TOKYO FM『SCHOOL OF LOCK!』プロデューサーに聞く!「ラジオ制作の魅力」
『radiko.jp』をはじめとしたスマホアプリで、今やどこでも気軽に楽しむことができるラジオ。
通学中や勉強中に聴いている人も多いのでは?
でも、ラジオ番組っていったいどうやって作られているんだろう?
ラジオ制作者になるには、どんな進路を選べばいいの?
そこで、中高生に人気のラジオ番組『SCHOOL OF LOCK!』のプロデューサーを務める、TOKYO FMの大橋竜太さんに詳しく聞いてみることに!
ラジオ業界に入ったきっかけ
音楽に携わる仕事に就きたくてラジオ業界に
大学の頃は、ラジオとはまったく関係のない法学部に通っていて、バンドを組んで本気でプロのミュージシャンを目指していました。
ただ、大学3年の頃にプロになるのは難しいとわかって…。
ミュージシャンは諦めたのですが、やっぱり音楽に携わる仕事がしたいと思い、レコード会社や音楽専門誌を作っている出版社などの就職試験を受けました。
そのなかのひとつが『TOKYO FM』だったんです。
FMラジオは音質が良く、音楽番組がたくさんあったので『ここなら音楽に携われるかもしれない』と思いました」
「音楽が好き」という思いでラジオ業界に飛び込んだ大橋さん。
入社後は、音楽の著作権を扱う『TOKYO FM音楽出版』という子会社で、念願の音楽に携わる仕事を任されることに!
※ラジオでは、日々何百曲という音楽がかかる
僕の仕事は、そのなかから“これからブレイクしそうなアーティスト”を見極めて、番組内で流す曲を決めることでした。
音源を聴いているだけではわからないので、実際に新人バンドのライブを観に行くんですよ。
ほぼ毎日ライブに通っていたので、年間200~300本は観ていたと思います。
ライブの時間帯がかぶってしまい、片方のライブを途中で抜けて、走って別のライブ会場に行く…なんて忙しい日もありましたね」
ライブ鑑賞って楽しそうだけど、それだけ大量に回るとなると超大変…!
でも、学生時代から「音楽好き」だった大橋さんの、センスを活かせる仕事だったんだ!
プロデューサーの主な仕事
番組の方向性に沿った企画作りとチームまとめ
大橋さんはその後、『SCHOOL OF LOCK!』の放送が始まった2005年に番組制作部に異動してディレクターに就任し、2013年に現在のラジオプロデューサーという役職になったのだとか。
では、ラジオプロデューサーの仕事とは具体的にどんなことをするんだろう?
『10代向け』『女性向け』など、ターゲットとなるリスナー層を定めて、そこに合わせて番組の企画を考えていきます。
企画はディレクターが持ち込んでくることもあれば、スポンサーと一緒に作り込むこともあります。
どんな企画を行うか、最終的な判断をプロデューサーがするわけですが、ただ商品のCMのようになってしまったり、番組のターゲット層から外れた企画になったりしないよう、リスナーの感覚で『面白い!』と思えるものを考えるのに毎回苦労していますね」
制作スタッフと打ち合わせをしながら、番組の大枠を決定するのがプロデューサーなんだ!
この時間は毎日スタジオにいて、『想定通りに放送が進んでいるか』『予期せぬ事態が起きていないか』といったことを確認しています。
大きな地震など“万が一の事態”が起きた場合には、緊急特番に切り替えるかどうかを判断するのもプロデューサーの仕事です」
『SCHOOL OF LOCK!』は、20人ほどのスタッフがシフト制で番組を制作しているんだとか。
それらのスタッフをまとめながら、無事に番組が放送されるように努めるのが大橋さんの仕事なのだそう。
そこで、今回は特別に『SCHOOL OF LOCK!』の生放送中のスタジオにお邪魔して、放送中の雰囲気を見学させていただくことに!
ラジオ番組の放送風景
生放送中はたくさんのスタッフが大忙し!
