
中東と言うとイスラム教のイメージが強いですが、キリスト教発祥の地でもあります。私が研究する「コプト教会」は、エジプト土着のキリスト教で、その生存本能の強さやしなやかさに注目しています。例えば、歴史の中でコプト教会には、弾圧を受け「もうイスラムに改宗するしかないか」というピンチが何度も訪れます。でも、地域に根を張るコプト教会はやがて着実に復活するのです。また、ヨーロッパから宣教師が中東に布教に来た際も「自分たちの教会がいい」と、やんわりかわして持ちこたえてきました。時には互いのお祭りにも参加しながら1400年を超える時間を共に暮らすコプト教会とイスラム教徒。対立ではなく共生を選ぶその姿に、私は現代社会にもつながるヒントを見出しています。

研究で訪れた中東各国で入手したお気に入りのグッズたち。各国の手仕事のすばらしさが伺えます
史学科の特徴は、日本史・ヨーロッパ史・アジア史の全領域を、古代から近現代まで幅広くカバーしていること。特定の時代や地域に偏らず、関心に合わせて自由に学べるカリキュラムが整っています。辻先生は、共通科目からゼミまで幅広い科目を担当。中でも「世界遺産を旅する」は、タージ・マハルやペルシヤ庭園といった具体的な世界遺産を入り口に、背景にある文化や人々の交流を紐解きます。学生たちは「中東=紛争・砂漠」といったステレオタイプを超え、そこに息づく美しい文化や人々の暮らしを身近なものとして感じています。

ゼミは発言しやすい雰囲気なので、活発な議論が生まれています
コプト教会には、途絶えたと思われている古代エジプトの文化が、キリスト教の聖人崇敬などに形を変えて現代まで残っています。宗教でも文化でも、「自分らしい切り口」で歴史を読み解く面白さを感じてみませんか?
専門:西アジア史
東京大学大学院人文社会系研究科アジア文化研究専攻博士課程修了、博士(文学)。エジプトやシリアで暮らした経験もあり、体験談を学生に伝えることも多い。「レバノンという国には、岐阜県とほぼ同じ大きさの国土に18の公認宗派があります。議論は一致しなくても、国としてまとまるという点においては上手に折り合いをつけられる。違いを許容する大らかさは、日本の社会をよくする知恵にもなるはずです」
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