専門学校の学科別生徒数の変遷

専門学校で学んでいる人の数は2012年現在、約65万人となっている。2011度の18歳人口は約120万人。そのうち22%にあたる約26万人が専門学校へ進学している。

 

大学の数が増え、大学進学率が増え続けるなかで、専門学校へ進学する高校生の割合は減り続けている。それでも現在5人に1人は専門学校へ進学を選んでいる。

 

では専門学校進学者は、どんな分野に進学しているのだろうか? また過去12年を振り返ると、どのような変化があったのだろうか?

 

次の表は2012年、2006年、2000年に専門学校に在学している分野別の生徒の数である。

 

専門学校の学科別生徒数の変遷

 

※出典:文部科学省「学校基本調査」2000年度版、2006年度版、2012年度版

※上記は「専修学校」のデータで「各種学校」は含まれていません。

 

ここから読み取れる変化は大きく4つある。

 

1:医療分野の生徒数の増加
12年前と比べると6.5%増えている。看護、歯科衛生、臨床検査技師に加えて、理学療法士作業療法士などの学校が急増したことが大きな理由だ。少子高齢化による医療ニーズの増大を見込んで、国がこの分野の学校設立の規制緩和に踏み切ったことも背景にある。

 

2:文化・教養分野の比率が増加
従来の音楽、外国語などの分野に加えて、新たに動物、スポーツなどを学べる学校が増えたことが大きい。トリマーやドッグトレーナーなどの動物関連の仕事や、スポーツトレーナーやインストラクターなどのスポーツ関連の仕事はここ10年で急速に普及してきた新しい職種といえるだろう。

 

3:工業分野の生徒数の減少
工業分野をさらに細かく見てみると、「土木・建築」は2000年に22388人だった生徒数が、2012年には13600人ほど減り8774人に、「情報処理」は2000年に53737人だった生徒数が2012年には26500人ほど減り27174人になっている。専門学校生の全体数が減少していることを考慮しても、明らかに大きく数を減らしている。

 

4:服飾・家政分野の生徒数の減少
服飾・家政では「和洋裁」の減少が明らかで、2000年に32945人だった生徒数が2012年に14212人まで減っている。

 

専門学校の数はここ10年で3400校台から3200校台へと200校ほど減った。(※)その背景には少子化と大学の増設、増員による大学進学率の上昇がある。しかし社会に出て役立つ資格や技術を身につけられる専門学校の魅力は衰えていない。専門学校への進学を考える人は、自分の行きたい分野の変化をチェックしてみよう。

 

※「学校基本調査」を参照