京都伝統工芸大学校(TASK)は全授業の約80%が実習系カリキュラム。しっかりプロの技術を習得できます。工藤先生に、在校生の作品を通じて、授業で身につくことを解説いただきました。
「梅瓶」は「メイピン」と読み、中国で伝統的な形状をもつ梅の枝の一輪ざしです。高さは50cm以上ある大きなもので、大きいものほどつくるのは難しいですし、しかも二つ同じ形状にすることも技術が必要です。「掻き落とし」というのは陶器の表面を削り、異なる色を出して模様にする難しい技法ですが、微妙な白い模様や黄色い風合いを出すことに成功しています。小柄な女性なのですが、制作にかける情熱は誰にも負けません。
アラビア風の細かいデザインを手描きしていく絵付けの力が素晴らしい作品です。彼女はもともと「絵付け」に興味があって入学してきた学生ですが、本学ではろくろをはじめとする「成形」と、陶器に模様をかき、焼き付ける「絵付け」の両方を学ぶことで、双方の技術を高めるようなカリキュラムになっています。彼女も「絵付け」を将来的に専門にすると思いますが、ここで学んだ「成形」の知識・技術はきっと役立つはずです。
招き猫がマトリョーシカ人形になっています。「陶芸デザイン」という授業では、実習で学べない、いろいろな技術を習得できるのですが、この作品に使われている「石膏型」づくりもその一つです。石膏型は、マスプロダクトに使われもので、授業では箸置きなど簡単なものを作るのですが、その技術を応用した面白い作品になっています。発想力、デザイン力、そしてものづくりに対する行動力に優れた学生です。