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福島県認可/専修学校/福島

イマイズミフクショクセンモンガッコウ

【注目記事・和裁】『好きかもしれないな』を繰り返して、きっかけを考える

今泉女子専門学校(高等課程)
2019年度入学
 私が着物を好きになったきっかけは、恐らく、祖母が着物を多く所有しているからだと思います。
 祖母は着物が好きで、今でもタンス四棹が着物と着物に関係する小物類で埋まっています。思い返せば、現代では珍しく、かなり着物が身近な環境で育ちました。また、文頭で『恐らく』と書いたのは、物心つく頃には一日のほとんどを祖母の家で過ごしていたので、これが明確にきっかけであると断定することが難しいからです。
 ただ、特別に着物が好きだった記憶はありません。相談されず親が買った服が気に入らなければ意地でも着ない、など、服装に関して頑固な子どもではあったようですが、祖母の家にある着物を見て『綺麗だな』と感じた、というような、そういった思い出は特にありません。私にとって着物は、単純に、他の服や家具と同じようにそこにあるものでした。正直なところ、この題で文章を書くにあたり、高級なもの・特別なものと感じずに育ったことは、今、和裁を学んでいる要因として大きいのではないかと思います。
 小さな頃から、洋裁・和裁問わず、裁縫自体が好きでした。年相応に下手でしたが、幼稚園の頃、バッグや人形を自分で縫っていた記憶があります。小学校高学年あたりから編物も好きになり、冬になるとマフラーや手袋を編んでいました。今でもたまに編みます。
 その中で、専門的に学んでいくもの、自身の職業とするものとして和裁を選んだのは、高等課程で洋裁と和裁を学んだ時、相対的に和裁が好きだったからです。
 元々コツコツとした単純作業をすることが好きだったので、ミシンより手縫いが向いていました。裁断の作業後に端切れが多く出ることが嫌だったので、反物の、綺麗な長方形のまま余分な布地がまとめられる和裁が魅力的に思えました。デザインも得意ではないので、基本的な形や仕立て方が洋裁ほどは変わらない和裁が好きです。したがって、私が和裁を好きになったきっかけは、様々な点で洋裁に向いていなかったからだと言えます。
 さかのぼって、なぜ専門学校に入って洋裁あるいは和裁を学ぼうと思ったのかといえば、精神が不調になり、それまでの趣味であった『絵を描く』『小説を書く』『文章を読む』『菓子を作る』が全て出来なくなった際、ものを縫うことだけは出来たからです。好きなことが出来なくなった時に出来たので、もしかしたら、さほど好きではないのかもしれません。しかし、いつ再び悪化するか分からない中で、仕事にするには裁縫に関連するものしかないと思いました。また、今でもそう考えています。
 今は、着物を見ると『綺麗だな』と感じますが、洋服を見ても同じように感じます。私は、和裁をしていても、興奮したり、高揚を感じたりはしません。どちらかと言えば無心になります。それはつまり、嫌いな事柄もその時は頭から抜けるということなので、凄く好きなのかもしれない——と今思いました。いつか、和裁を好きになったきっかけを訊かれたとき、私は『授業の作文』と答えるかもしれません。こんな風に、『好きかもしれないな』を繰り返して、きっかけを考え続けるのだと思います。
 以上を、私の『着物・和裁を好きになったきっかけ』についてのレポートとします。
今泉服飾専門学校(専修学校/福島)
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