ」と考える人たちが現れたからです。ここでは材質のホンモノさが重視されているわけです。
しかし、視点を変えるとどちらが本物かという疑問が湧くのも確かなところです。今のコンクリート製の天守閣は昭和30年代に建てられたものですから、これから木造で建て直す天守閣よりも長い歴史をもっており、歴史的にはコンクリート製のほうがホンモノといえるかもしれません。難しい問題です。
・観光における真正性はどこにあるのか
このように「何をもってホンモノとするか」をめぐる問題を「真正性」といい、これが私の研究テーマです。ピカピカの天守閣や鉄筋コンクリート製の熊本城を見ても歴史を感じられるのはなぜでしょうか。現地で作っていないご当地キーホルダーや、観光客用につくられたおみやげでも満足できるのはなぜでしょうか。その一方でこれらをニセモノと感じてがっかりする人もいるかもしれません。ホンモノとニセモノの境界線は曖昧なものなのです。
特に現代ではその境界線が揺らぎ、ホンモノ(自然な状態)よりもニセモノ(加工・演出されたもの)のほうが価値を持つとさえいわれる風潮があります。観光地化された城やおみやげのように、観光はそんな「ニセモノが価値をもつ」という感性が先端的に表れる現場といえます。
他方で、源泉かけ流しの温泉や、地域住民のリアルな暮らし、手つかずの自然など、ある種のホンモノも観光では依然として極めて重視されます。さて、いったい観光においてホンモノとニセモノの関係はどうなっているのでしょうか。観光の論理とはどのようなものなのでしょうか。
私は研究対象とする特定の地域をもたないので、気になった土地をぶらっと旅をして、歴史を調べたり、地元の新聞や資料を当たったりして、現地の人々や専門家がどう語っているのかを調べながら研究を進めています。
観光における真正性はどこにあるのか
観光の真正性を研究する高岡文章准教授
観光学のここがおもしろい
「ホテルで働きたい」「世界の文化や世界遺産を見てみたい」、そんなわかりやすくて魅力的なキーワードを入り口に、様々なことに幅広く興味をもって深く勉強していけるのが観光学の魅力です。まだ形が定まっていない部分があるので、自由に発想できる学問でもあります(立教大学 観光学部 交流文化学科 高岡文章准教授)。
・観光を入り口にして興味が広がっていく
例えば高校の地理の授業で、ただ「街の名前を覚えなさい」といわれてもなかなか頭に入ってきませんよね。しかし、実際に自分で旅をしてみると街の名前や位置がすんなり覚えられたり、気候や文化などもピンとくるようになったりします。観光は何かに興味をもって勉強するための一つの入り口なんだと思います。
観光学は、経営学や社会学、人類学、都市工学など様々な学問領域から観光を見る学問ですから、観光を入り口にしていろいろな方向に興味を広げていくことができます。
高校時代に、「私は経営を勉強したい」とか「文化に興味があるから文化人類学を学ぶぞ」というように、興味のある分野や学問領域がはっきりとはわかっていない人も多いでしょう。観光学には「ホテルで働きたい」「世界の文化や世界遺産を見てみたい」「地域のまちづくりに貢献したい」という、わかりやすくて魅力的なキーワードがあるので入ってきやすいと思います。
もちろん、単に「ホテルで働きたい」というだけならアルバイトをすれば済みますし、「世界遺産を見たい」という欲求は旅行でも消化できるかもしれません。大学生活を送るなかで興味はいろいろ移り変わっていくでしょうから、ふわっとした好奇心を入り口にして、多方面に進んでいけるので、視野や選択肢が広がるでしょう。
観光を入り口にして興味が広がっていく
旅行、文化、社会学などかかわりをもつ観光学の書籍
・まだ形が定まっていない新しい学問
私の学生時代は、夏休みはどこかに旅行をしないと損だという雰囲気があって、夏休みが明けると必ず「どこに行った?」と仲間同士で旅自慢をするのが恒例でした。休みのたびに友達と競うようにして旅に出かけたものでした。
それほど関心の強くなかった土地でも行けば行ったで興味が湧きますし、あれこれ考えたりもするわけです。そんななかで、「観光とは何か」、「人はなぜ観光をするのか」ということに興味をもったのが、観光学の研究を始めたきっかけでした。
まだ新しい学問なので、「これをやってはいけない」、「こういうふうにしましょう」という体系が定まりきっていないところがあります。それだけに自由な発想ができるというのも観光学の魅力といっていいでしょう。

