高校生に聞いた「どこからどこまでが体罰?」

今年1月、大阪市立桜宮高校で体罰による自殺があったことが判明し、大きなニュースとなった。

 

高校生は体罰についてどう考えているのだろうか。そして実際に体罰を受けたことがある高校生はどれくらいいるのだろうか。2013年2月高校生300人にアンケートを実施した。

 

まず下のグラフを見てみよう。これは高校の先生から、もしこんな行為を受けたら、「体罰だと思うか」「体罰だと思わないか」について聞いたもの。

 

どんな行為が体罰だと思うか?

 

「殴る・蹴る」「首を絞めるなどの技をかける」は大半が「体罰だと思う」と回答。その一方、「長時間、正座や直立の姿勢をとらせる」「長時間、教室や体育館、運動場などに居残りさせる」という行為については、「体罰だと思わない」という回答が過半数にのぼり、意見が分かれた。

 

上記以外で体罰だと思う行為を自由に回答してもらったところ、多かったのは、「暴言」などの「言葉の暴力」。ほかに「胸ぐらをつかむ」「無視する」「セクハラ」「髪の毛を引っ張る」「大勢の前で悪い見本にされる・叱られる」「水を飲ませない」「無理やり給食を食べさせる」などがあった。

 

「体罰が必要だと思うか」という質問に対しては、77%の人が「必要だと思わない」と答えた一方、23%は「必要だと思う」という回答だった。

 

体罰が必要だと思うか?

 

◆「必要だと思わない」理由
 
・「暴力でなくても解決できる方法はいくらでもあると思うから」(高3女子・東京都)
 
・「体罰を受けても人間は成長しないと思うから」(高2男子・新潟県)
 
・「言葉で聞いて、頭で理解してこそ、本物の理解だと思います。体で覚えさせる必要はありません」(高2女子・静岡県)

 

暴力をふるっても問題は解決しないし、成長もないのだから、暴力以外の指導によって生徒の成長を促すのが先生の仕事、という意見が多かった。
 

◆「必要だと思う」理由
 
・「今の子どもは口だけじゃ聞かないから」(高2男子・埼玉県)
 
・「社会に出るために一般的な常識を教えたり、精神を鍛えるため」(高2女子・青森県)
 
・「悪いことをした人にはきちんとするべき」(高1女子・愛知県)

 

口で言っただけではわからない人に体罰は有効。体罰によって精神が鍛えられるという意見が多かった。体罰に対しては、「必要ない」という意見が8割近くにのぼったものの、「多少ならよいが、やりすぎはダメ」など、容認する意見もあることがわかった。

 

最後に「高校で先生から体罰を受けたことがあるか?」という質問をしたところ、「体罰を受けたことがある」と答えた人は4%。「体罰を受けた原因」→「それについてどう思ったか」をそれぞれ具体的なコメントをあげてみると
 
・「宿題忘れ、私語、授業中のゲーム」→「仕方ない」(高2男子・愛知県)
 
・「自分が周りをまとめられなかった」→「いやだった。部活をやめたくなったが、みんなに迷惑がかかるので頑張っている」(高2男子・新潟県)
 
などがあった。

 

「体罰を受けた」と答えた人の部活動への所属を見てみると、文系の部活20%、スポーツ系の部活53%、所属していない27%、という内訳だった。20%ほどではあるものの、スポーツ系の部活に所属している高校生のほうが、体罰を受けた経験が多いという結果だった。

 

体罰容認派と否定派の割合が、所属している部活の種類(文系の部活か、スポーツ系の部活か)で差があるのかどうか調べてみたところ、大きな差はなく、どんな部活に所属していても、同じような割合で構成されていた。

 

また、体罰が必要か否か、どんな行為が体罰であり、体罰でないかについても、人によってさまざまな考え方があることがわかった。たくさんの意見があるからこそ、今後は「体罰は必要かどうか」、「体罰の定義とは何か」などをテーマに具体的に話し合いを重ねる必要があるのではないだろうか。