“リアルとファンタジーの間の世界を表現し、新しい人物像を提案する”。それが『Fumiku』のブランドコンセプト。服をデザインするときは、物語や感情といった、自分の内側に沸々と浮かび上がるものからイメージを膨らませます。例えば、この小説の主人公なら、こんな色の服を着て、こんな暮らしをしていて…という風に。そんなFumikuの服を選んでくれたお客様が、素敵に着こなしている様子をSNSなどでみたときは、デザイナーになって良かったと心から嬉しく思います。また、レディース向けのデザインなのにメンズが着てくれたりと、作者の手を離れてスタイルをどんどん変えられるところも、服作りのおもしろさだと感じています。
洋裁をしていた母の影響で、昔からミシンが好き。高校時代は、文化祭の衣装や小物などをよく作っていました。その頃からぼんやりと、将来は服のデザイナーになりたいと思っていましたが、実際に仕事にするにはどうすればいいのかまでは理解していませんでした。本格的にデザイナーを目指そうと決めたのは、バンタンの授業でデザインのおもしろさを知ってからですね。入学して早々に、グルーガンや発泡スチロールを素材に服を作ったりと、常識に捕らわれずに自由なモノづくりをした経験が、その気持ちを後押ししてくれたと思います。「自分の手を使って、自由に何かを生み出してみたい」という想いが、Fumikuの服作りの原点となっています。
バンタンで学んで良かったのは、先生がプロであること。デザイナーの先生からは、展示会にはどんな準備が必要かなど、ファッションビジネスの具体的なノウハウを教えて貰えました。ほかに、服作りの基本を学んでから専門分野を選べるといった、フレキシブルなカリキュラム編成もバンタンの魅力です。私の場合はデザイン一筋でしたが、3年制でも学び足りずに専攻科のX-SEEDに進学。そこでAsia Fashion Collectionのグランプリを獲得し、N.Y.Collectionを経験したことは、デザイナーとして一人立ちする自信に。Fumikuがデビューするのに必要な下地は、在学中にすべて整えることができました。
Fumiku デザイナー/ファッション学部 卒/2017年卒/兵庫県出身。ファッションデザイン学科(3年制)卒業後、2017年4月に特別進級クラス「X-SEED」に進む。在学中にAsia Fashion Collection 5thで最優秀賞を受賞し、翌年2月にN.Y. COLLECTIONに参加。2018年3月にX-SEED修了後、ブランド『Fumiku』をスタート。同年10月、Amazon Fashion Week Tokyoにて2019 S/Sシーズンを発表。現在は、2020 A/Wシーズンの発表に向け多忙な日々を送る。「サンプルが上がってきたら、ルックブックの撮影を行います。スタイリストもメイクも、撮影スタッフは元バンタン生なんですよ」と林さん。