観光学の学生に聞く(取材協力:立教大学観光学部 学生)

観光学を選んだ理由
旅行が好き、海外の文化に関心がある、旅行関係の職業に就きたい、地元のまちづくりに貢献したい、国際協力にかかわりたいなど、きっかけは様々です。
・海外への興味や旅好きが高じて
3年 富樫茉衣子さん
高校生のときに青年海外協力隊など発展途上国での活動に興味をもっていました。海外の赴任先を拠点にいろいろな国を旅行している父から、海外では観光学が盛んだと教えられ、観光学部なら観光や国際交流を通して途上国の発展に貢献することもできるのではないかと思い、観光学部を選択しました。

4年 堀谷志歩さん
幼少の頃にオランダに住んでいて、周辺のヨーロッパ諸国を家族でたくさん旅行をして楽しんでいました。また、観光産業はこれから成長が見込まれる産業だというのを知って観光学部を志望しました。
観光学では「文化交流」が重要なキーワードの一つ。外国人との交流やフィールドワークをたくさん経験できるという期待を膨らませて入学しました。大学の文化交流プログラムに実際に参加してみて、単に受け身ではなく、自分から積極的に交流することが大切なのだと実感しました。
・文化人類学やまちづくり、国際交流に興味があって
4年 諏訪遼太郎さん
高校3年のときに受けた文化人類学の授業がおもしろかったので、はじめは文化人類学を学べる文学部だけを考えていました。ところが、もともと旅行好きだったため観光学も気になり調べてみると、観光学でも文化人類学を学べ、しかも経営やまちづくりといった分野にもかかわっているということを知り、自分にはぴったりな学問だと思い、観光学部に進みました。

博士課程2年 鍋倉咲希さん
旅行にそれほど興味があったわけではありませんが、少数民族の衣装に関心があり、観光学を学び始めました。観光学は文化、民俗、経済、経営など、多角的に観光をとらえて研究を進める学問ですから、学びを深めるにつれて世界が広がっていきます。
中学生のころに「国際交流」という言葉がすごくはやっており、関心はあったのですが、ただ単に国際交流の学部に行くのではつまらないと思っていました。そんなとき、親戚から観光学部について教えてもらい、観光という視点がおもしろそうだと思い観光学部を選択しました。
文化人類学やまちづくり、国際交流に興味があって
富樫茉衣子さん(左下)、鍋倉咲希さん(右下)、諏訪遼太郎さん(左上)、堀谷志歩さん(右上)。
こんなふうに学んでいます
観光という身近なテーマでありながら、それを裏側から検証すると様々なことが見えてきます。ヒト、モノ、コトが複雑にからむ観光学の素地を身につけるのが最初の一歩です。現地に赴いて実際に観察したり、現地の人に聞き取り調査を行ったりするフィールドワークが観光学の醍醐味の一つです。
・観光学を象徴する特徴的な講義
3年 富樫茉衣子さん
はじめに観光学らしいと思ったのは、「観光人類学」という授業でした。観光学は、観光に行く側と迎える側、観光を推進する側とブレーキをかけて文化を守る側など、一つの物事を両側から見る学問だと思います。この授業はまさに観光の裏側を知るものでした。
印象深いのはいわゆる「首長族」の人たちの話です。彼らは観光客を相手に商売をしているのですが、その裏側でどんなことが起きているかを学びました。観光にはキラキラとした印象があったので、実はその裏にまったく複雑な背景や歴史があるというのは衝撃的で、観光学に対するイメージは変わりましたが、「そういう面もあるんだ」とさらに興味をもつようになりました。

