古今東西の文学作品には、純愛、熱愛、悲恋、三角関係、浮気など恋愛や性に悩む主人公たちが数多く登場します。私はこうした文学作品の「イロコイ」を真面目に研究しています。特に自然主義文学を中心に、ジェンダーやセクシュアリティという観点から文学を読み解き、近代の恋愛や性の意識がどのように形成されたのかを考えるのがテーマの一つです。また、恋愛や性は個人的なことでありながら、同時に対他関係、家族関係、共同体へと広がっていく問題でもあります。そこで、文学における恋愛や性の描かれ方を文化史・風俗史学的な側面から研究しています。近年では「ジェンダー」や「LGBTQ」という言葉が認知されてきましたが、文学作品におけるセクシュアリティの研究はまだまだ未踏の地。新たな道を切り拓いていく面白さを感じています。
3年生を対象とした「演習I」のゼミでは恋愛をテーマとした長編小説を読みます。2021年度に光石教授が取り上げたのは明治から平成まで多種多様な5作品。最初に読書カードを提出し、ディスカッションで作品の感想や気になったポイントの洗い出しを行います。その後、各自で問題を設定し、方法論に従って作品を読解、自分なりの意見をまとめて担当者が発表します。「まずは作品の世界へどっぷりつかること、そして一歩離れて批評すること、さらに自分の意見を他者の意見と戦わせること。文学でバトルする授業をめざしています」。
文学部での学びは後からじわじわと効いてくる漢方薬のようなものです。相手の気持ちを理解し、思いやる、そして言葉を使って表現する。多様性を認め合う現代を生きるうえで重要な文学的想像力を身につけましょう!
専門:日本近代文学 略歴:山口大学人文学部語学文学科卒業、山口大学大学院人分研究科 言語文化専攻 修士課程修了、名古屋大学大学院 人間情報学研究科 社会情報学専攻 博士課程後期満期退学。博士(学術)取得。韓国 木浦(モッポ)大学校 日語日文科 招聘講師、韓国 仁濟(インジェ)大学校 日語日文科 専任講師を経て、2009年より本学着任。入学センター長も務める。