日本は「平和な国」だと言われているけど… |
現在、世界には紛争が起こっている国や地域が50以上あります。たとえば、アフガニスタン、シリア、トルコ、イエメン、エチオピア、アゼルバイジャン、そしてロシア・ウクライナなどです。紛争の原因は、宗教上の争い、土地や資源の奪い合い、文化や民族性の違い、政治的信条の違い、差別などさまざまです。
日本はどうでしょうか?第二次世界大戦後、武力による戦争や紛争が起きていません。そのため外国の方から、平和な国だとみられているようです。国民の多くも「日本は平和だ」と考えているかもしれません。 |
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「積極的平和」と「消極的平和」の違い |
しかし、日本は本当に平和で安心して暮らせる国でしょうか。戦争や紛争はなくても貧困や差別、人権侵害などがあるのでは? 男女格差を測る「ジェンダー・ギャップ指数2022」の順位では、日本は146か国中116位、G7の中では最下位です。また、日本の子ども7人のうち1人は、相対的貧困下にあると言われています。ほかにも、難民受入れ数の少なさ、沖縄への米軍基地の過剰負担、LGBTQなど性的マイノリティに対する差別など、日本の社会にはさまざまな問題が横たわっています。
「平和学の父」として知られるヨハン・ガルトゥング博士は、戦争や紛争など直接的暴力がない状態を「消極的平和(negative peace)」、貧困や差別など社会の構造的暴力がない状態を「積極的平和(positive peace)」と定義しています。「積極的平和」の観点からすると、日本の平和はまだ遠いと言えるかもしれません。 |
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「平和」とは何かを理解し、実現を目指すために |
クルナザロバ アイグル先生のゼミでは、戦争と平和について研究しています。「なぜ戦争が起きるのか?」「平和とは何か?」「構造的暴力の原因は?」こうした問いを重ねて討論。学術書を読み、国内外のフィールドワークを通して、平和と紛争解決の視点や価値観を理解します。 |
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