4年 堀谷志歩さん
私が一番印象に残っているのは「おみやげ論」ですね。おみやげについての講義をみっちり半年間受けるという観光学部ならではのものです。おみやげは観光の消費の3割以上を占めるといわれ、贈与交換・真正性・儀礼的倒錯性という3つの要素から成り立っているというアカデミックな内容である一方、「その3つを満たしているのがご当地キティだ」とか「なぜベトナムで中国のおみやげを売っているのか」「マトリョーシカはどこの国でも売っている」という身近で、気になる話題も多く親しみをもって学ぶことができました。
・それぞれのフィールドに出かけて調査を行う
4年 諏訪遼太郎さん
私の学部ではゼミが2年から始まります。2年生から3年生の前期までは観光学の書籍を輪読しながら知識を身につけ、3年生の後期から3~4人のグループに分かれて興味を持ったテーマについて研究を始めます。そして4年生になったら個々人でテーマをもって、1年かけて卒業論文に取り組みます。
私は3年生のときに「忍者」について調査を行いました。忍者関連の施設は全国にあり、東京にも忍者屋敷や忍者道場があるので、実際に行ってみてオーナーや訪れた外国人客に話を聞いたりしました。施設自体は観光客向けの見世物という側面もあるのですが、外国人客の感想は「日本文化を感じられた」というものもあれば、「バカげている」という声も聞こえてきます。そうした声を拾い集めた結果、何をもって忍者とするか、いわゆる真正性に差があるということが見えてきました。

博士課程2年 鍋倉咲希さん
私はマレーシアのペナン島にあるジョージタウンという街で調査を行っています。ここは景観が世界遺産に登録されていて、街歩きをする人でにぎわっている地域で、その街並みにストリートアートがたくさん描かれているんです。
日本でいえば白川郷の民家に絵を描いてしまうようなもので、わたしたちの価値観では信じられませんよね。そこに興味を持ち、「なぜ描くのか」「ストリートアートをどう思っているのか」などを現地で聞き取り調査しながら研究しています。
私の場合、フィールドワークの際には文化人類学的な手法を用いますし、聞き取り調査の結果をまとめるのは社会学的な手法を使っています。複数の学問領域をまたがって研究している実感があります。
それぞれのフィールドに出かけて調査を行う
ゼミでは本を読んでまとめたレポートについて発表したりディスカッションしたりする。
学んでみた感想
入学前には、観光学が具体的にどういうことを学ぶのか知らなかったという学生もいるようです。学ぶなかで多面的な見方や観光学の特徴的な考え方がわかってきたそうです。意外にも観光業界へ進む人はそれほど多くなく、幅広い業界に進んでいくといいます。
・入学前にイメージはなくても、授業を受けながら感触がつかめてくる
3年 富樫茉衣子
入学前は観光学がどういうことを学ぶ学問なのか、具体的にイメージできていたわけではありませんが、いろいろな視点を持って観光を見るということが、学ぶうちにわかってきました。地域や文化など自分の身近なところと結びつけて考えたり、問いを立てたりできるので、勉強している実感がわきやすいのは魅力だと思います。
1年生のときに「早期体験プログラム」でタイに行って、フィールドワークを体験できたことも大きかったと思います。現地に行くことで観光地の様々な面が見られましたし、イメージも膨らみ、観光学への興味が深まりました。

4年 諏訪遼太郎さん
私も入学前は観光学に対する明確なイメージはありませんでした。ただ、高校生のときに参加した説明会で「観光は社会の多様な側面を、複数の視点から見る学問」という話を聞いたので、いろいろなものが見られるのは楽しいだろうなという思いがあったのは確かです。
それはまさに観光学の特徴だと感じていて、日本と海外、消費者と提供者、地域と旅行者など一つのものを表と裏から見るので、多面的な物の見方が身につく学問だと思います。
・就職先は観光業界に限らず。興味が広がり研究の道に進む人も。
4年 堀谷志歩さん
観光学についてはあまり知らないまま入学しましたが、1年生のころの早い段階でホテルや旅行、交通などのいわゆる観光業界にはそれほど多くは就職しないという話を聞かされました。
実際、就職活動ではとっかかりとして観光業界から見始めましたが、観光学はそれ以外にもたくさんの業界と関係があると感じています。
観光を入り口として様々な学問や興味に触れることになりますし、最近は企業も幅広く事業を展開しているので、つながりを見つけやすいと思います。

博士課程2年 鍋倉咲希さん
もともと文化人類学に興味があったので、学部と修士課程では、その視点からペナン島の研究をしてきました。その後、博士課程では社会学的な視点をもっと深めたいと思い、社会学の先生に師事しています。
普段は観光とからめた形でストリートアートを見ているんですが、研究を進めるうちに、観光を抜きにした「アートとは何か」といったことも、考える時間が増えてきました。まさに観光を入り口にして興味が広がっている感じです。
博士課程が終わった後は大学教員を目指すことになります。これからも興味が観光から離れたりくっついたりしながら、研究生活を続けていくと思います。

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