※スタジオに行ってみると、出演者がいるブース以外にもたくさんのスタッフが!
放送開始5分前のスタジオは、最終的な打ち合わせや機材の調整を行うスタッフたちが大忙し! そしていよいよ22時、放送がスタート!
放送中の構成作家は、番組をスムーズに進行するため、出演者のふたりにカンペを出しています」
※ディレクター(左)とミキサー(右)
出演者が話し始めるタイミングを決める“キュー振り”を行なったり、番組中に流す曲を決めたりと、番組全体を仕切るのが彼の役割です。
実際の放送では、出演者のトークが長引いてしまって予定通りの時間で進行できないことも多いのですが、生放送の場合はどこかで時間を調整しなければいけないので、『番組後半のこのコーナーを1分縮めよう』といった指示を構成作家に出すなど、時間のズレを修正するのもディレクターの仕事です」
※音量調整を行うミキサー
※モニターには、この日のために用意されたBGMや効果音がズラリ
番組全体のアシスタントを行う『AD』も含めて、彼らは全員、ディレクターの指示に従って動きます」
※番組Twitterや学校掲示板をチェックするサブ作家
ほかにも、放送の間ずっとパソコンを眺めている人も!
これは何をしているの?
ウチの番組の場合は、番組Twitter以外にも“学校掲示板”と呼んでいる投稿フォームがあるのですが、サブ作家は放送前や放送中に、ここに届いたメッセージのなかからその日の放送内容に合ったメッセージを選んでいます」
※サブ作家は、電話でリスナーに事前取材も行う
掲示板に書き込んでくれたエピソードが、具体的にどんなものなのか確認するために、ひとりにつき15~20分の事前取材をするんです。
毎日、放送中にも大量のメッセージが届くので、そのなかからどのリスナーを選ぶのかをリアルタイムで決めなければならないのがサブ作家の苦労する部分だと思います」
こんなにたくさんのスタッフが、生放送のために毎日せわしなく動いているんだ!
それを放送中にチェックして、放送後に『あの部分のトークはもっと短くてよかった』『あの曲よりこっちの方がよかった』という反省点を伝えるのもプロデューサーの仕事です」
ラジオ制作の魅力
リスナーの未来を変えることができる!
大勢のスタッフをまとめる、プロデューサーという大変な役職。
ハードなこの仕事を続けられる魅力とは?
10代がターゲットの番組ということもあって、学校掲示板にはリスナーの悩みに関する書き込みも多いのですが、放送後に『今日の放送を聴いて、気持ちがスッキリしました』『解決方法が見つかりました』という感想が届くと『役立つ番組が作れたな』と実感できますね」
ラジオ制作は、リスナーに楽しんでもらうだけでなく、未来を変える影響力もある仕事なんだ!
高校生のうちからできること
専門学校で即戦力の実力を身につける!
最後に、ラジオ制作者になるために必要なことを聞いてみた。
ただ、制作部以外に配属される可能性もあるので、ディレクターやミキサーなどの技術職を狙うのであれば、放送系の専門学校に行くのも手だと思いますね。
僕も若い頃にディレクターを経験しましたが、当時は機材の使い方や音声編集のやり方を学ぶために、仕事と仕事の合間や夜中に勉強する必要があって、相当苦労した覚えがあります。
学生時代に機材を扱う技術を身につけることで、即戦力として働くことができると思います」
※番組を進行するカギになる台本
また、日常的にラジオを聴いて、『自分だったらこの場面でこの曲を流したいな』『この出演者だったらこんなことを話させたいな』とイメージしておくのもオススメです。
構成を作るためには想像力や企画力が必要なので、『自分だったらこう作る』という想像を膨らませながらラジオを聴くだけでも力になるはずです」
声や音楽を電波に乗せて、リスナーと直接つながることができるラジオ制作の仕事。
ラジオが好きな人は、ぜひ目指してみては?
***
ラジオ・テレビ番組プロデューサーに興味が湧いたらコチラ
ラジオ・テレビ番組ディレクターに興味が湧いたらコチラ