遠隔診断で胎児の心臓病発見 近畿大学附属病院

近畿大学附属病院は、規模の小さな医療機関から離れた場所にいる専門の医師に診療情報を送り、遠隔診断により2人の妊婦の胎児に発見が難しい心臓病があることを見つけ出すことができたと発表した。
 
母親の胎内にいる赤ちゃんの超音波検査(エコー)の画像を、かかりつけ医から専門医に送って診断する「胎児エコー遠隔診断」で、生まれる前の男児2人が重い心臓病とわかり、出生後、速やかに治療することに成功したと、近畿大病院(大阪府大阪狭山市)が発表した。
遠隔診断は近年、導入が進んでおり、専門医が少ない地域での有効な診断法として期待されている。
 
 
同病院では2016年から府内5病院の産婦人科と連携。各病院がインターネット回線で画像を送信し、近畿大病院小児科の専門医が解析する遠隔診断を行っている。
 
昨年12月に妊婦2人を遠隔診断したところ、赤ちゃんには気管と食道が心臓近くの血管に取り囲まれて圧迫される「重複大動脈弓(きゅう)」という、きわめてまれな先天性の心臓病があることが判明。
同病院に転院して出産し、男児2人は生後2~3週間でそれぞれ外科手術を受け、無事に退院した。
 
この病気は、出産後しばらくは症状がわかりにくいため、診断が遅れて重症化するケースが多い。出生前に発見できれば、手術によって完治できる可能性が高くなるという。
 
同病院の稲村昇・小児科医長(59)は「500例以上の遠隔診断を行ってきたが、この病気の発見は初めて。連携先の医療機関をさらに増やし、早期発見につなげていきたい」と話した。
 
 
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