企画を立てて、スタッフを集めて、キャスティングして、台本をつくって、編集チェックして、予算管理をして、宣伝を考えて…とプロデューサーの仕事はたくさんあります。ひと言で表すと、0を1にするのがプロデューサーで、1を2にするのが監督というイメージ。常時3~4企画を動かしながら種を蒔いて、それが2年後、3年後にどう花開くかという仕事です。最近は、ドラマ終了後の二次展開も考えます。先日も『MIU404』(TBS系)で使用したメロンパン号が全国をまわったんですが、「この車もったいないので展示とかできないですか?」と提案したら、いろんな人が動いてくれて。採用されるかはわからないけれど、とにかくアイデアを出しています。
学生時代は、バイト先にいた面白い人生の人にはり付いてドキュメンタリーを作ったり、ドラマの現場でアルバイトしたり忙しかったです。この仕事をめざす上で大事なことは、自分の意見をちゃんと持つこと。こういうものがつくりたいという強い意志を持って、旗を振っていかないと誰もついてこないので。役者さんはものすごく考えて現場に入られるので、それ以上に台本を読み込んで全体を考えることが必要です。本打ちでは脚本家と監督とアイデアを練り、現場では監督や役者とセッションして、よりよい作品に仕上げていく。ドラマは総力戦です。あとはやっぱり人柄。プロデューサーに限らず、次も一緒に仕事がしたいと思ってもらうことは大切です。
プロデューサーは台本にも携わリます。「ここは真面目すぎるから面白くしたい」とか、「ここでケンカしたい」とか、監督と相談しながら注文する感じです。あと、“尺長”という敵がいるんですよ。10分長かったら台本5ページくらい削らないといけないので。1本のドラマに監督が複数いるんですが、先送りになったストーリーが別監督の担当になると、その調整も必要。『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』(TBS系)では、伏線となるセリフが違う監督の現場でカットされかけて、それを阻止するようなひと幕もありました。
(株)TBSスパークル 勤務/放送芸術科/2001年卒/TBS系『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』、TBS系『最愛』、TBS系『MIU404』など話題のドラマを数多く世に送り出している。